■みんなの感想まとめ
・営業戦略/仮説思考/顧客課題解決/実践的ノウハウ/受付突破/スキル向上/PDCAサイクル/成果向上/型化営業/コーディネーター意識
・営業における戦略的思考と仮説思考の重要性を学べる一冊で、根性論に頼らず実践的なノウハウが詰まっています。ターゲット顧客の情報をもとに仮説を立て、効果的な営業戦略を練ることで、受付を突破し、決定権を持つ相手へ迅速にアプローチする方法が解説されています。
・営業を個人プレーとして捉えず、顧客の課題解決に寄与するコーディネーターとしての意識を持つことが求められます。
・各章では仮説思考力や因数分解、PDCAサイクルの回し方など、具体的なスキルが紹介され、営業の型化が進められています。全体最適解を追求しながら、日々の計画や目標設定を意識することで、営業の成果を高めることができるでしょう。
■おすすめポイント
・著者は元野村證券のトップセールスパーソンで、起業家としても輝かしい実績を誇っている。それは才能によるところも大きいと思う読者もいるかもしれない。しかし著者は、営業に特別な才能は必要ないと断言する。
・著者が良い実績を残せたのはなぜか。それは、気合いや根性に頼ることなく、徹底的な仮説の深掘りと、実践した結果を定量的に分析して独自の型を増やしたから。
・そして、一連の営業プロセスを繰り返しながら改善し続けたからだという。その営業スタイルを、誰でも取り組めるように体系化したのが本書だ。
・営業パーソンが成長するためには、次の3つのポイントをクリアする必要がある。「仮説立て」「型化」「定量的検証」だ。
・営業先を選び、セールスに伺い、クロージングするという一般的な営業プロセスの随所に、この3つのポイントを組み込むことで、トップセールスに近づける。もちろん、新しいプロセスを計画し、繰り返し実践・改善する過程で、営業パーソンとして成長を遂げられる。
・営業は足で稼げ。営業は人情勝負でストレスフル。こうした営業にまつわるマイナスイメージは事欠かないが、どんな仕事も営業なくして生まれない。さらには営業パーソンがいるからこそ、事業の成長と組織の発展を継続できる。本書はそんな前提のもと、営業パーソンに最大のエールと、最高レベルの知恵を届けてくれるだろう。
■本書の要点
・理想の営業パーソンになるために必要なのは、仮説思考力、因数分解力、確率論的思考法、PDCAを回し続ける力の4つだ。
・マーケティングでは顧客の情報収集とニーズの仮説構築を行い、受付突破をめざす必要がある。
・セールスでは、顧客のニーズ喚起が充分にできてからプレゼンフェーズに移行するのが望ましい。
・営業の各プロセスを検証・改善し続ける姿勢が重要であり、そのモチベーション維持にはセルフトークが役立つ。
■営業をアップデートするために
・営業パーソンにこそ「型」が必要
・他の職種に比べて、営業は低く評価される傾向にある。著者自身、飛び込み営業を経験したが、人間扱いされないこともしばしばあった。しかし、理想の営業は、顧客に求められ、成長を実感でき、ストレスフリーであることである。本書には、そんな理想の営業パーソンになるために実践すべきことが凝縮されている。
・日本の営業はとかく個人任せだ。おそらく、営業プロセスの体系化が不足しているせいだろう。そのため、組織的改善に取り組めず、感覚的な経験則に則っているだけという営業パーソンも多い。しかし、これは「型」を増やすことで改善できる。
・もちろん、型が必要とはいえ、マニュアルに一律沿えばいいというわけではない。顧客の期待に応えるアプローチが必須となる。それは、「何か困りごとはありませんか?」と、御用聞きをする営業ではない。顧客と会う前から仮説を準備して、顧客の課題解決をめざさなければならない。
・そのため、すぐに外勤営業(セールス)に出向きたい気持ちを抑え、内勤営業(マーケティング)に注力することが望ましい。
・確率論でいえば、「顧客をどう説得するか」よりも、「どの顧客を説得するか」を重視したほうが、大きなインパクトを期待できる。具体的には、3対7くらいで後者のマーケティングに注力すべきだと著者はいう。
■営業パーソンに必要な4つの力
・では、営業が成長するために必要な4つの力とは何か。
・1つ目は「仮説思考力」である。この力は、日頃から物事を分解して考える習慣で身につく。著者は「仮説営業」というスタイルを実践してきた。営業プロセス全体を俯瞰し、ボトルネックがどこなのかを推論し、検証していく。これは特に、顧客の課題を特定すべき場面で力を発揮する。
・2つ目は「因数分解力」だ。思考の整理、課題の見落としを防ぐのに欠かせない力で、仮説の精度を高めてくれる。まずは「営業」をプロセスで因数分解するとよい。
・可視化して、できるだけ細かく分解することで改善点を見つけやすくなる。営業に奇抜なアイデアは必要ない。因子の見落としさえなければ、必ず結果はついてくる。
・3つ目は「確率論的思考法」である。インサイドセールスでは、課題や改善点を徹底的に数値で把握し、戦略を練っていかなければならない。この思考法を活用する最大の利点は、営業が確率の世界でしかないことを実感できることだ。営業は初めから失敗の山の上に成果を出す運命にある職種といえる。だからこそ、1件断られるたびに自己否定されたと感じてしまわないよう、数値に落とし込むことを著者は推奨する。
・そして、4つ目は「PDCAを回し続ける力」だ。重要なことはPがすべて仮説だという点である。PDCAサイクルを回し続け、型、つまり「勝ちパターン」を増やすようにしたい。
■【必読ポイント!】 マーケティングプロセス
・情報収集とニーズの仮説構築
・金融業界にも「数打ちゃ当たる精神」の営業パーソンはいる。しかし、著者は、顧客にコンタクトをとる前に、情報収集とニーズの仮説構築を必ず行っていた。顧客に会う前から「答えらしきもの」を用意することが、仮説営業の真髄である。
・ポイントは、いかに効率よく情報を集め、顧客から話を引き出し、仮説の精度を上げるかに尽きる。PDCAを回し続け、型を増やせば、負担も減る。
・活用できる情報源はたくさんある。たとえば、企業ホームページやブログ、SNS、講演、インタビュー記事、企業情報データベース、登記簿謄本などだ。また、通知機能を利用すれば、情報収集の自動化を図れる。グーグルアラートやRSSリーダーを使えば、頻繁に連絡をとるわけではない見込み顧客との関係維持に役立つだろう。
・たとえば、支社設立のニュースを検知したら、お祝いの電話をかけつつ、予想できる課題について話を振ってみる。すると、「この営業パーソンは常に自社の情報をチェックしている」と思われ、聞く耳を持ってもらいやすい。
・つづいて、これらの情報をもとにニーズの仮説構築を行う。顧客対象が経営者ならば、経営者になったつもりで考えてみればよい。
・経営課題を因数分解すると、売上増かコスト削減に分類できる。
・もし売上を上げることが課題なら、組織づくりや設備投資、マーケティング、営業、ブランディング、採用などに因子が絞られる。
・経営者個人の課題も、人、物、金、情報のいずれかだ。売れる営業は、こうした課題と解決策の型を頭に入れる努力を惜しまない。
■受付を突破するものは営業を制す
・著者がPDCAを回すことを意識し始めたのは、アプローチのプロセスからである。新規開拓のボトルネックとなっていた「受付突破」の成功率を高めるためだ。
・最初のステップは誰に営業するかを決めることである。基本的には決裁者を攻めるのが望ましい。上から攻めるほど、成約率は高まるが、営業に求められる質も高くなる。つまり、自分の能力に適したアプローチ相手を見極めなければならない。
・次に、アプローチ手段を決めていく。攻めたい顧客につながったら、短期間でアポを取るための決戦が待っている。
・このように、マーケティングプロセスは営業プロセス全体からしてボリュームが大きい。だからこそ、型を増やし、スピーディーに処理することが重要となる。
・特にテレアポや飛び込み営業で伸び悩みを感じている人は、受付突破に9割以上の労力をかけるとよい。母数を増やせないと、いくらプレゼンの準備をしても成果は残せないからだ。また、受付と経営者のガード力は相反すると考えるとよい。つまり、受付突破率を高めると、営業に対してガードの低い経営者と接点を持つ機会が増え、営業成績も上がりやすい。
■セールスプロセス
・プレゼンはニーズが充分に喚起できてから
・いよいよセールスプロセスについて解説していく。初回面談時の基本的なプロセスは次の通りだ。相手の性格を見極め、戦略的な雑談により信頼を得る→用意してきたニーズについての仮説をぶつけて、修正する→課題の全貌と、解決後の未来像を聞く→ニーズを喚起する→決裁者や予算などの内部情報を聞く。どれも重要だが、面談の最大の目的は「ニーズの喚起」だと著者はいう。
・商談を決定づけるニーズ喚起の4大要素は、必然性、効用、実現可能性、緊急性だ。それぞれ、不安の喚起、欲望の喚起、心理的ハードルを下げる、買い手の優先順位を上げるに言い換えられる。面談で顧客が「どうありたいと思っているか」を入念に探り、ロジカルに戦略を立てていく。顧客が「頼むからその商品を提案してほしい」という状態になれば、ニーズ喚起が充分にできたといえる。
■未来の営業職はコーディネーター的存在に
・ニーズ喚起がクリアできていれば、プレゼンの失敗率は低くなる。プレゼンでは、課題の復習をし、解決策の提示、実行策の提示という順番を意識するとよい。課題の復習から入るのは、顧客の気持ちが冷めている場合が多いからだ。温め直すことで、「そうだ、それが理想(の未来像)だったんだ」と思い出してもらう。温め直すほど、その反動で提案のインパクトが増す。
・プレゼンの時には、ストーリーテリングを意識したい。人は論理と感情という2つの判断軸を持っている。ストーリーの目的は、感情面の共感度を高めることだ。
・ストーリーには、課題解決型と商品訴求型という2パターンがある。前者は未来のストーリーで、後者は過去のストーリーだ。ストーリーは商品訴求型営業でよく使われるが、課題解決型営業でも重要な役割を果たす。顧客が描いた未来像を現在と結びつけて話すとよい。
・著者の知り合いのベテラン証券営業の女性は、「私の仕事の価値はコーディネート」という。とても的確な指摘だ。全体最適の視点を持ち、自社商品やサービスが顧客の未来をどう変えていくのかというストーリーを示すことが、次世代の営業には求められる。
■営業として加速度的成長を遂げるために
・成長は「2乗」で起きる
・これまで述べてきた内容を一通り理解し、実践したとしても、トップセールスの7割の実力にしか至らないだろう。残り3割を埋めるものは「継続」だ。仮説構築と検証のループを繰り返すことで、成長が加速する。では、どのように継続していけばいいのか。
・誰しも目標に向かう日々の中で、前進を実感できないときを経験するだろう。しかし、「螺旋階段」をのぼるように、小さなことを積み重ねることでしか、大きな目標は達成できないといってよい。
・仮説構築と検証を繰り返すと、一つの案件の成功率が高まる。また、時には今よりも1ランク上の仕事を紹介されるケースが出てくる。努力と改善を積み重ねた人間だけが、自分にとって難易度の高い仕事を引き受けることができる。このように、飛躍的成長をめざすなら、努力を継続するしかない。
■モチベーション維持に役立つ「セルフトーク」
・著者は野村證券時代、1週間で出す成果について毎週のようにコミットメントをさせられた。こういった仕組みはモチベーションの維持に大いに効果を発揮する。著者が結果にこだわり続けられたのも、セルフトークのおかげだという。
・セルフトークとは、自分の目的や目標意識のレベルを高める仕組みだ。具体的には、毎朝自分の目標を鏡の前で口にする、帰宅後に振り返りの時間を設け、自己と対話しながらPDCAの回し方をどう改善するかを考える、といったことが挙げられる。また、毎月の目標数値を携帯電話の暗証番号に登録したり、目標がリマインドされるようにアラームを活用したりするのも手だ。こうした工夫により、日々の業務が達成したい目標につながっているという意識を持てる。これこそが努力を継続するための秘訣といえる。
■一読のすすめ
・本書には独自の顧客リストをつくるプロセスや、定性的な目標を数値化するための心得、顧客管理やクロージングの押さえどころなども紹介されている。また、営業組織をマネジメントする際のツボも示されているため、個人ではなく組織で営業力を高めていくために活用することができる。ぜひ営業部門のメンバー全員で読んでいただきたい。