武田一義のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最初の3巻ほどで、もういいでしょ、と思ってしまう。戦争は人類が犯している最大の過ちであり、最も知られざる悲劇だ。だからその実態を描いたマンガはとっても貴重だけれども、1944年9月の米軍上陸から始まった南の前線基地ペリリュー島約一万人の兵士の殲滅譚は、11月の島の「玉砕」宣言辺りで描き切ったと思えた。でも見るとあと7巻もある。
実際には、そこから2.5年間、1947年4月に残った日本兵34人が投降するまで、彼らの戦いは続いたのである。生存者への聞き取り、研究者との二人三脚、現地取材、映像資料などを通じて、史実にかなり忠実に(しかし主要登場人物は多分フィクション)で描かれたと思う。銃撃で吹っ飛ぶアタマ、腐ってゆく身体、食糧調達の様々な知恵、米軍に閉じ込められた男は2ヶ月同胞を食って命を繋ぐ、投降しようとした同胞を何人も殺す‥‥、その他様々な小物、自然などの描写をリアルに描く。全11巻でこそのリアルな戦争マンガだった。
一方で登場人物は全て三頭身のデフォルメされた描写に徹した。これは正しいやり方だったと思う。現代の人間は、こんな極限の状態を長いこと見ていられない。私も、映画「野火」のような状態が24時間続いたら、精神に変調が生じてしまうかもしれない。
最後の数巻は、主人公の田丸だけではなく、親友で頼もしい吉敷、残存兵たちをカリスマ的にまとめ上げた島田、常に自分の生命安全を優先させたのに最後の選択で帰れなかった小杉、最後まで自分の心情を口にしなかった片倉の、彼らの交差する運命と戦後の命の仕舞い方を描いていた。
アニメ化されるらしい。
片倉さんの「体験していなくても、(マンガを)描けるとお考えですか」という根本の問いを、武田さんは正面から受け止めているように思える。生き残った田丸さんにしても、孫に話し始めたのがこの作品の始まりということになっている。田丸さんは息子には一切話していなかった。何故なら、「自分が人を殺したという事を、それを、自分の子どもに伝えるのは、とても恐ろしいこと」だから。
私の父は呉の海軍通信兵候補で戦争を終えているので、戦場に行ったことはない。上等兵に尻を叩かれた等の厳しい訓練生生活を、夕食時に得意げに何度も「同じこと」を喋っていた。「昔は大変だったけど、今の世界に生きることは幸せなんだよ」と不器用ながら伝えていたのだろう。今ホントに悔いが残るのは、叔父がシベリア抑留からの帰還兵だった。体験を一度も聴いたことがなかった。多分誰にも喋っていない。聞けるとしたら、親族の中では私しかいなかったのかもしれない。しかし、それももう10年前に叶わぬことになっている。
こういうマンガは、ホントに貴重だ。
今現在世界の片隅の「戦争」で、
次の一瞬にも生命を落としている方がいる中で、
ひとつの選択が、大きな過ちに繋がるこの世界で、
こういうマンガはホントに貴重だと思う。
「ヤングアニマル」2016-2021年連載。
2022「このマンガがすごい!」オトコ編第9位。 -
Posted by ブクログ
シリアは中東の方にある危ない国くらいしか知識がなかった。
ジャーナリストと聞くとどうしてもあのイスラム国の事件が蘇ってくる。
ジャーナリストである桜木さんの書いたこの本を読んで、色々知りたかった。
銃で撃たれてもジャーナリストを続けている桜木さんのこの著書を。
所々の漫画で柔らかくはなっているが、
想像を絶するシリアの現状。
彼の生活。
生と死の隣り合わせの日々。
それでも現実を伝えることで、少しでも状況を変えたいという思い。
なぜ戦争が起きてしまうのか。
それは思いのすれ違い。
政府と市民のそれから始まり
その中でも思想の違いが生まれ
色々な勢力が出てきてしまう。
日常を日常として過ごせている幸せ。
私たちが安穏と過ごしている裏側では
このような現実がある。
それはやっぱり知っておかなければいけないことだと思う。
とても読みやすく、リアルが書かれているこの本。
色んな人に読んでほしいと思った。