須賀敦子のレビュー一覧

  • 須賀敦子
    エッセイと小説の違いを厳密にはよくわかっていなかった。前者は真実であり、後者は創作なのだそうだ。本書に収められているのはすべてエッセイであり、筆者は生涯小説を書かなかったという。それにしても、すべてが真実であるならば、何と楽しい人生であったことか。勿論、両親から猛反対された結婚や、その夫に先立たれた...続きを読む
  • ヴェネツィアの宿
    名文。

    これは読む人を選ぶと思いますが、本好きなら一度は読んでほしい。

    水のようにすらすらと読めて楽しいエッセーもいいけど、たまにはこういう文も読まないとダメになってしまう。
    しっかりと意識して読まないと一つ一つの文が意味を持って入ってきません。でも、読めば読むほど、面白いし情景が心に迫る。

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  • コルシア書店の仲間たち
    以前、新聞で須賀敦子さんのことを初めて知りました。それ以来気になっていて、この書を手に取りました。とにかく、静かな書。心が落ち着きます。哀しみを含んでいるけど、空虚じゃない。
    ミラノでの日々が描かれているけど、彼女が日本での日々を書いた本があったら、読んでみたい。
  • 塩一トンの読書
    塩を1トン舐めるように夫婦を共にするという言葉を姑から言われたそう。そこで、筆者は読書に置き換えたそう。

    筆者は晩年新聞等のコラムに書評を書いていたそうだ。
    いい読書のとっかっかりになると思う。
    読書だって塩1トン舐めるようなもの。
    いろいろな本を読んで、少しずつ消化したい。
  • 霧のむこうに住みたい
    須賀敦子さんの本が書店の平台に乗るようになってから亡くなるまで、その数は決して多くはなかったけれど、だからそれらを折りにふれて大事に読み返してきた。もう新しいお話を読むことはできないのだ。好きな作家が居なくなってしまうというのはそういうことだ。
    没後に編まれた数々の本にも限りがあるから、なんとなく、...続きを読む
  • ヴェネツィアの宿
    須賀さんの家族についてのエッセイが多いこの本。
    若い頃、けっこう家族のことや留学のときの苦労の話が多く語られている。

    年をとってから再び会った友人と1時間を共に過ごしたとき、あまり語らうことができなかったけど、友人のたたずまいを見ていい人生を送っていることが感じ取れたそう。
    この話を読んで、今も昔...続きを読む
  • 本に読まれて
    須賀敦子さん、ずっと気になっていた。何から読もうか、須賀敦子という名を目にするたびに考えていたんだけど、書店で目にしたこちらの装丁がすごくツボだったし、書評好きなので購入した。

    比喩に理念が絡まっていて(一読では美しいけれども見逃しがち)すごくかっこよくてあたたかい文章だった。

    還暦超えてもデュ...続きを読む
  • なぜ古典を読むのか
    ここで紹介されている作品や解説は日本人には馴染みが薄いと思う。が、それ自体は問題ではない。
    最新作のレビューではなくなぜ古典なのか、古典というものをどう捕らえるかが問題なのだ。
    たしかに理解しづらくはあるが、カルヴィーノの古典に対する精神に触れられることは、日本においても素晴らしい特権である。
    彼の...続きを読む
  • ヴェネツィアの宿
    戦前・戦後の古い佇まいを残した東京と京都、ヨーロッパが憧憬の対象だった時代、厳格さと格式を残したミッションスクール、ヨーロッパでの寮生活、静謐で上品だった時代の記録。須賀敦子の視線は柔らかく、居住まいを正したくなる。あの時代に生きていたことが羨ましい。
  • ヴェネツィアの宿
    須賀さんの文章に初めて触れた時
    ?と、疑問符が湧いた。
    初めての味覚に戸惑う子どもに
    なった様で、それは新鮮さを持って
    何度も何度も口の中で須賀さんの言葉を転がすのだが、不思議とぴったりの
    形容が浮かばない。
    彼女の人生に触れれば、糸口が見つかるだろうか?
    そんなわけで、私の須賀敦子探しの旅がこの本...続きを読む
  • 遠い朝の本たち
    妙先生にお借りした本。
    子供の頃感じたこと、本にまつわること、そういったことを大切に、素直な気持ちで書けるなんてすてき。子供の頃何が大切だったか、どう感じたのか、そういったことを大切にしている人が好き。例えば、中勘助とか。忙しない日々に、つかの間の透き通った時間をもらえた気分。アン・リンドバーグも並...続きを読む
  • ヴェネツィアの宿
    ずっと読んでいた本。借用本で一区切り。

       ヴェネツィアの宿
       夏の終わり
       寄宿学校  
       カラが咲く庭
       夜半のうた声
       大聖堂まで 
       レーニ街の家
       白い方丈
       カディアが歩いた道
       旅のむこう
       アスファデロの野をわたって
       オリエント・エク...続きを読む
  • ユルスナールの靴
    修学旅行の感想を高校時代の恩師に読んでもらった時に、「須賀敦子を彷彿とさせられました」という言葉を渡されてから、ずっと心のどこかにひっかかっていた名前を、ようやく手に取る。
    わたしの須賀敦子処女をこの本に、このタイミングで捧げられたことをほんとうに幸運におもう。
    ユルスナールという数奇な人生を辿った...続きを読む
  • ヴェネツィアの宿
    「遠い朝の本達」と同様、著者の少女時代や父に対する反抗と愛情、母への想いなど日本や日本人に関する随筆が半分を占める。特にこの本は父の生き様や、著者が奔走の末になんとか修復にこぎつけた父母の関係がはっきりと描かれており、驚くことも多かった。いままでの彼女の文章からは、そのような家族のもめ事は感じ取れな...続きを読む
  • ヴェネツィアの宿
    わたしにとって、特別な本です。
    静かな、けれども着実にふみしめて歩いて行くような文体。

    須賀さんは、本当に美しい言葉を話す人だったと
    彼女と親しかった先生からうかがいました。

    須賀さんのエッセイは
    いまでも多くの人の心のなかに、たしかな音をたて、やわらかな足跡を残していく
    そんな作品のような気が...続きを読む
  • ヴェネツィアの宿
    イタリアと日本、両方の記憶が時代を超えてるつぼのように混ざり合い、往還するつくりの一冊。ほかの著作にくらべ少し湿っぽい雰囲気があるのは、家族の思い出にふれる筆のせいだろうか。まさにヴェネツィアにいるように、水の上にたゆたうイメージがある。
    特に、確執を抱えながらも、父の一番の理解者だったとやはり思っ...続きを読む
  • ヴェネツィアの宿
     著者は昭和4年生まれ、昭和28年よりフランス、イタリアに留学し、昭和46年帰国。その間イタリアで結婚するも、夫に早く死に別れる。半生を振り返るかのようなエッセイ集。
     印象的だった箇所「女が女らしさや人格を犠牲にしないで学問をつづけていくには、あるいは結婚だけを目標にしないで社会で生きていくには、...続きを読む
  • 遠い朝の本たち
    著者の生きてきた背景や感じ方・考え方・捉え方に共感するところが多く、吸い込まれるように読み終えて、著者が小さい頃から読んだ本についての感想に感化されて何冊か読んでみたいと思った。
  • コルシア書店の仲間たち
    お布団に入って、
    寝る前に聞く、
    おばあちゃんの思い出話、のような作品。

    イタリアで過ごした若き日の思い出が、
    たんたんと綴られています。

    小説のように客観的。

    感情が抑えられているぶん、
    じわーと、胸がくるしくなる。

    「もう過ぎたことだけれど」 みたいな、
    諦め?のようなもの...続きを読む
  • 遠い朝の本たち
     アン・モロー・リンドバーグの『海からの贈り物』は、名著として名高い。試しに、ある程度本を読んでいそうな女性何人かに訊ねると、「読みました」とか「勿論読みましたよ」と返ってきた。中には「私の一番の愛読書です」と答えたひともいた。単なる随筆の域を超えて女性の生き方の指針たり得る一冊であるらしい(「らし...続きを読む