大平一枝のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
文句なしの⭐︎5
大平さんは子育てのWEB連載(後に『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく』として単行本化)に救われて以来、勝手にメンターのように感じているが、それを差し引いても本当に読んでよかった。
吃音の当事者が各地の吃音の若者と不定期に開催するカフェのドキュメンタリー。
吃音という症状があることは知っていたが、当事者の悩みがここまで深いと考えたことがなかったし、どのように接して欲しいか理解が深まった。
この本を読まなかったら、出会った時に「ゆっくりでいいよ」「落ち着いて」と言ってしまってたと思う。
もちろんそういう実用の部分だけでなく、わかりやすい感動やお涙頂戴になって -
Posted by ブクログ
ごはんものを夜中に読むと、お腹がすいてたまらなくなる。
味、食感、香り、そして店の雰囲気。わたしはベッドの中にいるはずなのに、まるでその店でそのメニューを目の前にしているような錯覚に陥る。この本で紹介される定食は、どれも素敵に美味しそうだ。
でも、それだけじゃない。店を構え、守ってきた人がこれまでどんな人生を送ってきたのか、いまどうしているのか。そんな想像が食欲を追い越してくる。こんなに読むものに先を急がせる"ごはんもの"があっただろうか?
ただのごはんコラムにならないところが大平さんの書くものだなあとしみじみ思うドキュメンタリーです。 -
Posted by ブクログ
2024/05/27リクエスト6
人に嫌われたくない気持ちから思ってもいないことを言ってしまったり、言いたいことを伝えなかったり。「ノー」を言うのがいまだに苦手。
「大切」個人的な愛情や思い入れが含まれる
「大事」気持ちは入っていないが重要なこと
文章は色、香り、味、触感について具体的な表現を入れるといきいきしだす
ワインレッドの心、チックタックと鳴る世界で、埃まみれドーナツ盤…
料理や掃除などくらしを支えるほとんどを、名もなき労働と言う。目に見えないので「シャドーワーク」と呼ばれる。台所仕事は愛だけを対価にした終わりのない労働、ある意味シャドーワーク
どの文章も、大平一枝ならではの -
Posted by ブクログ
上の子が産まれて職場復帰した頃、のちに『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく』にまとまった大平さんのウェブ連載を読んでいた。
両両親遠方、零細企業で育休復帰は私が初めてという状況で、フリーランスの大平さんが今ほど制度も整ってない中、2人の子どもを育ててこられた話は刺さりに刺さり、勝手にメンターのように感じていた。
今回の台所の本はシリーズ3冊目とのことで、以前の本も読んだ覚えはあった。
しかし正直、『新米母〜』の衝撃が大きすぎて、それほどではないという印象しかなく、今回も電車で軽く読みはじめたら…
うるうるを通り越して泣いてまうかと思った…!
内容は台所をきっかけとした人それぞ -
Posted by ブクログ
ネタバレ2024/04/13リクエスト 4
ヘアメイクアーティストの山本浩未さん
ダメ思考の自分をしっかり受け入れることができるまで、しっかり落ち込む。しょうがないと受け入れられるタイミングを待つ。
絵本作家のヨシタケシンスケさん
の対談が心に残った。
「頑張らなくていいと言われても、それができずに困っている。それができれば楽なのはわかっている。それでも頑張らざるを得ないが本音。それなら、だましだまし、頑張っていく自分を受け入れていくことが自然。」
「人生を楽しむのが下手チーム」
私はまさに、この下手チームだ!!
著者が13人と対談している。
誰か一人くらいは自分みたいな人がきっといる。
この本に -
Posted by ブクログ
素敵な本に出会ってしまった!!
朝日新聞デジタルの『東京の台所』が好きで、以前から大平さんの書く文章が好きだったが、著作を読むのははじめて。
『はじめに』のご挨拶にあるように、きらきらした色とりどりのフルーツがぎゅうっと入っているようなフルーツサンドを思わせるエッセイがぎゅうっとつまっているエッセイ集。フルーツサンドの入れ子状態。大平さんご自身もきらきらした魅力的な方なのだろうと想像する。
ウキウキホロリしながら読み進めた。今後も何度も読み返してフルーツサンドを味わいたい。
今回好きだなと思ったものを抜粋。(選びきれずたくさんになっちゃった!)
きっと読み返すたび、その時の私の状態で -
Posted by ブクログ
ありのままの台所を訪ね歩き、取材したルポルタージュ。10年たった今回のテーマは、喪失と再生。簡単ではないテーマ。
雑誌に載っているようなおしゃれなキッチンとは違う、素のままの台所。写真と共に語られた、その台所の持ち主の生活。リアルだからこそ、心に響いた。「何もを失わずに生きている人などいない。みな、何かを喪失し、それでも立ち上がり今日もごはんを作っている。」という言葉に、生きようとする、人の強さを感じた。家族を亡くして日が浅いなか取材を受けた方、伴侶との別れでひとりになった方など、みなさんの生きざまをうかがい知れて、私も頑張ろうと思えた。
-
Posted by ブクログ
私は吃音者です。だからこそ読んでいる間、出てくる若者たちが訴える苦悩や願望に、共感の叫びが絶えなかった。
取材をした 大平さんの、注カフェ店員の若者たちへの寄り添い方がやさしい。
老婆心ながら、 などと言っているが、それは本心からとっさの言動なのだろう。
注カフェを発起させた奥村さんもとてつもない大きなモチベーションのある方で、仕事を辞めて活動に注力する情熱。「自分が経験した苦しさを、これからの若者には味わって欲しくない」
と。彼女の本気さ感じた。
また、大平さんは以前 相手の話を聞いていることをアピールするために無意味な相槌を何度もついていたり、言葉の先取りをしていたそうだが、
その -
Posted by ブクログ
実は朝日新聞デジタルマガジンを、書籍化される前に隅々まで読んだことがあります。
食を大事にしている身としては、連載の企画時点で四つ星。
台所を糸口に始まる住みて手の物語の第三弾は、喪失と再生がテーマ。
ライターさんのインタビュー能力高し。
ヘビーなテーマに対して綺麗にまとまっていて、難産だったことが伺える。
いつか自分にも訪れる別れのことを考えさせられる、良い本でした。ということで星5つ。
余談だけれど、徒然ハナコさんがこんなところに!と大興奮。
あと、黒川紀章のカプセルの中の暮らしを垣間見れたのは面白かった。
書籍の第一弾と第二弾は読んでいないので、それらも読みたいと思った。