作品一覧

  • 社会的孤立の支援と制度 ひきこもりの20年から多元的包摂へ

    社会的孤立の支援と制度

    ビジネス・実用

    -
    1巻4,400円 (税込)
    ひきこもりの長期化や高年齢化が指摘され、親が高齢になり介護が必要になった段階で親と同居している無職や未婚の成人子の存在、特に子のひきこもりの問題が浮上した。8050問題である。 社会問題化してすでに20年以上たったひきこもりとは何か。それは大きくは社会的孤立に含まれる状態であり、年齢に固有の孤立(就職先とのミスマッチを経験する時期の若者や、退職後の高齢者など)、病気や障害による孤立、心理的な背景をもつ孤立(不安感や疎外感など)などがいくつも重なって表れることだ。 本書では、ひきこもり研究の第一人者が、「ひきこもりとは多様な社会的孤立の一側面である」として、生涯にわたる社会的孤立の解消をめざす施策を提起する。 民生委員の役割、生活困窮者窓口の支援、地域包括支援センターの対応、支援論の変遷、さらには政府の政策や法律を検証することを通して、孤立の多元的な理解と支援を提言する。表80点以上、図30点と、この20年の推移がわかるビジュアルな資料も充実。
  • 私と西洋史研究 歴史家の役割

    私と西洋史研究 歴史家の役割

    ビジネス・実用

    -
    1巻2,750円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 計量経済史、生活史、世界システム論など、新しい手法を開拓しながら、戦後の西洋史学界を牽引してきた著者の50年にわたる研究生活を総括。画期をなした諸研究の背景、戦後史学会の動向、歴史学の意味と歴史家の役割など、碩学ならではの考察を収載。「川北史学」のエッセンスを余すところなく伝える、待望の個人研究史=史学概論。
  • イギリス史 上

    イギリス史

    ビジネス・実用

    3.0
    1~2巻1,320円 (税込)
    EU離脱(ブレグジット)で国論を二分する混乱を味わったイギリスの、保守性と先進性のあいだで揺れる歴史をたどる。『新版世界各国史 イギリス史』を分冊・加筆したハンディ版。
  • 大都会の誕生 ──ロンドンとパリの社会史

    大都会の誕生 ──ロンドンとパリの社会史

    ビジネス・実用

    3.0
    1巻1,287円 (税込)
    18、19世紀のロンドンは、「世界経済のメトロポリス」であると同時に巨大なスラムが存在する「世界の吹溜り」でもあった。また、カフェやレストラン、劇場といった華やかな文化を生み出したパリの都市空間は、二月革命に代表される民衆騒乱の舞台にもなった。人はなぜ都市に集まり、どのように大都会の生活様式が生まれたのか、この根本的な問いをめぐって、イギリス近世・近代史、フランス社会運動史をそれぞれ専門とする碩学が重層的な連関のなかに考察する。ふたつのアプローチ、すなわち経済生活と民衆運動、その違いがそのまま「二都」の性格の反映となっていることもきわめて興味深い。
  • 世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界

    世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界

    ビジネス・実用

    4.1
    1巻1,287円 (税込)
    “近代世界を一つの巨大な生き物のように考え、近代の世界史をそうした有機体の展開過程としてとらえる見方”、それが「世界システム論」にほかならない。この見方によって、現代世界がどのような構造をもって成立したかが浮き彫りとなる。すなわち、大航海時代から始まるヨーロッパの中核性、南北問題、ヘゲモニー国家の変遷など、近代のさまざまな特徴は、世界システム内の相互影響を分析することで、はじめてその実相を露わにするのだ。同時にそれは、歴史を「国」単位で見ることからわれわれを解放する。第一人者が豊富なトピックとともに説く、知的興趣あふれる講義。
  • イギリス近代史講義

    イギリス近代史講義

    ビジネス・実用

    3.9
    1巻1,100円 (税込)
    一国史観・進歩史観では世界史はわからない。都市と田舎の違いとは。近世イギリスはなぜ晩婚社会だったのか。昼寝より残業を選ぶ心性はいつ生まれたか。世界で最初の産業革命はなぜイギリスだったのか――。ヨーロッパ世界システム下、イギリスの民衆はどのような日常生活を送ったのか。イギリスの「繁栄」と「衰退」を捉え直し、日本の現在を考える。生活史、世界システム論を開拓してきた泰斗による近代史講義!
  • 洒落者たちのイギリス史

    洒落者たちのイギリス史

    ビジネス・実用

    4.0
    1巻1,068円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 社会的地位の基準はどのようにして<身分>から<富>へと変わったのか?ファッションという日常・具体的な視点から、近代英国社会の全体像を浮き彫りにする。
  • イギリス 繁栄のあとさき

    イギリス 繁栄のあとさき

    ビジネス・実用

    4.4
    1巻1,012円 (税込)
    今日、イギリスから学ぶべきは、勃興の理由ではなく、成熟期以後の経済のあり方と、衰退の中身である――。産業革命を支えたカリブ海の砂糖プランテーション。資本主義を担ったジェントルマンの非合理性。英語、生活様式という文化遺産……。世界システム論を日本に紹介した碩学が、大英帝国の内側を解き、歴史における「衰退」を考えるエッセイ。(講談社学術文庫)
  • 史的システムとしての資本主義

    史的システムとしての資本主義

    ビジネス・実用

    3.9
    1巻990円 (税込)
    壮大な〈世界システム論〉を唱えたウォーラーステイン(1930-2019).資本主義をひとつの歴史的な社会システムとみなし,「中核/周辺」「ヘゲモニー」「帝国」「反システム運動」などの概念を用いて,その成立・機能・問題点を鋭く描き出す.現代世界を批判的に検討し,未来を展望するうえで示唆に富む一冊.

    試し読み

    フォロー
  • 砂糖の世界史

    砂糖の世界史

    ビジネス・実用

    4.3
    1巻924円 (税込)
    茶や綿織物とならぶ「世界商品」砂糖。この、甘くて白くて誰もが好むひとつのモノにスポットをあて、近代以降の世界史の流れをダイナミックに描く。大航海時代、植民地、プランテーション、奴隷制度、三角貿易、産業革命―教科書に出てくる用語が相互につながって、いきいきと動き出すかのよう。世界史Aを学ぶ人は必読!
  • 生活の世界歴史〈1〉古代オリエントの生活

    生活の世界歴史

    ビジネス・実用

    -
    1~10巻880円 (税込)
    灼熱の太陽と肥沃な粘土の地に地球最古の農民生活はいかに営まれたのか。パン食を始め、ビールを飲む古代人の心配事は、現代とほとんど変わらない。新しい史観にたって生活のディテールから意識までを描く。
  • 8050問題の深層 「限界家族」をどう救うか

    8050問題の深層 「限界家族」をどう救うか

    ビジネス・実用

    4.2
    1巻836円 (税込)
    長期・高年齢ひきこもり──「8050問題」に大きな注目が集まるいま、長く社会的孤立を研究してきた専門家が、全国規模の調査・リポートをもとに問題の本質を明らかにする。同時に、親子共倒れから脱する具体的方策を提言する。 第一章 終わらない子育て 第二章 ひろがる社会的孤立と8050問題 第三章 ひきこもり支援の糸口 第四章 限界家族をどう救うか
  • 資本主義をとことん考える

    資本主義をとことん考える

    ビジネス・実用

    -
    1巻220円 (税込)
    先進国を中心に長期停滞論が叫ばれ、拡大する貧富の差がその限界論を裏付けようとしている。「資本主義」というシステムは限界に達したのか。どこに問題があるのか。徹底検証した。本書は週刊エコノミスト8月12・19日合併号の特集「資本主義をとことん考えよう」をまとめた。 主な内容 Part1 何が問題か ・ピケティ理論で知る資本主義の本質 ・長期停滞論 先進国が直面する避けがたい限界 ・インタビュー バリー・アイケングリーン教授 ・対談 寺島実郎vs水野和夫 ・日本の現実 速いスピードで若年層格差が深刻化 ・120年実証研究 日本も戦前は「格差社会」 高度成長期に「格差なき成長」 ・法人税減税は有効か 不公平感をなくす所得再分配政策を ・タックスヘイブンの弊害 専門テクを駆使して税金を払わないグローバル企業 ・ピケティ理論と日本経済 資本分配率の上昇は日本には当てはまらない ・日本経済の課題 回復には生産性の向上が不可欠 Part2 歴史に学ぶ ・資本主義の起源 「英国」や「西欧」を超え「世界的」だった ・グローバリゼーション 覇権国の盛衰と金融危機を伴う ・財閥が果たした役割 企業統治と買収で資本市場を活性化 ・なぜキリスト教だけか ウェーバーが説き明かした資本主義成立の条件 ・経済学は考える 資本主義における「対立」と「不況」 ・アジアと欧米で違い 経済成長の経路は同一ではない Part3 秘話探訪 ・サッカーと初期資本主義 ・富岡製糸場―近代産業の原点 ・サグラダ・ファミリア教会のパトロン
  • 世界史に学ぶ経済

    世界史に学ぶ経済

    ビジネス・実用

    -
    1~3巻220円 (税込)
    リーマン・ショック後、日米欧の果敢な金融緩和や財政出動によって、世界経済は壊滅的な状況になるのを回避しました。しかし今後、金融緩和の縮小段階に入っていくなかで、各国の経済や市場に大きな影響を及ぼすことが予想されます。ただし、何が起きるのか、それがどれぐらいのマグニチュードで起きるのかは、誰にも正確な予測はできません。  同様に、中国の台頭で世界の覇権構造はどう変わるのか、動力革命・インターネット革命に続くイノベーションは何か----といったことは、誰もが最も知りたいところでありますが、予測も困難です。ただし、現在の世界は、過去の歴史の積み重ねでつくられています。世界経済のさまざまな歴史を知ることは、今の時代を読み解くカギになるでしょう。  本書は、「中国は経済発展を持続できるか」とか「シェール革命で何が変わる」など、現代人がいま気になっていることを、過去の類似の事象などと比較して考えてみました。社会制度や科学技術も異なる時代の事象との安易な比較は慎むべきとしても、思わぬ示唆が得られるはずです。  本書の主な内容は以下のとおりです。 Part1 歴史で今を読み解く 疑問1 米国の金融政策はなぜ市場を乱す? 疑問2 中国の「影の銀行」は破綻する? 疑問3 アルゼンチン危機はなぜ頻発? 疑問4 貿易自由化はなぜ始まった? 疑問5 シェール革命で何が変わる? 疑問6 中国は成長を持続できるか? 疑問7 日銀が異次元緩和をしたのはなぜ? 疑問8 ITは仕事を奪うか? 疑問9 超インフレ時の株価は? 評論1 現代中国史 毛沢東とトウ小平の改革は常に「政治優先」だった 評論2 成長の壁に直面する先進国「戦争経済の先」を古典に学ぶ Part2 これが世界史を変えた 砂糖と紅茶 「イギリス風朝食」成立の裏面史 気候変動 飢饉をもたらした小氷期 麻薬 植民地経営の資金源 新幹線 世界の交通史を変えたスピード、収益、運行方式 ファッション スーツの原型は下級貴族の日常着 人口と地政学 ユーラシア覇権巡る攻防 歴史を左右した人口動態 オリンピック 冬季開催に反対した北欧 エロスと交易 長崎貿易を支えた遊女のコスプレ 大作を読む1 E・H・カーの『歴史とは何か』 大作を読む2ウィリアム・H・マクニールの『世界史』 Part3第一次世界大戦から100年 1総力戦が結びつけた「デモクラシー」と「ナショナリズム」 2政治指導者たちの誤算を描く『八月の砲声』 3人口爆発、経済成長、軍拡 強大化で孤立したドイツ

ユーザーレビュー

  • イギリス 繁栄のあとさき

    Posted by ブクログ

    本書はイギリスの盛衰を対象に、様々な問題を考察した本ですが、新しい歴史観を与えてくれるとてもいい本でした。

    イギリスや日本、アメリカはどんどん衰退していくとよく言われますが、その速度はとても緩やかなんだと書かれており、めちゃくちゃ納得できました。

    日本やアメリカは今後、衰退していくと思いますが、我々が生きている間の時間単位で考えれば、あんまり変わらないのかなっと楽観的になれました。

    0
    2026年09月13日
  • 砂糖の世界史

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    "p12 カナダの国旗に描かれている「かえで」のマークは『砂糖かえで』と言われている
    p15 サトウキビの栽培には適度の雨量と温度が必要なうえ、その栽培によって土壌の肥料分が消耗して土地が荒れるため、次々と新鮮な耕地を求めてどんどん移動していかないと行けない性質がある
    p24 エチオピアが原産地だったコーヒーはインドネシアのジャワやブラジルやコロンビアにたどり着き、プランテーションで作られるようになった
    p25 ヨーロッパからアメリカに移されたもので馬があるため、西部劇の世界は「コロンブスの交換」無しにはありえなかった
    p28 砂糖あるところに奴隷あり。
    p29 金平糖、カステラはポルトガル語から来ているが、ポルトガル人が奴隷をアフリカで獲得し砂糖プランテーションを作ることが容易だったから
    p34 アメリカの先住民はインディオと呼ばれるが、コロンブス時代のヨーロッパ人がその土地をインドだと勘違いしたから。また、スペイン人の持ち込んだ病気などによってほとんど死滅してしまい、残ったのは岩山と海賊だけ
    p39 砂糖生産ばかりになってしまったカリブ海などはモノカルチャーといわれるようになった
    p64 砂糖は昔、医薬品として扱われていた。白くて甘くて高価だから。効かないわけがないといわれていた。
    p73 茶は紅茶も緑茶も、もともとは同じ葉っぱで加工の工程で紅茶になるらしい
    p77 茶と砂糖は当時は高級なもので、ステイタスシンボルのために茶に砂糖を入れていた。アホ
    p80 イギリスでは19世紀になると刑務所の囚人でさえ紅茶を飲むようになった。その結果、イギリスでは茶葉は1枚も取れないのに紅茶といえばイギリスを思い浮かぶようになりました。
    p84 クロムウェルが東インド会社の組織を変更し、世界で最初の株式会社を作った
    p96 コーヒーハウスという情報交換センターのようなカフェのような場所で科学革命が起きた。ニュートンもここの会長を勤めている。コーヒーハウスでは取材や集会があったり、新聞を読むのも誰かが声を出して読み上げ、みんながそれに耳を傾けるというものもあったりした
    p97 南海泡沫事件(サウスシーバブル)がバブル経済の語源である。内容は南海会社という会社がスペイン領植民地に奴隷を売りさばいたりしていており、大変儲けていた。それにつられて他の会社も株価が高騰し、中には全く内容のない会社も株価が高騰した。そして1720年になると急に株価が急落し、紙屑同然になってしまった。これがサウスシーバブル事件である
    p103 コーヒーハウス(喫茶店)がなくなった理由:1665年にペストが流行り、死体を大きな穴に投げこまなければならない状態になり、田舎に逃げ惑う人たちがいっぱい発生しました。また、1666年でも「ザ・ファイア」(火事)が発生しました。それでもコーヒーハウスはすぐに復興した。
    自由に色んな人たちが出入りするところがコーヒーハウスの良いところでしたが、クロムウェルの革命などが続いて社会に上下関係が生まれるようになった。それにより同じ階層の人しか集まらないようになり、「クラブ」というものに変わっていった。
    また、お酒が出るようになったり、賭け事が行われるようになり、治安が悪くなっていったことも要因としてあげられる。これは「チョコレートハウス」と呼ばれるようになった。
    p123 ボイコットという言葉は小作人に厳しくしすぎたために、小作人からボイコットされたアイルランドのイギリス人地主「ボイコット大佐」の名前から生まれたもの。
    p129 フランスでは家庭に入ってきにくいコーヒーが主体だったためにカフェが存続した。紅茶が主体だったイギリスは家庭でも取り入れやすいものだったため、コーヒーハウスははやらなくなった。
    p136 1820年代にバンホーテンが粉末チョコレート(ココア)をつくった。1875年にはネスレが作った粉ミルクを混ぜて、スイス人のダニエルペーターがミルクチョコレートを作った。
    p137 バレンタインデーはチョコレートと全く関係ない。昔のイギリスには牧師が子供たちに小遣いとして小銭をあげるという習慣はあった。
    p139 セリで売られる黒人の赤ちゃんの絵が衝撃的
    p149 「パンチ」は元々アルコール飲料でこれがいつしかフルーツパンチになった。これはアルコールの入っていない飲料である
    p153 明治になってから沖縄を除いて砂糖が輸入されるようになり、日本のサトウキビ栽培は維持できなくなった。ただ、高級品であった珍重され和三盆は生き残った。
    p173 今のティーカップには下に敷くソーサーがついており、レモンや角砂糖など置くが、本来はもっと深いものであの受け皿に注いで冷まして飲んでいた。
    p193 砂糖には主にサトウキビとサトウダイコン(ビーツ、てんさい)があり、味も異なるらしい
    p203 まとめ:砂糖は主にカリブ海で生産されたが、労働力はアフリカから黒人奴隷として導入されたし、砂糖のほとんどはヨーロッパで消費された。"

    0
    2026年08月13日
  • 砂糖の世界史

    Posted by ブクログ

    砂糖の発展にどんな歴史バックグラウンドがあったのか、世界史から解説。
    砂糖だけでなく、塩や胡椒など他の「世界商品」についても解説があったりするので教養として良い。
    だんだんとイギリスが嫌いになる。

    0
    2026年08月12日
  • 砂糖の世界史

    Posted by ブクログ

    砂糖が主題だけど、まず第一に歴史人類学的な視点を学ぶための書。中高生のお子さんがいる方も、社会人の方も必修にするとよろしいかと。

    想像以上にイギリス史が主軸だったので興味深く読めた。アフタヌーン・ティーにまつわる歴史を知れば、優雅な印象など消え失せてしまう。引用されているヘンリー・メイヒュー『ロンドンの労働とロンドンの貧民』の再編本を所有しているので、労働者の朝食の変遷について引き続き着目して読んでいきたい。

    0
    2026年08月07日
  • イギリス近代史講義

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    少しはイギリスの歴史(せめて近代史)を学ぼうと思い、手にとった一冊。先ず、経済発展を供給側の事情(労働者、技術、素材等)から読み解くのではなく、需要側(消費者、或いは彼らの生活の変容等)の変化に帰せて理解するという著者の視点が面白い。この視点を表現するべく、本書はイギリスの家族構成やライフサイクルといった話からスタートする。例えば、イギリスは早い時期から単婚核家族/晩婚の社会であり、更に14歳前後から約10年に渡りどこかよその家に奉公に行く(著者はこれをライフサイクル・サーヴァントと呼ぶ。例えば徒弟)という家族の特徴があったが故に、若者はロンドン等の都会を目指した等。そしてこのシステムを土台として都会に人が集まり、社交という文化やファッションという世界が生まれ、それが需要の基盤となった、という流れ。
    また、本書はイギリスの衰退論に関しても議論を展開している。著者の結論としては、経済成長の指標だけを見ると必ずしもイギリスの成長は他欧州国に見劣るものではなく、故にこの「衰退感」を生んでいるのは、常に右肩上がりの成長を求める「成長パラノイア」という考え方なのではないかというもの。確かにイギリスは第一次産業革命で他国よりも先に経済発展を果たしたが故に、重工業に代表される第二次産業革命時には、既存の制度や慣習等が足枷となり、他国程の成長を実現できなかったという点はよく指摘される。一方で、自国の成長率のみを見ると必ずしも衰退している訳ではなく、この衰退感は他国との相対的な成長率の比較により生み出されていると考えるのが妥当である。これは今の日本が置かれている状況と酷似しているように思え、またこの成長パラノイアという考え方が、近年のナショナリズムの根底に流れているようにも思える。
    総じて、歴史的な事実を学ぶことに加え、需要側の視点を押さえるというのが本書から得た学びであった。例えば、第四次産業革命とも言われる近年のAIの急速な発展は、まだまだ需要側が成熟していない(どう使えばよいのか分からない)状況にあるように思える。この不安定感故に、AIで自動生成した画像/動画を使ってYoutubeで収益を上げる等の、到底社会に何か付加価値を生んでいるとは思えないお金の稼ぎ方をする人が出てくる訳である。次第に需要側が成熟し、AIによる付加価値創出の型のようなものが出来上がってくればこのような事例は淘汰されるはずだが…。近年はどうも供給側が需要を引っ張っていくパターンの方が多いように思える。勿論、両者揃っての市場である訳なので、どちらが完全に優位という訳ではないのだが、何だか人の生活やニーズとかけ離れた技術やサービスが多く提案され、生活者側が四苦八苦しているように感じてしまう。大きく捉えると、これはイギリスの第一次産業革命の成り立ちと逆であり、これが今の時代の特徴であるとも言える。この、「供給主導の市場」という大きな視点を持ちつつ、世の中のニュースを長期的に眺めてみると、何か面白い発見ができるかもしれない。

    以下、特に印象に残った箇所
    ・ジェントルマンというのは、近世以降のイギリス社会の支配階層のことで、女性はレディと呼ばれました。膨大な不動産を所有して、その貸し賃で、上流の生活をする人たちのことです。具体的には大地主がそれにあたりました(中略)毛織物業の経営者やその労働者である織布工のように、自ら労働をえ報酬を得れば、原則として、ジェントルマンの地位を失うとされていました(p.37)
    ・ぜいたく禁止法は、中世から近代にうつっていく近世という時代に、中世の身分制秩序が崩れていくのを止めるために、世界中の国で出された法です。これがイギリスでは、世界で最初に全廃されました。この点は経済史としても、生活の歴史という点から見ても大きな意味があります(p.52)
    ・給料が上がった翌日は喜んで寝て暮らすというパターンから、給料が上がったといってますます働くというパターンに変わっていくのは、いつのことだったでしょうか(中略)もともとは経済の発展のためには低賃金が望ましいという考え方が、重商主義にはありました。つまり労働者は、痛めつけて食えないようにしておけば、必死に働きに来るけれども、食えるくらいの給料を与えてしまうと、働きに来なくなるという発想でした。それが、アダム・スミスの前後になると、賃金を高くすればするほど、人は働くと見るようになったのです(中略)ここに見えるのは、賃金の上昇分を消費の拡大に向けはじめた労働者の姿であり、それを「ぜいたく」として非難するのではなく、需要の拡大として評価する新しい経済理論の展開です(p.89〜91)
    ・「神の時間」から「商人の時間」へという有名なテーゼです。「時間」は、神が人間に試練の期間として与えたものであるので、これを利用して利子をとってはならないという「神の時間」の概念が、宗教改革以後に、逆に、「時はカネなり」という「商人の時間」にすり替えられるという話です(p.118)
    ・そもそもイギリスをはじめ、ヨーロッパ全体が、毛織物の世界であったのに対して、産業革命は綿工業からスタートした、と誰もが言います。このパラドックスをまず頭に置いておく必要があります。伝統的な毛織物業は、なぜ爆発的な発展をしなかったのか、ということです。毛織物業を展開していこうとするとき、近世では輸送コストの問題もあったのでしょうが、植民地で羊を飼うという発想はありませんでした(中略)それに対して綿織物は、海外でまさに世界システムを通じて、原料を手にいれることができました。カリブ海、インド、のちにはエジプト、アメリカ南部などに劇的な変化を起こして、そこから綿花を手に入れるという方法を取りましたから、綿業は劇的に発展することができました。それが発展のための前提条件ということです(p.160)
    ・鉄も大いに使うし、コットンも使うし、アジアにあるような陶器も使うという生活のパターンができて、そのうえに乗っかって産業革命が成立するということです。そのような生活ができるということは、消費需要がある、つまり、生活様式の変化が、かなり先行しているということになります。この変化を前提にして、生産の革命が成立していくと、私は考えています(p.167)
    ・一度、産業革命が起こってしまうと、二回目の産業革命は実際にはなかなか起こらない。ドイツやアメリカ、日本は後から産業革命を起こしたから、はじめから第二次産業革命のようなものになっている。ドイツやアメリカで第二次産業革命が起こったとき、第一次産業革命の定着していたイギリスは、にわかに転換することができなかったというわけです。イギリスの社会も、教育も、技術も、産業構造も、すべてが「陳腐化」していったのです。一度できたさまざまな制度や枠組み、急には転換できず、のちの歴史展開をきめていくという考え方は、マルクス主義者ではない「制度学派」と呼ばれる研究者グループのあいだでも、「経路依存」として知られています(p.236)
    ・サッチャーは、労働組合の力が強くて、福祉に傾いたこの国は衰退している、だから、あらためて「ブルジョワ」革命をやると言いました。いわゆる新自由主義的な経済学にもとづいて、経済合理主義を徹底する、ということです(p.244)
    ・だからわれわれにとって問題なのは、成長パラノイアということであって、俗に衰退と言われているものはそれほど悲惨なことではない、というのが長年歴史研究に携わってきた私の結論のひとつです(p.250)

    0
    2026年07月18日

新規会員限定 70%OFFクーポン 今すぐGET