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Posted by ブクログ
色々な人たちの台所を取材した記事をまとめた本だけど、どれも台所にとどまらず、人生そのものの話につながっている。一人ひとり異なる喪失と再出発の物語を読むことで、わが人生について考えさせられた。
特に印象に残ったのは、「本と恋と団地ごはん」とか「八六歳。終わらぬ問いかけ」とか。
団地で読書会なんて、いいなぁ。料理を持ち寄ってわいわい食べたり飲んだり…
奥さんを亡くして一人になった男性に料理を作って夕食を共にしているとか…そんなふうに暮らせたら寂しくない。戸建てを建てたはいいけど将来夫が死んでからのことを思って不安になっているわたしには羨ましく感じられた。
86歳男性の記事は、「得意料理は”なし”と書いたよ。なんでも全部おいしいと思っているので。食事に優劣をつけるのが自分の価値観に合わないの」という断りから始まる。
「グルメ番組を見るのは好きじゃない。特別な料理と、そうでないものに分けられる感覚に違和感を覚えるのです。番組で扱われないようななんでもない食事でも、僕は感謝して食べる。食事は快楽や娯楽ではなく、生きるためにいただくものだと思うから」という言葉、いいなぁと思いました。
「生き方や価値観、哲学はみんな違うから、人はそれでいい。僕はそう思うだけ」というのもいい。
「毎日何してるんですか、ってよく聞かれるけどさ、自分の数学理論もまとめたいし、カメラも親鸞もある。女房が死んでから、何もすることがないっていう日がまだ一日もないんだよね」。
Posted by ブクログ
上の子が産まれて職場復帰した頃、のちに『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく』にまとまった大平さんのウェブ連載を読んでいた。
両両親遠方、零細企業で育休復帰は私が初めてという状況で、フリーランスの大平さんが今ほど制度も整ってない中、2人の子どもを育ててこられた話は刺さりに刺さり、勝手にメンターのように感じていた。
今回の台所の本はシリーズ3冊目とのことで、以前の本も読んだ覚えはあった。
しかし正直、『新米母〜』の衝撃が大きすぎて、それほどではないという印象しかなく、今回も電車で軽く読みはじめたら…
うるうるを通り越して泣いてまうかと思った…!
内容は台所をきっかけとした人それぞれの人生模様、と私が書くと陳腐になってしまうんだけど、こんな軽い言葉で言い表せないことをちゃんと言い表しておられる。
さすが、の一言。
しかもこれは“文才”のようなテクニック的なことだけじゃないなと思う。
もちろんプロなのでテクニック的なこともあるんだろうけど、大平さんという人の目を通している感が強く、優しく謙虚な人となりがあってこそと思った。
良い読書体験だった。
Posted by ブクログ
ありのままの台所を訪ね歩き、取材したルポルタージュ。10年たった今回のテーマは、喪失と再生。簡単ではないテーマ。
雑誌に載っているようなおしゃれなキッチンとは違う、素のままの台所。写真と共に語られた、その台所の持ち主の生活。リアルだからこそ、心に響いた。「何もを失わずに生きている人などいない。みな、何かを喪失し、それでも立ち上がり今日もごはんを作っている。」という言葉に、生きようとする、人の強さを感じた。家族を亡くして日が浅いなか取材を受けた方、伴侶との別れでひとりになった方など、みなさんの生きざまをうかがい知れて、私も頑張ろうと思えた。
Posted by ブクログ
実は朝日新聞デジタルマガジンを、書籍化される前に隅々まで読んだことがあります。
食を大事にしている身としては、連載の企画時点で四つ星。
台所を糸口に始まる住みて手の物語の第三弾は、喪失と再生がテーマ。
ライターさんのインタビュー能力高し。
ヘビーなテーマに対して綺麗にまとまっていて、難産だったことが伺える。
いつか自分にも訪れる別れのことを考えさせられる、良い本でした。ということで星5つ。
余談だけれど、徒然ハナコさんがこんなところに!と大興奮。
あと、黒川紀章のカプセルの中の暮らしを垣間見れたのは面白かった。
書籍の第一弾と第二弾は読んでいないので、それらも読みたいと思った。
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