「あなたがその国のトップだったらどう考えるか?」をロールプレイングすることが地政学の本質であると、筆者は述べている。
まさしく、シュミレーションゲームCivilizationの世界である。おもしろい。
つまり、自分たちの利益や事情価値観を主張する前に、大国アメリカや、共産国中国、専制君主的ロシアの立場になって考えることが、未来予測とその対処に役立つということだ。
これは、「視座を変える力、相手の立場に立つ力」となり、外交に携わっていなくとも重要なビジネススキルとなる。
例えば ロシアは、、以下の特徴を持つ。
・世界一の国土の広さ(日本の約45倍)
※国土の60%は永久凍土。80%は無人地帯。
・時差は最大10時間
・190もの少数民族
・陸続きの国境線が長く、国土防衛が困難
・周辺国が14カ国
ロシアの過去、現在の行動を正当化はできないけれども、隣国ウクライナにおけるNATOとロシアの均衡状態が崩れたと判断して起こした根拠や思考回路を理解(not共感)することが、現実的で持続的な平和に繋がる。
【感想】
地政学は世界の未来の運命を読むのに役立つが、絶対の運命ではない。それを乗り越える術はある。
個人は地理による運命の呪縛から逃れられる時代であるし、個人の集団である国家も正しい方向に方向づけることが可能である。
楽観や悲観し過ぎず、ロシアや中国などの隣人を理解していこうと思った。
地位が変わらなくても気候が変わる気候変動時代がやって来ている。人類共通の課題が、持続的な平和をもたらすのではないだろうか。
その際、災害大国ニッポンの防災技術や食料増産技術が、世界のために役立つと信じたい。
【まなび】
・国家は引っ越しをすることができない。
気候、周辺国、民族性、産業、歴史、統治体系それぞれが地理の影響を大きく受ける。
・ランドパワーとシーパワー
-- ランドパワー --
国境の多くを他国と接している国々
他国に攻められる前に自ら攻める攻撃的な特徴。 強権国家になることが多い。内なる敵を徹底的に潰す傾向
例:ロシア 中国 ドイツ フランスなど
-- シーパワー --
国境の多くを海に囲まれた国々
貿易などで富を蓄積し、貿易や金融のために法の支配を確立。民主国家になることが多い。
裸の王様は生まれにくいが、短期の人気取りに追われ、長期の目的を安定して目指しにくいし、国民が嫌う政策は実行しにくい。
ランドパワー ほどの攻撃性はないもの シーパワー もこれまで多数他国を侵略してきた歴史もある。
守りやすく、攻められにくいが、兵糧攻めに遭いやすい。※巨大な「島国」アメリカを除く
例:イギリス 日本 アメリカなど
・1位と3位連合で2位を潰す
第1位にある覇権国家は、覇権に挑戦する国 いわゆる第二の国を叩き落としたい。その時に2位の国を落としたいという共通の利益を持つ3位の国を利用する。
アメリカが、日本と組んで、中国をけん制してるのもそれ。
第一次世界大戦にて、イギリスがアメリカと組んで、ドイツを叩いたのもそれ。
・海を制するものは世界を制する。
世界の物流の95%以上は海路を経由している。
物流が集積する海上の重要航路、海峡(チョークポイント)を軍事力で押さえることで、アメリカの覇権が成り立っている。
※アメリカが世界に展開する基地は80カ国以上、800カ所を超える。
デジタル情報の99%が海底ケーブルを通じて届いている。