館野とお子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ初読みの作家さんです。
攻の一人称語りとか、序盤の独特な比喩表現に、出だし苦手意識を持ったのだけど、読んでるうちに慣れてきて、『明るくさっぱりしたところは、人の気持ちをあまり気にかけない冷淡さと表裏一体』とか『それは子供の無邪気さが残酷なのと似ている』とか、結構いいこと言うなぁ~と思ってみたりして。
三年も一緒に暮らした彼女とケンカ別れして家を飛び出し、切羽詰まって友達とルームシェアしている妹の元を訪れた大学院生の昴星。
困り果てた昴星を出迎えたのは、妹たちに留守番を委された、妹のシェアメイトの弟:万象だった。
ひょんなことから、性格も見た目も正反対なふたりの奇妙な同居生活が始まる。
女の子に見られてもおかしくないくらい線が細くて、小ぎれいな顔立ちの万象。
その繊細な容姿に似合わず、いつもちょこちょこ動き回ってる。子リスみたいに。動くのを止めたら死んでしまう回遊魚みたいに。
一方の昴星は、生真面目で身長も頭脳も規格外。一見強そうでしっかりしてそうに見えるけど、実は優柔不断でヘタレ。
お互い利害関係のない、ただの同居人である間は、
昴星も万象のふわんふわんとして捉えどころがなく、何事にもとらわれていない身軽さを好ましく思っていたし、万象の方でも、昴星の地に足のついた落ち着きみたいなモノに憧憬めいた気持ちを抱いていたはず。
でもひとたび、自分の彼氏になってしまうと、身軽さは危うさにすり替わって終始ヤキモキされられ、あからさまな愛情表現をしない慎重さに歯がゆさを感じたり。
全く違った個性を持つ誰かと付き合うのって、こういうことだよね~と改めて感じさせられる。
大きな事件やら、不幸なトラウマやら、パッと目を引くようなエピソードは何もないのだけれど、この日常のモダモダした感じが逆にリアリティをもたらす。
この世の何処かで今日も誰かがこんな恋愛してるかも、と思えるような。
万象も昴星も個人的には全く萌え対象ではないけれど、出だしの期待値よりはずっとよかった印象。
それって褒めてんのかな…? うん、一応褒めてるつもり。
中盤、当て馬として登場した高校時代の後輩田原のスピンもわりと好き。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあらすじ…剣道部の百瀬は、先輩・皆川に憧れていた。
皆川の友人、池田はそんな百瀬に"気持ちを知っている"と、皆川と付き合っている事実を見せ付ける。
一方、皆川の同級・藤吉は、皆川と池田のキスを偶然目撃して以来、親友の山下に何故か動揺してしまう。
剣道部の顧問、泉先生には気になる生徒がいて…。
百瀬⇔皆川を起点に、かわるがわる登場する連立方程式の恋模様。
同じ学校を舞台に、3CPの物語が楽しめる今作。
メインのお話は、いけすかない先輩・池田×剣道部先輩の皆川で、
皆川を意識するようになる後輩・百瀬視点で物語はすすみます。
仲の良い先輩・後輩関係だった皆川と百瀬ですが、池田の計らいで、ある日百瀬は図書室で池田と皆川の情事を目撃してしまう。
一方的な発言、行為へと及んだ後、さっさと図書室から出て行った池田。
…俺ならもっと優しくするのに…と、ここで皆川の事が好きであると気付いた百瀬。
ここから先輩2人+後輩の関係性が変化していきます。
巻頭と巻末に物語が分かれて載るカタチで、百瀬的に、最終的には報われない…?微妙な終わりとなりますが、皆川の天然タラシ具合に振り回される2人にニヤりと出来ました笑)
紆余曲折へて落ち着くところに落ち着いた?お話だと思います。
上記以外に2CP、「変わる世界-3年1組 藤吉君の場合-」と、「変わる世界-3年2組 泉先生の場合-」という物語も収録されていますが、自身としてはこの2つがとても良かったです。
池田と皆川の影響から男同士の関係に興味を持ち、友人だった山下と「確かめるため」と、関係を持ってしまう艶やか貪欲受な藤吉笑)
気持ちより肉体を先行してしまったため、相手の事が好きかも…?というこれまた微妙な所で終わります。
泉先生のお話は、赴任してしばらく経ち生徒との適度な距離間を持ちつつ「先生」をしていた教師が、1人の生徒に自分の学生時代の想い人を重ね、翻弄されつつも思いを通わせるお話。
ここで登場する生徒の斎藤君がとってもかっこ良くて…惚れます。
両手が塞がっている先生が落とした荷物を拾い、「すぐそこまでだし…」と断る先生を余所に「俺がそうしたいだけなんで」とさらっと部室まで運ぶその姿…素晴らしい!笑)
…上記は局地的な話になりますが笑)、
全体を通して、同じ学校で起こる物語なので人物関係が把握し易く面白かったです。
あらすじを見て気になった方はぜひぜひ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあらすじ…1人暮らしをするためバイトを探していた持田は、同じ大学の塚原の家に同居し彼を見張るというバイトをすることに。しかし塚原は頻繁に男を連れ込むホモだった!
始めは戸惑っていた持田だが、一緒に暮らすうち徐々に塚原のことを理解し友達として受け入れる。
ある夜、塚原の部屋から洩れ聞こえてきた情事とわかる声に反応してしまった持田は…。
悩める純情ラブ。
大学に通うのに2時間かかる…という状況で、なかなか都合の良いバイト先が見当たらない持田君。
見兼ねた友人が紹介してくれたのが、「塚原奥」という男の家に張り込みで居候し、ちゃんと生活しているかを報告する、というもの。
気がすすまない中、会ってみるだけ会ってみようと訪れると、初日から塚原が男とヤッている所を見てしまう。
「俺に生活変えろって?」「お前みたいなのに興味ない」と印象最悪な塚原だったが、短期間だけ、しばらくは耐えてみせよう…と関わっていくうちに2人の距離は近付いていく。
ノンケ童貞の主人公持田君が塚原のBL接触にあくせくして意識する所や、
塚原の中で対象外だった持田が大切な人に変わっていくまでの過程がしっかりと描かれており、読み応えがあります。
表題の「恋は思案のほか」にもう一編「君までの距離」という作品も収録されていますが、こちらは元大学同級生な2人の物語です。
大学生の頃は毎日一緒にいて、なんとなく寝るようになって、大学を卒業したら片方は大学院、もう片方は就職。
環境が変わっていく中で、2人の関係にもズレが生じ…というような。
時が経つにつれ関係性は変わっても、気持ちが通じ合う部分が読んでいてほっこり、出来ました。
気になった方はぜひ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ概ねハッピーエンドなのだけど読後ホロリとあま苦い。
どこか自分のありきたりな予想を裏切られるというか、全てまるっとおさまって大団円みたいじゃないというか。だからこそ、この作家さん好きなのだけど。
かっこいい部活の先輩皆川に漠然と憧憬の延長めいた好意を抱いている百瀬。
いつもみつめているからこそ、皆川の秘密に気付いてしまう。
明るくて人懐っこい皆川とは対称的に冷たくてシニカルな池田。
池田が仕掛けた半ば嫌がらせ的なふたりのエッチを目の当たりにして衝撃を受けながらも、皆川に寄り添おうとする百瀬。
皆川は池田の突き放しにすぐ泣いちゃうようなヤワなタイプじゃないけれど、それでも、このふたり、ホントにうまくいってんの?自分ならもっとやさしくできるのに…って考えてしまう誰しも経験あるような片恋にキュンとする。
実は池田は池田なりにちゃんと皆川が好きで、むしろ池田の方が気持ちは重いのに、それを素直にぶつけるにはプライドが高すぎて、裏腹に皆川を傷つけちゃう池田がもどかしい。一方の皆川はそのあたり意外と無頓着で、自分に好意を寄せる百瀬の気持ちを知ってからも無邪気にキャッキャッしちゃう鈍感さもズルさも嫌な感じではない。何だよ、天然かよ、罪なヤツ。
一見何も見えていないのかと思いきや、“俺は何か見落としているのかも”って気づけるくらいには皆川をちゃんと理解している。結局想いあっているんじゃん、このふたり。
でも取り巻く世界はこれからもどんどん変わっていくし、
百瀬もどんどんいい男になっていくし、この先奪っちゃってもおもしろいのにな、と私も藤吉と同意見。
だって当て馬がただの当て馬で終わらないところが、館野さんの作品のおもしろいところだし。
他の2カプの話もそれぞれよかった。特に訳わかんない探求心とチャレンジ精神を燃やす藤吉が何気にエロかわいくて大好き。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ聴覚障害を持つ受と、将来有望なバレーボール選手の攻のお話です。
聞こえない世界と、聞こえる世界の人間の間にはどうしようもない
壁があり、それをきれい事で済まさないこの作品に感嘆します。
ぜんぜんご都合主義ではなく、奇跡なんておこることもなく、
淡々と、本当に淡々と日常が進んでゆくという展開は正直地味。
地味なんですが、これほど心に響くものもないと思いました。
小学生の時、同級生にイルカの声みたいだといじめられてから、
一切声を出さなくなってしまった受けの幸が、拒んで拒んで拒んだ
末に攻めの名前、くにひこ、と発声した瞬間は、なんだかどうしようも
なく胸が詰まりました…。