岩井克人の作品一覧
「岩井克人」の「M&A国富論」「AIと人のこころの近未来:脳と心の宇宙を探る」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
岩井克人さんの本に出会って、経済というものの原理原則が理解出来るようになった。
ヴェニスの商人の資本論、貨幣論、21世紀の資本主義論、資本主義から市民主義へなど。
水村美苗さんの旦那と言うことも彼女の書いた「日本語が滅びるとき」で知った(笑)。
この本で、岩井さんの生い立ち、なぜ、経済学を選んだのか。
そして、私も読んで感動を受けた網野善彦さんの「古文書返却の旅」を読んでおられて、触発されたとのこと。
また、加藤周一氏との出会いのお話。
最後の方で、夏目漱石の文学論のお話も出てきたが、なぜ、水村美苗さんが「日本語が滅びるとき」を書いたのか、そのヒントがあったような気がします。
経済学のお話は、貨幣論、法人論、信任論、『言語・法・貨幣』の自己循環論法のお話とか、学問的な進化を感じられる中身でした。
いずれにしても、博覧強記な岩井さんのことを改めて感じさせてもらった本でした。
Posted by ブクログ
書店で目に付き購入しました。これまで岩井氏の本は何冊か読んでいましたので、その意味で本書はこれまでの岩井氏の主張のおさらい、という位置づけでしたが、大変読みやすく改めて岩井理論の面白さを再確認できました。岩井氏の主張を一言でいうなら、会社はヒトでもありモノでもある存在ということ、そしてその中心に位置しているのはフィドゥーシャリー・デューティ(信任義務)だ、ということです。
私自身はこの主張に同意できましたし、本書を読むにつれ、いかに世間の多くの識者の視野が狭いか(あたかも「群盲象を撫でる」という故事のように)、またロナルド・コース流の、会社は情報流通の効率化のために組織化されている(つまり社外の人との取引費用が大きいため会社が組織化されている)、という取引費用理論が本質をついていないということを再認識しました。
本書ではまったく議論されていませんが、本書の法人理論を読むにつれて、はたしてAI(人工知能)はどのような存在として将来位置付けられるのだろうかと感じました。おそらく遠くない未来に、人工知能にも「人格」を与える、という国が登場するでしょう(これまでの例にもれず英国あたりがその最初の国かもしれません)。するとAIはヒトかモノかという論争がビッグイシューになるであろうこと、その際は、「A or B」ではなく、岩井氏の法人論のように「ヒトでもありモノでもある(A and B)」存在としてとらえるべきなのだろう、と本書を読んで想像を膨らませました。
Posted by ブクログ
2015年に出版された本で、前から読みたいと思っていたのですがやっと読む時間ができました。読む前の期待感はかなり高かったのですが、期待は裏切られませんでした(合理的期待形成ができました)。岩井氏の貨幣論、資本主義論、法人論は別の本でなじみがありましたが、序盤に書かれている生い立ちや少年時代、そして東京大学やMIT留学時の話などは「私の履歴書」を読んでいるようで新鮮でした。子供のころはじめて読んだ本が図鑑で、それが自分の思考回路を決めたと著者が述べているように、岩井氏は物事を俯瞰的に見たうえで、各人の主張を位置付ける、ということが特徴的だと思います。一言で言えば視野が恐ろしく広い、ということで、特定の主張(例えばケインズ経済学)に完全にとらわれるわけではなく、様々な人の主張をつなげることができること、また近年では経済学の範囲外にまで研究対象を広げて(言語、法など)、そこに貨幣論との共通性を見つけるようなこともされています。本書の中で、イェール大学時代からの知り合いとして哲学者の柄谷行人さんの名前が登場しますが、岩井氏と柄谷氏には、「常人には思いもよらない点と点を結びつけて線あるいは面にする力」が共通していると思います。そしてこの力は、アカデミックの極端な分業化が進んだ昨今では極めて貴重な(希少な)能力だと思います。本書は中盤から後半にかけて、主に岩井氏の研究内容の中身とその変遷が綴られていますが、わかりやすく好感を持ちました。アカデミックの人々だけでなく、一般の人々にも岩井ワールド、そして経済学の面白さを知ってもらうには最高の本だと思います。