大平一枝のレビュー一覧
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寂しさについて、なんとなく思うところがある人は読むと何かしらの発見があると思う。
この本を読んで、グッとくるところは多いほうがいいのか、少ないほうがいいのか。メンタルが弱っていても、それはそれで悪くないんじゃないかな、って思えた。この本の楽しみや得られることを考えると、弱っているほうが得られるものはきっと多い。そもそもこの本は、孤独とか寂しいと思うことも悪くないよね、というところから始まったのだというから。
言葉にできないモヤモヤ、たとえば後悔や「切ない」という感情との付き合い方について、著者はいろいろな人と対談する。
「この人はどうやって乗り切っているのか」
著者自身が興味を持った人に、対 -
Posted by ブクログ
2025/09/17 3
読んだことあるものもあったがすっかり忘れていたりしてまた新鮮な気持ちで読めた。東京の台所が大好きでWEBも本も何度も読んでいるが大平さんご自身のキッチンはほぼ登場していなかったように思う。ホシザキの食洗機をリフォーム先に持っていくエピソードが好き。今は個人宅用は無くなった、とは知らなかった。ずっといつか自分のキッチンにホシザキ食洗機を入れたいと決めてたのに…
上京して最初に買った大皿、昼間にお邪魔したら夕飯代わりになるものを持っていく、などいいなあと感じた。私もいい加減落ち着いて自分のキッチンを作りたい…でも引っ越しが趣味なのでなかなか叶えられない。
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ネタバレ生きることは食べること。台所は雄弁。
多くの場合、家には台所がある。
台所は料理をするところ、と思っていたが、当然お菓子を作る場でもあり、コミュニケーションの場でもあり、、その人たちの人となりが出る場所なのだとよく分かった。
夫に先立たれた妻、子供の独立を機に食事を作らないことを決めた夫婦など、それぞれの台所があり、そこに物語がある。台所だけではなくインタビューを通すことで、こんなにも一生懸命に一つの人生を生きているのだと感じられた。
特に“酒と金魚”、“愛のあと“、”「おかゆ、梅干し」。忘れられない献立帳“、”料理写真をつまみに飲む男” 、”続・深夜の指定席”が刺さった。
テレビの作品 -
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色々な人たちの台所を取材した記事をまとめた本だけど、どれも台所にとどまらず、人生そのものの話につながっている。一人ひとり異なる喪失と再出発の物語を読むことで、わが人生について考えさせられた。
特に印象に残ったのは、「本と恋と団地ごはん」とか「八六歳。終わらぬ問いかけ」とか。
団地で読書会なんて、いいなぁ。料理を持ち寄ってわいわい食べたり飲んだり…
奥さんを亡くして一人になった男性に料理を作って夕食を共にしているとか…そんなふうに暮らせたら寂しくない。戸建てを建てたはいいけど将来夫が死んでからのことを思って不安になっているわたしには羨ましく感じられた。
86歳男性の記事は、「得意料理は”なし” -
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いいわ~この本。
Title辻山さん
ショーペンハウワーは『読書について』(光文社)で”読書は他人の頭ですることだから、あまりそれに縛られるのはよくない”と、繰り返し自分の頭で考えることの大切を説いているんですよ。
本に乗っ取られることなく確かな自分を育てようという意味でしょうが、やはり、それでも、本を読んで誰かの考えや体験に触れて感じることが、その人の考え方を育てることになる。なにか新しいものに出会ったときの解像度が、ちょっと濃くなると思うんです。
p44「どうやって自分をだまくらかすか。しょうがないじゃん。自分は他の人になれるわけじゃないんだから、受け入れていくしかないじゃん、って思う。 -
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ネタバレ「注文に時間のかかるカフェ(以下、注カフェ)」発起人である吃音のある女性への取材内容を中心に、吃音と吃音のある人々の苦労や想い、注カフェの取り組みについて綴られたノンフィクション作品。
会話をするとき、吃音のない人でも言葉に詰まることはある。吃音のある人は言葉に詰まることが人より多い、その程度の認識だった。
しかし本書を読み、私の吃音に対する認識は誤りで、想像以上の苦悩に衝撃を受けた。
まず、吃音のある人の多くが孤独を感じていること。吃音であることを周囲に言い出せないというパターンはもちろんだが、吃音に関するデマや偏見から、家族の間ですら吃音を話題にしない場合があることに驚いた。
そして、 -
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これまで吃音障害にあまり関心を払ってこなかった。それは当事者が隠していたり、自分にとって苦手な発音を避け言い換えていたりしていたから。
吃音への誤解や偏見に胸がふさがる。
ただ人によりタイプがあること、どうしてほしいか望む対応も違うことなどデリケートな問題なので近くにいたとして適切な対応ができる自信がない。
カフェで各自がマスクに
話すのは苦手だが喋るのは好きなので話しかけてください
どもっても待ってください
最後まで聞いてください
推測して代わりに言ってほしい
などメッセージを書いたエピソードがとても素敵だと思った。
内部障害の人が赤いマークを付けたりするように自然に伝える仕組みって大切だ。 -
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2025/01/29リクエスト 1
東京の台所シリーズが大好きで今回も楽しみにしていた。おしゃれに整えたキッチンではなく、台所、その写真が語りだしそうなほどで、どれも心にしみる。
台所の今、台所の声
というコラムの中の、
台所作業は見えにくい小さな労働の連続だ、野菜を選り分け古いものから使う、牛乳パックを開いて乾かす、台所に立っていない間も献立を考えたり食材を補充したり…
そこをわかってるからこそ、このような人が向こうに透けて見えるような温度のある写真が撮れるんだろうと思う。
何がよかった、とうまく説明できないが、ぜひ読んでほしいです。
このシリーズに私も応募したい。 -
Posted by ブクログ
もともと2作目の男と女の台所をたまたま手に取ったことから、大平さんの眼差しの優しい文章に惹かれてエッセイも含めて複数の作品を読んでいます。
東京の台所の新作。今回は再び歩き出す時「リスタート」「再生」がテーマでした。過去に取材をした人にもう一度会うと状況が変わってたりする。
特にコロナを経て、人々の考え方、生き方の潮目が変わったような気がします。それぞれの話にそれぞれの生き方が詰まっていて今回も胸を打たれる文章が多くありました。
SNSでよく見るオシャレなキッチンではなく、その人の生活が溶け込んでいる台所の写真は取材を受けている人の写真は出てこないけれどその人の顔が浮かんでくるような気がします -
Posted by ブクログ
大平一枝さんのことは「東京の台所」で知り、愛読しています。市井の人々を、淡々と、ドラマチックではないのに、すごく伝わる…
24件の定食屋さん。
定食好きにはたまりません。
でも、初めてのお店は敷居が高くて、勇気がいる…
行きたいんですけどね。
家族経営でがんばることの大変さ、それで守られる低価格。頭が下がります。
わかっていても、こちらの財布と体力にも限りがあり、この中の1件でよいので訪問できたらな、と思います。
息子さんが手伝っていたけれど、今年閉店されたやしろ食堂さん。
オリンピック…と思う水明亭さん。
に思いを馳せながら、他のお店が1日でも長く続くことを願います。