須賀敦子のレビュー一覧

  • ヴェネツィアの宿

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    いつの時代も知らないところや新天地に行くのは、震えるような勇気がいるものだ。

    米女子来季出場権トップ合格の宮里藍ちゃんだって、「おとうさんの困難に立ち向かっていく後姿を見て」と、とてもえらかったけれど、前向きの勇気がどれだけ必要だったことかを思う。

    このエッセイも当時(1950~60年代)としては珍しい家族の後押しがあれど、本人の「精神的に生きたい」という強い熱意と勇気がなければできなかった、ヨーロッパでの燃える向上心を記しているのだった。

    「しばらくパリに滞在して、宗教とか、哲学とか、自分がそんなことにどうかかわるべきかを知りたい。今ここでゆっくりかんがえておかないと、うっかり人生がす

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    2021年09月13日
  • コルシア書店の仲間たち

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    「…
    広場に憩う。星の
    かわりに
    夜ごと、ことばに灯がともる。

    人生ほど、
    生きる疲れを癒してくれるものは、ない。」

    巻頭の詩。(ウンベルト・サパ 須賀敦子訳 後半)

    読み終わってこの詩をしみじみ味わうと、このエッセイを要約しているのだという思いと共に、文学に浸ることはどういうことか、の答えが出る。

    遅咲きの作家ということを知りとても興味を持ち、まず読んだのがこのエッセイ。

    随筆といえどもフィクションの如きだった。

    11章に分けて、著者が1950年代半ばから71年までのイタリア留学、滞在中知り合った人々の話。だけれども一章一章その友人の人生が凝縮されていて、なおかつ文章がなんともう

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    2021年09月13日
  • コルシア書店の仲間たち

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    戦後間もないイタリアでの結婚生活。 
    今でも留学や国際結婚も想像つかないけど、70年前のこのお嬢様の行動力すごいな。
    人生の節目に出会った仲間たち。
    そして晩年。
    大学時代や就職した頃の、今では消息も分からない仲間たち、元気かなと思うと泣けてきた。

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    2021年04月27日
  • 本に読まれて

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    須賀敦子のスクリーニングを経た書物であれば、ぜひとも読んでみたいという本があるわけで、さっそく2冊の本を注文した。著者が無類の本好きであったということがしみじみと伝わってくる。

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    2021年04月12日
  • コルシア書店の仲間たち

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    ネタバレ

    著者がイタリアで暮らし、そこで交流したコルシア・デイ・セルヴィ書店に集った仲間たちについて一人ずつ書いている本。
    仲間たち、と言うけれど、文章の距離感は彼ら自身からは少し離れて、ゆったりと取ってあるように思う。優しいというよりは、ただあるがままに、偏屈さや悪癖もその人の一部としてユーモアを持って観察していて、まるごと受け取っている感じ。好きな作家の梨木さんのエッセイと同じ雰囲気を感じる。とても好き。なんとなく、二人とも神学に触れていてヨーロッパ留学、現地で暮らす、そのことをエッセイに…というあたり気質が似ているのかもしれないと思ったりする。
    いろんな人のいろんな人生があり、その中のほんの少しの

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    2021年01月05日
  • 霧のむこうに住みたい

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    美しく、みずみずしいエッセイです。
    須賀さんの生活を、近くで覗き見しているかのように、光や湿度を感じる作品です。

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    2020年12月05日
  • 霧のむこうに住みたい

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    落ち着いた文章が読みたくなると戻ってくる須賀敦子。
    1990年に『ミラノ霧の風景』を出版し、1998年に亡くなっているので、生前に出版されたものは5冊と実はとても少ない。
    1998年から99年には5冊が出版されているが、追悼のタイミングにあわせるために雑誌などに掲載された文章を集めてバタバタと出版された感が否めず。
    
    この『霧のむこうに住みたい』は『須賀敦子全集』をもとに2003年に出版されたものなので、きちんと選ばれて編纂されているという感じがする。
    
    選者の意図まではわからないけれど、最後の一文で泣かされるエッセイが多い。もともと須賀敦子のエッセイはラストの一文が見事なのだけれ

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    2020年09月02日
  • 霧のむこうに住みたい

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    イタリアの暮らしや旅行した先の風景、夫や友達との思い出が綴られているエッセイ。須賀敦子さんの本は初めて読んだんだけど、なんというかホスピタリティのあふれる感じの文章で心地よかった。愛が通奏低音のように流れている、と思う。様々な描写も、風景がさあっと浮かんでくるように自然で豊か。何気ない文章に深い観察と洞察がにじんでいるので、かみしめるように余韻を楽しむことができる。
    「私のなかのナタリア・ギンズブルグ」と、「となり町の山車のように」が好き。
    私も黙って人の話を聞いているというのが苦手ですぐ別のことを考えているので、なんだか沁みてしまった。線路に沿って、思考をつなげる…。

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    2020年08月27日
  • ヴェネツィアの宿

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    初めて読んだ須賀敦子。
    著者の幼少期〜成人して留学、結婚した頃の、とりとめない回想と追憶が、上質な映画のように綴られていく。
    にしても、この方、とんでもないお嬢さんであることが読み進めると分かってくる。
    終戦から10年経たずにフランスへ私費留学というのもビックリだが、お父様が戦前にアメリカ、ヨーロッパへ贅沢三昧のグランドツアーをして、実家は神戸の実業家、麻布に別宅、田舎には武家時代のお屋敷と、語るネタは尽きない。
    終戦直後に東京の聖心語学校(現在のインターナショナルスクールの前身)で日本語禁止、外人シスター監視の寮生活を送るというのもハイパー。 
    留学自体は貧乏で、と言われても留学すること自体

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    2020年08月06日
  • 霧のむこうに住みたい

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    なんとなくこの本は晴れ渡った日よりも、雨の日に読みたくなるな、と思っていたら、最後の解説で江國香織の文章を読んで納得でした。

    須賀敦子さんを存じ上げなかったので、この本で初めて知ることになりましたが、イタリアに惹かれて過ごした日々が静かに美しく語られていて、心が落ち着きました。

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    2020年07月25日
  • コルシア書店の仲間たち

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    階級も信条も異なる人々が集う書店。

    生きてゆくことは出会いと別れの繰り返しであること。

    読み終わった後、少しの切なさと
    静かで温かな喜びに包まれる感覚がしました。

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    2020年04月23日
  • ユルスナールの靴

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    著者最期の作品。須賀敦子のや特徴である柔らかなふくらみのある文章をこれ以上に無く味わうことができる。
    ユルスナールという女性作家の作品と人生を辿りつつ、同時に自らの人生を絶妙に織り込んで自然と語りきってしまうその手腕は円熟というに他無いと思う。
    筆者が作中最後にユルスナールが最晩年まで過ごした部屋を訪ねるシーンがあるが、私たち読者もこの作品を通して、筆者の人生の節目節目を、一つずつ部屋を訪ねるようにそっと垣間見ることができる。
    私の中の白眉は、幼少期の親友・ようちゃんとの別れを語った、「一九二九年」の章である。相変わらず涙腺に来るのである。

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    2020年03月22日
  • コルシア書店の仲間たち

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    読めば読むほどに味わいが深くなり、ミラノの街の風景とその世界にどんどん引き込まれていく。
    でも何だかもの悲しく感じる。
    30年の時を経て紡ぎ出される、遠い昔になじんだ人たち。
    年老いてもなお、心に寄り添うさまざまな想い。人生は儚い。
    やがて孤独と向き合い、それでも想い出は人の心に生き続ける。

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    2019年10月07日
  • コルシア書店の仲間たち

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    コルシア書店の仲間たち 須賀敦子 文藝春秋

    昔読んだ事があるのに
    なぜまた手にしたのかわからない
    エッセイという知識を転がす
    乙に済ました遊びが好きでないのに

    重たい本に気が滅入っている間の気晴らしだったのか
    いずれにしても外を描くことで間接的に自分を押し出す
    こうした表現には貴族趣味を覚える

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    2019年10月03日
  • コルシア書店の仲間たち

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    著者が出会った個性豊かな人たちが、イタリアの生活や時代背景とともに描かれている。どんな人にも魅力的なところがあるのだということを気付かされた。

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    2019年09月28日
  • コルシア書店の仲間たち

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    ネタバレ

    たしかに、最初の方はとっつきにくくて、大丈夫かなと思ったがだんだんこの書店の魅力、ミラノの雰囲気、詩的な表現に取り込まれていった。

    こういう穴ぐらのような場所というのは、みんなが求めていて、たとえば大学の部室なのか、行きつけの飲み屋なのか、なんとなく誰かが集まる親友の家なのか、そういう人間くさい、人があつまってしまう場所というのは居るだけで居心地がよくて、理念や目的があってもなくても、結局はそこにいる居心地の良さが目的になるのだと思う。

    そして、それぞれが目的をもってそのねぐらを離れていくときがくる、やはり心の指針を定めることができるのは自分だけであり、それなくして、本当の意味での心の平静

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    2020年05月29日
  • 遠い朝の本たち

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    ネタバレ

    須賀敦子さんのエッセイ。
    過去の自分や読書について語られています。

    小さいころからの友人、
    夙川から麻布に引っ越したときの出来事、
    隣人の俳人(原石鼎)のこと、
    「少女の友」の中原淳一の挿絵、
    などなど。

    取り上げられている本が特に有名な本とは
    限らないところが興味深く、
    「即興詩人」「戦う操縦士」
    「幼きものに」を読みたいです。

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    2019年07月11日
  • コルシア書店の仲間たち

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    須賀敦子氏の作品を読むのは「トリエステの坂道」に次いで2作目。ミラノのコルシア書店での仲間たちとの思い出を語っている。

    出会いと別れ、年月の経過による人の変節など少し物悲しいけれど、どこか心温まる話が散りばめられている。それと文章が美しい、というか洗練されている。

    大切な人との死別、友人との別離等があっても、人は全くの孤独ではない。

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    2019年06月29日
  • ユルスナールの靴

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    マルグリット・ユルスナールとその著作、そして著者須賀敦子自身のエピソードを交錯させながら、見事に独自の世界を気づきあげています。改めて、須賀敦子の力量に感嘆します。

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    2019年06月20日
  • コルシア書店の仲間たち

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    かつてイタリアのミラノに存在した小さな書店を共同体として集まった仲間たちを、著者の目線で綴ったエッセイ。
    回顧録といってもいいかもしれない。

    時は1960年代。

    情熱を燃やして集う仲間たちの生き生きとした姿、人間味溢れる姿は最後までとても美しい。

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    2019年06月19日