【感想・ネタバレ】資本主義から市民主義へのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2023年08月19日

知性とか教養とかって、まさしく岩井克人みたいな人をさすのだろう。貨幣が貨幣で有るのは貨幣だから、という自己循環論が基本に。

0

Posted by ブクログ 2023年04月30日

貨幣論などで著名な経済学者岩井氏による本です。本とは言っても全編通して対談形式になっています。雑ぱくな感想について。まず対談形式であればさぞ読みやすいだろうと思って読み始めましたが、内容がかなり高度、というか空中戦すぎて理解しながら読み進めるのにそこそこ時間がかかりました。また主役が岩井氏で「聞き手...続きを読む=三浦雅士」となっていますが、三浦氏は「聞き手」の領域を大幅に超えて「話し手」にもなっていました。これは良かったと思う箇所もありましたが、「しゃべりすぎでは?」と感じる箇所も多々ありました。個人的に岩井氏の主張にもっと誌面を割いてもらいたかったので、聞き手は聞き手らしくもっとシンプルに切り返してもらった方がありがたかったです。

序盤は読むのに苦戦しましたが、面白いもので、中盤くらいからはだいぶペースアップしました。まず岩井氏の主張が一貫していることで、「門前の小僧習わぬ経を読む」ではありませんが、だいぶ私(門前の小僧)の頭の中にも入っていきました。
岩井氏の主張は何かといえば、言語・法・貨幣は自己循環的に成立していること。つまりこれらによって社会が存在しているのですが、その存在基盤とも言えるこの3つは実は根拠が無く不安定なものだということです。たとえば貨幣であれば、貨幣需要がものすごく高まるとデフレ(恐慌)になり、貨幣需要がものすごく低くなるとハイパーインフレーションになったりする。そしてこの不安定な資本主義を補完しているのが、市民社会であって、それはカントの定言命題としての普遍的な倫理をベースにしたものである、という感じです。著者の主張が正しいかどうかは私のレベルではまったくわかりませんが、とても面白く感じました。そういう風に物事を見ることも出来るのか、という発見があったという感じです。繰り返しますが、「空中戦」の議論が多くて最初は良くわからないかもしれませんが、だんだん著者の言いたいことがわかってきますので、我慢して最後まで読めば多くの気づきがあるかと思いました。

0

Posted by ブクログ 2015年01月13日

5割も分かってない。分かってないけどここには何か大切なことが書いてある。そんな予感に突き動かされて一気に読みきりました。
岩井克人氏の著作はこれまで幾つか読んだことがありましたが、この対談のおかげで氏の問題意識が明確になりました。

0

Posted by ブクログ 2024年03月04日

 本書では資本主義の本質を探るだけではなく、ポスト資本主義の社会についても考察していく。著者はこれまで「貨幣」とは何か、を再三追求しており、その命題に対して著者は「貨幣は貨幣だから貨幣である」という結論を出す。これはマルクスの「価値形態論」を批判し追求した結果、貨幣の本質が自己循環論法であることを証...続きを読む明した。また貨幣のみならず、「言語」と「法」の実態についても本書で繰り返し考察される。著者によると、これら三つは、それ自体には物理的な力を持たないが、社会的実在、すなわち社会的動物としての人間が、これらを媒介することで、人間が人間として存在するのだという。言語は意味を、法は権利と義務を、そして貨幣は価値という、目では見えないが一定の力が働く。
 後半では、資本主義を超えた先にある市民社会のあり方についても考えていく。市民社会とは、国家(法の力)の側面と資本主義(貨幣の力)の側面の二つを持っていると著者は考える。そして、最終的には法が支配する国家か、貨幣が支配する資本主義を補完するようなシステムになるだろうと著者は考える。そこで鍵となるのが人間の倫理性であり、倫理性が現状の資本主義に対抗する力を有しているという。

0

Posted by ブクログ 2019年08月24日

こういうバリバリ経済学者の経済の本はほとんど読んだことがなかったし、難しいところも多くてよくわかってない部分も沢山ある。それでも、何か知的興奮があったし、「もっと知りたい」という思いにさせられた。
経済って、もっと血が通ってなくてお金のことばっか考えてるんじゃないの?という私の経済学に対する幼稚なイ...続きを読むメージをいい意味でぶっ飛ばしてくれた。
経済を考えてると、そんな哲学的問題に行き着くの?!法人の存在の仕方は人間存在の仕方とニアリーイコール?!「信託」の始まりはなんと修道院にあった?!経済の話とカントヘーゲルロールズアリストテレスってそんなに関係あるの!?…等々、新鮮な驚きのオンパレード。
岩井克人の主張は、反マルクス、反マイケル・サンデル、、、ふつうにこれだけ聞くと「なんてリベラルじゃない奴だ!」と思いきや、彼からはそういう匂いはあんまりしない。むしろ反株主主権論、挙げ句の果てには「資本主義は核に倫理性を必要とする」とか言ってる。はてさて、彼は一体何を言いたいのだろう。興味深い。私に新しい考え方を教えてくれそうなきがする。彼の他の著作も読んでいきたい。

・自己循環論法(存在の無根拠性)
・言語・法・貨幣(社会的実体のみ持つ)
・資本主義の本質(差異が利潤を生み出す。それ以上でも以下でもない)

0

「ビジネス・経済」ランキング