私は吃音者です。だからこそ、書中の若者たちが訴える苦悩や願望に、共感の叫びが絶えなかった。
取材をした 大平さんの、注カフェ店員の若者たちへの寄り添い方がやさしい。
老婆心ながら、 などと言っているが、それは本心からとっさの言動なのだろう。
注カフェを発起させた奥村さんもとてつもない大きなモチ
...続きを読むベーションのある方で、仕事を辞めて活動に注力する情熱。「自分が経験した苦しさを、これからの若者には味わって欲しくない」
と。彼女の本気さ感じた。
また、大平さんは以前 相手の話を聞いていることをアピールするために無意味な相槌を何度もついていたり、言葉の先取りをしていたそうだが、
そのような行動は吃音者には禁忌で、かえって焦られてしまいストレスを与えるばかりだということを知ってからは、
「相手(の言葉)を待てるようになった」P234
で語っている。
待つからこそ、聞ける本音がある。
その通りだ。
私たち吃音者は、沈黙を恐れる。
言葉が喉や舌に貼り付き、根を生やし、呻き声しかでない苦しいあの瞬間。
とっさに言いやすい言葉に変換しようものにも、挨拶などの定型文だと言い換えができない。
そんな、「外から見えにくい苦労」を抱えた吃音を持つ若者たちが、安心して、接客できる カフェ。
なんてやさしさに溢れた場所なのだろうと。
自分も高校生なら参加したいと思いながら、本を閉じた。