あらすじ
「地政学が最強な理由」を挙げたらキリがないほどだが、その際たる例が「“圧倒的教養”が身につく」点だ。
経済学、哲学、歴史学、宗教学、文化人類学、政治学、地理学……。地政学にはあらゆる学問が詰まっている。地政学を学ぶということは、同時にそれらすべての学問の知見を一気に身につけるに等しいのだ。
いま世界のビジネスエリートたちが、こぞって地政学を学んでいる。
それはなぜか?
まさしく、「地政学が最強の教養である」ことに気付いているからだ。
日本、アメリカ、中国からロシア、アジア、中東、欧州まで。
基本も最新情報も、地政学を全網羅。
ビジネスエリートになるための入門書、登場!
※カバー画像が異なる場合があります。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
知っておくだけでザックリと世界のパワーの動き方みたいなのが分かるようになる。まあ、この本だけだとザックリとだけど。それでも、基本的な地政学の考え方が分かる。良い本だと思った。
Posted by ブクログ
9月時点、今年読んだ本の中で最もおもしろく、勉強になった本です。地政学を通して見ることで今まで何となく聞き流していた紛争や戦争、領土問題についての理解が一気に深まった。
地政学は日常にも「相手の立場に立つ」ということで実践できるので、これからは積極的に取り入れて勉強したい。
・地政学の重要性
・国際社会における日本の地政学的な立ち位置
・ウクライナ戦争がなぜ起きたのか
・台湾有事のインパクトと起こる可能性
・気候変動による地政学的な変化
Posted by ブクログ
地政学を考えるにあたり重要な6つのポイント。
気候、周辺国、民族性、産業、歴史、統治体系
相手国の立場で物事を考える、ロールプレイングをすることで見えることがある。一般的には子供でも大人でも、他国の動きを日本からの目線でしか見られていない。
ヨーロッパの国々が隣国の動きを見るのとは、我々のとは少し違いがあるのか?
マッキンダーのシーパワーとランドパワー、以前読んだ本の通り、
ランドパワーをつけてからシーパワー国を目指す。島国が飛地の他国を統治下に置き続けるのは難しい。
チョークポイントを抑えるアメリカは世界最強である。沖縄の米国基地は最大規模、沖縄からは長距離ミサイルで狙える範囲が広い。中国への牽制にも。
中国は南シナを抑えたい。自国の海上水域を増やし、感知されない深海に核兵器を置き、核保有国への抑止力としたい。それまでは落ち着かない?
台湾侵攻は筆者の考えでは近未来に起こる可能性わ低いと見る。台湾信仰が発生した場合、アメリカをはじめ世界各国との争いは避けられない。そこまでの力は中国にはないと見る。中国内部でも、一人っ子政策により、家庭内の子供への思いは強く、戦争となった時に国民の反発は必至。勝てる、被害が限定的な戦である必要がある。
一方でロシアのウクライナ侵攻を見ても分かるよう、ロシアが国際法を犯しているにもかかわらず、誰にも罰せられることはない。一部国家がロシアとの貿易を止めても、エネルギーなどの重要資源の供給をロシアに頼っている国や、インドのように兼ねてよりロシアとの繋がりがある国はロシアとの貿易をやめないため、ロシアは現在まで平然と建っている。勿論多少の痛みは受けているはず。
NATOの結成がロシアの暴走を招くと予測した人物がいる。各国の関係は均衡により成り立つ。ウクライナのNATO加入表明にて、兼ねてより国家衰退を感じ焦っていたプーチンとしては均衡が崩れたと感じ、進行に至ったと見る。これが逆効果でフィンランド、スウェーデンなど立て続けにNATOへの加入に走った。
ハートランドを制するものが世界を制す。ヨーロッパの学者が解いたもの。ハートランドはユーラシア大陸の真ん中、東ヨーロッパ、ロシアあたりを指す。その下位レイヤーの国々をリムランドと呼ぶ。
世界の7割の人口、GDPを持つのがこのハートランドだから。ただしこの考え方にはアメリカが含まれておらず異論がある。
日本だけでなく、ヨーロッパも高齢化が進む。平均年齢は40歳を超える。アメリカは30代後半、インドなど東南アジア諸国の平均年齢はかなり若い。中国も人口が減少に転じはじめ、今やインドに抜かれる。両国14億人ほどの人口を抱える。
インドの経済の発展が著しい。特にテック市場。アメリカのメガテックのトップや技術者にはインド人が多い。一方で増え続ける人口、特に若年層には職を作る必要があり、インドは製造業を強化する必要がある。さもなくば暴動などにつながる恐れすらある。
中国はインドと共にかつて最も経済の発展した国だった。ヨーロッパとの貿易では与えるものはあれど、必要なものなどなかったほど。そしてクローズな国へ。さらに中国は国土が広く、その中に多くの民族を抱える。民族の違いは文化の違い、それを治めるには中央統治が必要だった。その広さゆえ多くの国々と国境を分つ。どこからいつ侵攻されるかわからない。そういった不安は、島国日本には到底わからない。
一方で韓国は北を中国と接しており、南は海でまさに背水の陣である。台湾よりも韓国の方が危ういのではという見方もある。台湾は離島である。
シンガポールの始祖、リークワンユー氏の言葉、国は引っ越せない。日本は何が悪くて、何をしないといけないかわかっているが実行に起こせる人がいない。優秀な人はいるが、有事ではない中でそれを起こそうとする人間がいない。国力の低下は他国からの侵攻リスクを高めることに直結する。台湾を気にしているうちに日本はさらに衰退して、他国からの侵略に晒されるかも。日本に生まれただけで丸儲け、という考えは、戦後に産まれた人には当てはまるケースもあると思うが、未来永劫そう思えるかは別。
見聞を広げるために、一度国を出て外を見てみるのも良いかもしれない。そこでの気付きから田中氏のように外で暮らすのも選択肢になるか。
Posted by ブクログ
教養が広がった感じがする。
台湾有事が起きたときのインパクトと日本への影響は計り知れないことがわかった。
日本がかなり恵まれた地理条件にあることも分かったし、もしランドパワー国家に侵略されたらどうなるかも知ることができた。
他所の国の行為に対して反射的に非難するのではなく、相手の立場になって尚且つより良い解決策を見つけていかないといけない。
外交って相当難しいんだろうな。
この本の内容は義務教育・高校・大学などで必須で教えた方がいいと思う。
Posted by ブクログ
シーパワーとランドパワー
・日本はアメリカはシーパワー。シーパワーは責められにくい。だからこそ諸外国との貿易・交渉を広げていく。
・中国は現在はランドパワー。シーパワーが欲しい。尖閣諸島や台湾を占有できれば、南シナ海に自由に出入りしやすくなる。
・今は核兵器を保持しておけば良い?
違う、どこに核兵器を置いているかがバレると、その場所を攻撃されたら終わる。なので、深海を移動する原子力潜水艦内に置いておくのがベター。アメリカは深海を持っているので、核を攻撃される心配がないが、中国は東シナ海のような浅瀬しか持っていないので、深海の尖閣諸島周辺が欲しい。
中国には、騎馬民族対応が求められる。内政や騎馬民族対応に追われている。ランドパワーの国は近隣諸国と牽制し合っているので、やられる前にやるのが王道。
ロシアの地政学のポイントは不凍港。
・領土の8割ほどは凍ってて、誰も住めない。それなのに広いせいで隣接する国も多く、その対応に追われる。
・ロシアも海に出たいが、北極海は凍っている。
温暖化でここが溶ければ、ヨーロッパへ格安で輸送できるようになる。
・ロシアが北方領土をなんとしてでも支配したいのも、太平洋-ヨーロッパの輸送経路の一部になるから。
・ウクライナの領土が欲しいのも、貿易を行いやすい不凍港を手に入れるため。
Posted by ブクログ
一旦感情や正義感を脇に置いて、世界で起こっていることをフラットに、そして一国の主人として考えること、とても勉強になりました。
上辺だけではなく本質を知ること。
地政学に限らず大切なことだなと。
ニュースや新聞の見方がかなり変わるし、そもそも興味が出てくる、そんな内容だと思います。
Posted by ブクログ
日韓米中欧の関係性が地政学で大変分かりやすく説明されていて、理解を深められました。
地政学は各国の首脳になりきって考えるロールプレイングということで、作者はどういう考えでその結論に至ったのか知れて面白かったです。
各国の歴史も地理が関係していることを学べて良かったです。学生時代に読んでいたら歴史をもっと面白く感じたのかなと思いました。
Posted by ブクログ
ありママさんの本棚から
近年注目を集める「地政学」です
前提条件として、こういう学問的お話って面白いのよ、自分が理解さえできればね
なので「分かりやすい」って時点でもう勝ち確なのよ
そして本書はでら分かりやすかったです
つまりでら面白かったいうことやな
もうページをめくる毎に「うわー確かにー」「いやー知らんかったー」が押し寄せてきて、頭の上の電球がつきまくりです
ピコンピコン、ピコンピコンやかましわ!( ゚д゚ )クワッ!!
特になるほど〜と思ったことが2点(ほんとはもっといっぱいあるけどめんどい)
・中国はなぜ尖閣諸島に拘るのか?
理由のひとつとして挙げられていたのは、核兵器なのよ
核兵器ってのは基本抑止力なので、「やったらやられる」じゃないと意味ないわけ
でそのためには発射場所が特定されて先制攻撃で、そこやられちゃうともうおじゃん
それを回避するためには原子力潜水艦に載せて常に移動している必要があるんだけど、その原子力潜水艦を敵国の索敵から逃すためには深い海にいないとだめ
だけど中国近海の海は浅い海ばっかりなので尖閣諸島を越えて太平洋に出たいということらしいんよね
おー!これぞ「地政学」!
・気候変動が「地政学」に与える影響について
これまで氷に覆われていた北極海が地球の気温上昇により溶け始め、近年ですでに1年の2割くらいの期間、船が通れるようになっているらいしいのよ
そこで不凍港を求めて南下政策をとってきたロシア(今ウクライナを攻めてるのはそれもある)の政策にも変化がありそうで、もしこのまま北極海の氷が溶け続け一年中船が通れるよになると今あるインド洋を通るルートよりも欧州と日本を結ぶ海路が大幅短縮されるのよね
そうなると人も住んでなかったようなロシア北部が劇的な発展と遂げるだろうし
重要な拠点となりうる北方領土はロシアは絶対手放さないよっていう
おー!まさに「地政学」!
その他、地球上にある様々な国家間の問題は地理的な要素によるところが多いと紐解いた上で、筆者は最後に「地政学」を乗り越えろ!とも叱咤してるんよね
そんなところも非常に好感
いやー良い本読んだなー
Posted by ブクログ
これは面白い。深く納得させられる。
学生の頃は地理や歴史や政治をバラバラに学び、繋げるということをしてこなかった。繋げるとこんなにも腑に落ちるのか!と驚き。
Posted by ブクログ
地理に明るくないので地球儀を横に置いて読んでいた。ニュースを見て(読んで)いても意識してなかった、地理的要因がもたらす行動・結果というものがあるということを知れた。その国の為政者の思考をロールプレイングすることで、少しでもその行動の理由や意図を考えられたり予想できたりする。そのロールプレイングを行う上で地理的要因や歴史を学ぶことが重要だし、その過程で自分の価値観も知れる。
とても楽しく、あっという間に読めた。
Posted by ブクログ
「あなたがその国のトップだったらどう考えるか?」をロールプレイングすることが地政学の本質であると、筆者は述べている。
まさしく、シュミレーションゲームCivilizationの世界である。おもしろい。
つまり、自分たちの利益や事情価値観を主張する前に、大国アメリカや、共産国中国、専制君主的ロシアの立場になって考えることが、未来予測とその対処に役立つということだ。
これは、「視座を変える力、相手の立場に立つ力」となり、外交に携わっていなくとも重要なビジネススキルとなる。
例えば ロシアは、、以下の特徴を持つ。
・世界一の国土の広さ(日本の約45倍)
※国土の60%は永久凍土。80%は無人地帯。
・時差は最大10時間
・190もの少数民族
・陸続きの国境線が長く、国土防衛が困難
・周辺国が14カ国
ロシアの過去、現在の行動を正当化はできないけれども、隣国ウクライナにおけるNATOとロシアの均衡状態が崩れたと判断して起こした根拠や思考回路を理解(not共感)することが、現実的で持続的な平和に繋がる。
【感想】
地政学は世界の未来の運命を読むのに役立つが、絶対の運命ではない。それを乗り越える術はある。
個人は地理による運命の呪縛から逃れられる時代であるし、個人の集団である国家も正しい方向に方向づけることが可能である。
楽観や悲観し過ぎず、ロシアや中国などの隣人を理解していこうと思った。
地位が変わらなくても気候が変わる気候変動時代がやって来ている。人類共通の課題が、持続的な平和をもたらすのではないだろうか。
その際、災害大国ニッポンの防災技術や食料増産技術が、世界のために役立つと信じたい。
【まなび】
・国家は引っ越しをすることができない。
気候、周辺国、民族性、産業、歴史、統治体系それぞれが地理の影響を大きく受ける。
・ランドパワーとシーパワー
-- ランドパワー --
国境の多くを他国と接している国々
他国に攻められる前に自ら攻める攻撃的な特徴。 強権国家になることが多い。内なる敵を徹底的に潰す傾向
例:ロシア 中国 ドイツ フランスなど
-- シーパワー --
国境の多くを海に囲まれた国々
貿易などで富を蓄積し、貿易や金融のために法の支配を確立。民主国家になることが多い。
裸の王様は生まれにくいが、短期の人気取りに追われ、長期の目的を安定して目指しにくいし、国民が嫌う政策は実行しにくい。
ランドパワー ほどの攻撃性はないもの シーパワー もこれまで多数他国を侵略してきた歴史もある。
守りやすく、攻められにくいが、兵糧攻めに遭いやすい。※巨大な「島国」アメリカを除く
例:イギリス 日本 アメリカなど
・1位と3位連合で2位を潰す
第1位にある覇権国家は、覇権に挑戦する国 いわゆる第二の国を叩き落としたい。その時に2位の国を落としたいという共通の利益を持つ3位の国を利用する。
アメリカが、日本と組んで、中国をけん制してるのもそれ。
第一次世界大戦にて、イギリスがアメリカと組んで、ドイツを叩いたのもそれ。
・海を制するものは世界を制する。
世界の物流の95%以上は海路を経由している。
物流が集積する海上の重要航路、海峡(チョークポイント)を軍事力で押さえることで、アメリカの覇権が成り立っている。
※アメリカが世界に展開する基地は80カ国以上、800カ所を超える。
デジタル情報の99%が海底ケーブルを通じて届いている。
Posted by ブクログ
読んでよかったの一言につきる。
地政学、まったく無知の私もわかりやすい。そして世界情勢や各国のリーダー、自分がいる日本に対してですら見方が変わる。
平和とはバランスである。
一定なのは変化するということ。
目からウロコで考え方変わります。
著書内にあるけど、各国のリーダーをロールプレイできる教材で自分ならどうする?を考えるのは、自分の生き抜く力や他者の立場を慮る気持ちを育てるのに最適なので、教育とかで取り入れていくのが良いと思う。私もやってみたい。
Posted by ブクログ
なかなか時間がとれず読み終えるのに期間が空いてしまいました。今まで読んだ地政学の本の中ではストンと理解できる度合いが強くとても楽しく読みました。と同時に改めて日本という国を守っていくために必要なことを考えていく時期にあるのだと感じました。ありがとうございました。
Posted by ブクログ
地政学に興味を持ち始めてはや10年、今も本屋さんで「地政学」という単語が入った本を見ると、つい手にとってしまいます。この本もそんな一冊でした。
素晴らしい本でした、最初に「地政学」とはどんな学問かを多面的に説明した上で、地政学はどんな分野の学問と関わっているのか、そして最近のニュースの原因を理解するには「地政学」の考え方が役に立つことを説明しています。また、国毎に異なって見える戦略は、地政学に基づいて立てられていると、私には理解できました。
以下は気になったポイントです。
・地政学が最強の教養である理由、1) 世界情勢の解像度が、2) 長期未来予測の頼もしい ツール になる、3)教養が身につく、4)視座が変わる ・相手の立場に立てる(p26)
・ 地政学とは、 価値判断を一旦 横に置いて、価格的観察のアプローチで、地理的な条件に注目して、国の行動を予測する学問である。自然科学のように 研究室で実験ができるものではなく、予測の難しい 様々な人々の思いや 周辺国の行動が介入してくる国家の外交的意思決定の動向を探るものなので完璧な予測はできないが、 各国の行動の一定の方向性を探るには 有意義である。不正額は 国際関係の背後にある中長期的な国の動きを読む アプローチであり、 それに対して、国際関係論や 国際関係分析は、短期の国同士の動きに注目するアプローチである(p29)
・ アリストテレス や ダヴィンチ 同様に、あらゆる 学問分野を統合しないと世界は見えてこない。世界は学問別にはできていない。学問分野は 研究しやすいように人間が勝手に細分化しただけである(p41) 学問分野とは 、そもそも人間が研究しやすいように 勝手に分けたものである。リベラルアーツという言葉は、元々 ギリシャ・ ローマ時代の「自由7課: 文法・修辞・弁証・ 算術・ 幾何・ 天文・ 音楽」 に起源を持っている(p44)
・地政学 と言うと 基本は 、政治学+ 地理学である。その2つに加えて、 経済学・哲学・歴史学・宗教学・文化人類学などにもアプローチする必要がある。それらは世界を正しく理解しようとすれば 避けて通れない(p42)
・ 人が表面上に出している行動と深層心理は必ずしも一致しない。これは一般の人間にも当てはまる。相手を威嚇する者ほど恐怖心を強く持っている(p51)
・あらゆる 観察対象には、白も黒も同時に存在する。光と影があって立体的に物事が見える、 引力と遠心力が作用して今の場所にある。白か黒か 竹だけで割ったような見方に絶対してはいけない、 この考え方を「 オクシモロン」という(p52)
・現実的には、平和とは力の均衡状態のことを言う 普天 今回のウクライナ 戦争は、プーチン氏がウクライナにおける NATO とロシアの均衡状態が崩れたと判断して起こした(p60)
・地政学の思考法は、 地理 + 6つの要素である、気候・周辺国・民族性・産業・歴史・統治体系である(p66)
・封建制度は、 豊かな土壌・豊富な水資源・緩やかな分権的統治・ 騎馬民族の不在、という条件が揃った場所にしか生まれなかった。封建制度 が生まれて、 余剰生産と貴族が生まれた、小金持ちとその人たちが 投資に回せるお金が生まれた、 つまり 封建制度 が生まれなければ、起業家精神 を発揮できる人たちは誕生しなかった。その人たちが 農業の生産性を向上させることで、さらに儲けられることに気づいた、 彼らが資本主義の担い手になった(p74)
・ 第1位にある覇権国家は、覇権に挑戦する国、 いわゆる 第2位の国を叩き落としたい。その時に、2位の国を落としたいという共通の利益を持つ 3位の国を利用する。現在は覇権 国家 アメリカが、3位の 経済大国 日本と組んで中国を牽制している。 かつて 欧州における覇権 国家 イギリスが、その派遣に挑戦してきた ドイツを、欧州ではない 新興国 アメリカと組んで攻めたのも この例に当たる(p80)
・ 巨大で豊かな島国 アメリカは、資源と食料生産能力に恵まれている。加えて 太平洋も 大西洋 も、封鎖しようにも マラッカ海峡 や ホルムズ海峡 や台湾海峡のようなチョークポイントがなく、兵糧攻めが不可能に近い(p88)
・島国 シーパワーにとって、他国の領土を侵略し そこを統治することは、飛び地の支配に他ならない。補給も容易ではなく、文化も統治体系も違う飛び地を支配するのは容易ではない 。一度 支配したら、継続的に補給しながら飛び地に人材を派遣して統治 し続けるのは至難の技である。アメリカは 後に、ベトナム・ イラク・アフガニスタンでも ほろ苦い経験をし 学んだ。それより 交易や金融を使って、飛び地でも影響を与え続ける方が効率的である、そして徐々に時刻に有利な国際秩序を構築して システムで疑似 コントロールをする方が 理にかなっている(p90)
・日本版 シリコンバレー など 日本政府も新興企業振興の掛け声をかけるが、社会の成り立ちが違う、 日本人がアメリカ人には勝てないということではなく、社会の成り立ちが 違う。世界中からリスクを取って集まった人たちが作ったエコシステムを簡単には真似ることができない(p96)
・海を制する者が世界を 制するのは今でも常の世である。デジタルが幅をきかせる時代でも、世界の物流の95%以上は 海路を通じている、そしてインターネット上の通信の99%以上は海底ケーブルを通じて行われる(p104)
・ アメリカにとっての世界 三大 重要地域(アジア・欧州・中東)の中で、中東の順位は下がり、ウクライナ情勢で欧州、情勢でアジア、この2つの地域の重みが増している(p109)
・確率は相当 低いが、もし仮に台湾有事が起これば、ウクライナ 戦争とは インパクトが違う。 世界1位 、2位、3位の経済を巻き込む 戦い だからだ 。その意味ではやはり危機は増していると想定した方がいいだろう(p116)
・西洋と同じく 封建制度 が 生まれ、260年を超える文献的な 幕藩体制が続き、各藩による独自の競争政策で商業・工業・教育・財政が各地で培われてきた。これが やがて 日本 発展の 素地となる(p121) 日本は江戸時代末期ですでに世界第7位の人口と世界 第8位の GDP を誇っていた江戸時代後期から世界の中では結構大きな国であった(p122) 戦後 世界9位まで落ち込んだ 日本の GDP は 1984年には世界第2位まで躍進した(p126)
・ 日本で1日に消費する石油量は約400万 バーレルと言われ、30万トン級の単価が12時間に1度は日本を訪れる計算になる。逆の言い方をすると、12時間に1度の輸入が途絶えると日本社会や経済は混乱に陥ることになる(p127)
・南北に長大な日本列島は、中国本土から見て中国の海洋進出を見事にブロックする会場の万里の長城 である。海を隔てる もう一つの超大国アメリカから見ると、日本は中国の太平洋進出を抑える ちょうどいい 防波堤である。その定年の万里の長城が途切れて ぽっかり空いた場所が尖閣諸島である(p130) 中国は 台湾有事に備えるため、台湾の東側の海域= 尖閣諸島を抑えたいので、中国は尖閣諸島が欲しい(p133)
・北方4島を日本に返還してしまえばアメリカがそこに ロシアを牽制する 最前線基地を作る可能性がある。それはロシアにとって最大の脅威となる。したがって 北方領土は絶対に返還されない(p137)
・ 社会や国民性は 、チリや電工が長年にわたってもたらす環境に大きく左右される点、良いも悪いも、ベストも ワーストも簡単には定義できない。日本社会が強いリーダーシップを好まず、 立派なリーダーが現れず 危機管理に弱いのも、 自然環境がもたらした長い歴史的背景がある。世界的なリーダーを生む 国家には、それ以上に不幸な歴史もある(p156)
・ 一度 征服した領土に徹底的にこだわるのがランド パワーだ、 中国としては、もし 反発するばかり 少数民族を独立させたらどうなるか。おそらくその領土が独立国になれば、 厳しい 弾圧を続けていた自国の 敵対国 として 隣国で国境線を共有することになる。加えて 他の少数民族に与えるインパクトも大きい、反発の強い 一つを独立させてしまったらそれは連鎖するであろう。チベットが独立したらウイグル も、そしてそれに続くところもあるかもしれない 実際 ソ連 崩壊時にソ連は 多くの元 自国 領土に独立されて縮小してしまった (p167)
・騎馬民族の存在と侵略によって中国王朝は社会を成熟させることが叶わなかった。騎馬民族に対抗して統治するためにも、常に先制君主による強権的な国家運営しかできなかった(p171) 火薬・コンパス・印刷 という人類の三大発明は全て中国で生まれ、暦 作成のための 天文学も世界で最も発展していたが、封建制と それが生み出す 私有財産制度が生まれず、発明された技術を商業利用して稼ぐ 担い手が中国では現れなかった(p172)
・ 中国は 5 G で優位に立ち 世界のリチウム電池の約80%を生産する、 しかし、 バイオテクノロジー・クラウドコンピューティング・ AI では 欧米 が優位に立つという。中国は成果目標が明確な分野には強いが、そうでない分野では弱いことがわかる。量の投入で勝負の行方が見えるような分野( 電池開発・ドローン製造・高速鉄道・電気自動車など)では中国式の国家主導 イノベーション 創発が機能するが、いくら 量を投入しても勝負の 行方が簡単に見えないような分野(AI・バイオ)では機能しない(P192)
・ 北極海 ルートは 南回りルートに比べて 距離が約1.4万 km 短くなる、輸送時間の短縮はもちろん 燃料費・温室効果ガスも削減できる。加えて 天然のコールドチェーン なので 薬品や食料の輸送に適している 、 そして 極寒の北極海 ルートには 海賊がいない。日本はもちろん、韓国・中国・アジア諸国から見ると、日本の北海道、特に釧路 が北極海 ルートの就業拠点となる可能性が高いでん 数十年後にはシンガポールに代わって 釧路 がアジアのハブ港になるかもしれない(p233)
・ イスラム教で豚を食べないのは、 限られた食料で生き抜くための知恵だ。牛も ラクダ も反芻 動物で人間が食べるものは食べない。しかし 豚は雑食で人間と食べ物が競合する。歌は 食肉としての価値はあるがそれ以上に メリットが多いとは言えない、豚は短足で砂漠を移動するのに向いていない。このように イスラム教は乾燥地で生き抜く知恵を伝える目的を持っている(p254)
・インターネット よりも 世界的にインパクトを与えると言われるのが Web 3である。Web2が 情報をインターネットに載せることだったが。 Web 3は価値 をインターネットにブロックチェーンを使って載せることである。そのインパクトは 1桁も2桁も違うと言われる、それを使って国づくりをしている最先端 都市が中東のドバイである(P255)
・過去の人類の経済誌の中で 9割以上の機関、中国とインドで 世界の GDP の過半を占めてきた。この二大経済大国の中間地点にあったのが 東南アジアである。そして 長年 このに大国間の物流のチョークポイントとなってきたのが マラッカ海峡である(P290) このマラッカ海峡に 11本 、 シンガポール海峡には 22本の海底ケーブルが走っている(p291)
・人は居場所によって 思考に多大な影響を受ける。ミクロではそれを 風水 と呼び、マクロでは、地政学 がそれに近い。 居場所が 気候を決め、歴史を形成し、周辺の国を規定し、それらが 産業や食料生産まで規定する。そしてそれらは 政治体系 や外交的 手段の傾向にまで影響がある。 従って相手を知るためのロールプレイとしても、地政学 は、とても有効である(p341)
2025年11月29日読破
2025年12月3日作成
Posted by ブクログ
アメリカは島国である、というのは言われてみるとそうなのだが、狭い日本列島こそ島国なのだ、と認識して育ってきている自分にはこの観点は面白かった。
Posted by ブクログ
地政学を知ると、相手の立場に立って複数の情報を統合すると、こういう帰結になるだろうというある程度の行動の予測ができるという点が面白いなと改めて感じた。
例えば、ウクライナ侵攻をしたプーチンを批判するのは容易いものの、自分がプーチンだったらどうするか?と考えると見方が変わる。
不凍港がなく、人が住める場所も少なく、他国に囲まれているロシアとしては、領土拡大をすることが国の平穏を保つための戦略になる。要するに、ランドパワー的な発想。
中国の尖閣諸島問題も同様であり、シーパワーとランドパワーの両立を狙う中国側からすれば、台湾にも近く、深い海がある尖閣諸島は魅力的である。なお、深い海が必要なのは、他国に見つからないように原子力潜水艦に核兵器を隠すため。(中国には核兵器を隠せるほど深い海がないのは知らなかった)
基本的にその国の地理によって、大半のことが決まってしまう。日本は島国であり、天然の要塞に囲まれているため、内向きのことを考えていれば良かった。アメリカも同様に島国とみなせる。
一方、中国やロシアのような大陸は、多くの国に囲まれており、いつ侵略されるかわからないため、強いリーダーシップが必要になる。
日本のことを島国根性と揶揄するものの、あながち間違ってない。というか、そもそも他の国と成り立ちもインセンティブも違うのだから、強いリーダーがいないから日本はダメだみたいな話もお門違いだなと。
Posted by ブクログ
立地が歴史や風土を作っていくのは当然だけれど、その当然が分かっていなかった僕の目からうろこを落としてくれた名著。そうか。日本やロシアから見た時日本って物凄く邪魔な場所にいるんですね。しかも周りを天然の要害「海」に囲まれている。
騎馬民族の襲来がどれだけ大陸の歴史で大変なリスクだったのか良くわかりました。地政学すごい。
Posted by ブクログ
教養として捉える点であまり知識がない人には新鮮さがあり面白い。日ごろから世界情勢に超詳しい方や証券マン(完全にイメージです)のような方には当たり前だよと言われるかもしれない内容ではありました。教養なので何か行動を起こすことには適さないと思います。私個人としてはインドのITにおける能力の高さは感じているところがあるので、これを機にインドのIT教育とはどんな方法なのかということを調べてみるきっかけにしました。
Posted by ブクログ
正直、期待したハードルを超えるほど面白い本ではなかったため星3とした。
書いている内容は面白いもののとにかく、同じトピックスを次の話のときにも擦ったりと何回重複すんねんとツッコミたくなる。
総じて、本として普通と感じたため星3とした。
Posted by ブクログ
最近の情勢で地政学はとても大事だよねと思い読んでみた。いろいろ細かい事情は知れたけども、新たな視点などは得られなかった。今はウクライナ、次は台湾。そして日本に何があっても国連は助けてくれない。その辺はなんとなくニュース聞いてれば予想できます。
そして地政学でいずれ起こることはわかるけど、いつか起こるかはわからないそうです。なるほど。
もっと子供用の地政学の本、例えば「13歳からの地政学」でも、考え方としては同じものが得られるし、そっちの方がわかりやすいかもしれない。原子力潜水艦の話とか。
この一文は大事かと。
「平和という状態はバランス、つまり力の均衡状態でしかない。このことを我々は再認識しなければならない。この世は諸行無常である。つまり唯一不変なものは変化なのだ。変化する国際情勢をやがて必ず均衡状態を崩す。力の均衡状態が崩れた場所には、その均衡が再びどこかで取れるまで、非人道的な暴力が起こり続ける可能性がある。」
知ってたけど世の中に「正義」というものはない。太鼓からの弱肉強食は21世紀も変わらないのね。
Posted by ブクログ
初めての地政学。
アメリカ、ロシア、中国、日本とそれぞれの相手の立場をロールプレイングすることによって、起きたことに対する見え方が変わる。
専門的な本というよりも概念書(また重複箇所が多くて読みづらいところがある。教授ということであればもう少し推敲した文章を期待したい)。
概念を理解する上では良書であるが、さらっと読みでも良いかも。
Posted by ブクログ
近年、ビジネスパーソンの間で地政学。地政学とは宗教、気候、政治とあらゆる要素に影響することを強調している。
別の地政学の書物同様、地続きの国と島国の違いや国別の影響も書かれているが、より宗教やその国民性に踏み込まれている。
北海の氷が溶けることで新しくアジアと欧州の航路が拓けることから、ロシアは北方領土を渡さないことや、トルコがロシアウクライナ問題のkeyとなる点は学びになった。
人口減が続く日本にとっての次なる投資は東南アジア(ベトナムやインドネシア)へが有力であるという箇所については地政学だけでは語れない部分もあると個人的には感じた。
Posted by ブクログ
インパクトの大きさとして、中国の台湾有事とロシアのウクライナ戦争は注視していかないといけない。地政学の観点で考えると今日本に降りかかる外交問題、北方領土や尖閣諸島は言ってしまえば起こって当然の問題であると。そこはアメリカとの関係性、中国との関係性、色々なことを考えながらやっていかないといけない。日本というのは地政学的にも、アメリカに占領された内容など、さまざまな点においてこれほど運のよい国は無いのではないかと改めて思う。その分、今の有様というのが悲しい。
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ウクライナ✖️ロシア、イラン✖️イスラエル、社会情勢が不安定化し、台湾有事で置き換えた時、自分も他人事ではないと日々おもっているところでこの本が目に止まった。
以前上司に君は視座が高いねといわれたことがあったが、本の出だしで地政学は相手の立場になりきるロールプレーイングであってビジネス成功でも大事な教養となる説明があった。ますます自分のいいところを伸ばせるいい機会を得たと思った。
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▪︎気になった箇所
・アメリカ生まれの人が凄いというより、アメリカの世界を憧れさせ成功者予備軍(移民)を世界から受け入れるシステムが、アメリカに活力がある理由
→これまで保守だった日本はどう動くべきだろうか
・中国が尖閣諸島を欲しいのは核弾頭を隠すための深海が欲しいから。(核が抑止力となるのはどこから打たれるかわからないの場合のみ)
→日本列島は中国の太平洋進出の壁となるように位置しており、尖閣諸島はその壁が途切れた箇所
→尖閣を抑えられれば太平洋へのルートが開かれ1000m以上の深い海を手にすることができる。(台湾有事の際に四方から固めて包囲することで外乱を抑えたい狙いも)
・円安が進むわけわ、人口が減り続ける日本では安全保障のリスクも高まり続けて、その大規模自然災害も予想される、そんな国の通貨を使用し保有してくれるのか
→純粋な日本人の自然増は望めないので、外国人を取り入れていくしか日本の国力を取り戻す方法はない?
・東南アジアの諸外国が中国に強気になれないのは
、各国に流れる河川の源流が中国にあり、ダムで水を堰き止められる、もしくは一気に放流して水責めされる恐れがあるのも要因のひとつ
・中国やロシアが独裁的なのは、なんども他国に攻められ国を滅ぼされてきた歴史があり、やられる前にやることで防衛したいという思想が根底あった。その為国土は広がり、多民族を取り込んでいったが彼らの反発を押さえ込むために強制的な姿勢がとられる傾向がある。
→日本も取り込まれればウイグル自治区のような扱いをうけるのでは?
・平和状態とはバランスのことで、力の均衡状態でしかない。
Posted by ブクログ
地政学とはその国の元首になるロールプレイングゲームのようなものであり、該当国の思考をメタ認知することが大切になる。例えば島国である日本においては、アメリカの防衛のお陰で海路での輸送が安全に行われていたり、海底ケーブルを敷設,監視できている。
地政学的観点から見た各地域の政治的思考や展望など具体例も多く、世界史や世界経済の前提知識があればより楽しめたと思う。物流の95%を海上輸送が占めているなど、水域の重要性を改めて認識した。