大木毅の作品一覧
「大木毅」の「海軍士官たちの太平洋戦争(新潮選書)」「〔新版〕 グリーン・ビーチ ディエップ奇襲作戦」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
真珠湾攻撃から続いた日本軍の快進撃は、なぜミッドウェイ海戦で大きくつまずいたのか。「アメリカをみくびっていた」「勝ち続けて慢心していた」という説明は聞いたことがあったが、それだけでは腑に落ちなかった。敗北に至る具体的な理由に興味があり、この本を読んだ。
印象に残ったのは、著者の史料に向き合う姿勢だった。戦闘の経過が時刻を追って整理されていることに加え、巻末では参考文献を読むうえで注意すべき点にも触れられている。参考文献の多さだけで信頼性が決まるわけではないが、証言や記録を吟味し、実際に何が起きたのかに近づこうとする姿勢が伝わってきた。わかっていることと、推測や不明な点とが区別されていることにも、私は信頼を感じた。
第四章で描かれる、敗北の実態が隠蔽され、戦後も当事者の証言や著作を通じて「神話」が広まっていった経緯も、印象に残った。「運命の五分間」のように、判断や準備の問題が、あと一歩のところで運に見放されたという物語に置き換えられてしまう。これは歴史に限らず、さまざまな情報があふれる現代にも通じることだと思う。何が書かれているかだけでなく、誰がどのような立場で発信しているのか、その情報は何に基づいているのかにも目を向ける必要があるのだと、あらためて感じた。
敗北の背景には、作戦の目的や優先順位の曖昧さ、準備不足、過去の教訓や危険を示す情報を十分に生かせなかったことなど、いくつもの問題が重なっていたのだと理解した。また、指揮官と参謀、作戦を立てる側と実行する側の関係からは、目的の共有や、誰が判断し責任を負うのかという難しさも感じた。規模も背負うものも違うが、こうした難しさは、会社などの組織を動かすうえでも共通すると思う。
また、戦いの経験から何を教訓として受け止め、それをどう生かすのかという過程にも、人間の感情や立場が関わっているのだと感じた。仮に慢心せず、十分に練られた作戦を立てていたとしても、それを実行するのは人間であり、すべてが理屈どおりに進むとは限らない。作戦も、判断も、そこから学ぶことさえも、人間が担っている。その難しさも心に残った。
そう考えると、山本五十六や南雲忠一をはじめとする指揮官たちも、私たちと同じ一人の人間だったのだと、あらためて感じる。限られた情報と時間のなかで、多くの人の命や国の行く末を左右する判断を下さなければならない。その重圧は、私には想像しきれない。
判断の誤りや、その後の責任のあり方は、きちんと問われるべきだと思う。それでも、後世から結果を知っている私が、当時の人たちを簡単に非難することにはためらいを感じる。あの戦争を生き、重い役割を背負った一人ひとりの苦悩に思いを寄せ、敬意を表したい。
Posted by ブクログ
第二次大戦のさまざまな戦闘について、最新の研究成果を踏まえ、現在どのように考えられているのかを解説した本です。
読んでいて特に興味深かったのは、かつて「定説」とされていた戦史の解釈が、その後の研究によってかなり覆されていることでした。
私自身、これまで読んできた戦史や戦記などから得た知識が、いつの間にか「現在も通用する定説」だと思い込んでいたところがあります。
日本ではまだ新しい研究成果や解釈が十分に定着していないものもあり、「自分自身の知識も更新していかなければいけないな」と感じました。
歴史は一度覚えたら終わりではなく、新しい史料や研究によって解釈が変わっていくもの。
そのことを改めて実感させられた一冊でした。
第二次大戦について、これまでとは少し違った視点から考えるきっかけにもなり、非常に勉強になりました