作品一覧

  • 荊の城 上
    4.2
    1~2巻968円 (税込)
    19世紀半ばのロンドン。17歳になる孤児スウは、下町の故買屋の家に暮らしていた。ある冬の晩、彼女のもとに顔見知りの詐欺師がやってくる。さる貴族の息子というふれこみで、〈紳士〉とあだ名されている、以前スウの掏摸の腕前を借りにきたこともあった男だ。彼はスウにある計画を持ちかける。とある令嬢をたぶらかして結婚し、その巨額の財産をそっくりいただこうというのだ。スウの役割は、令嬢の新しい侍女。スウはためらいながらも、話にのることにするのだが……。CWAヒストリカル・ダガー受賞&第1位「このミステリーがすごい! 2005年版」海外編ベスト10。
  • エアーズ家の没落 上
    4.0
    1~2巻968~1,018円 (税込)
    この地方で、かつて隆盛を極めたエアーズ家は、第二次世界大戦終了後まもない今日では斜陽を迎え、広壮なハンドレッズ領主館に逼塞していた。かねてからエアーズ家に憧憬を抱いていたファラデー医師は、ある日メイドの往診を頼まれたのを契機に、一家の知遇を得る。物腰優雅な老婦人、多感な青年であるその息子、そして令嬢のキャロラインと過ごす穏やかな時間。その一方で、館のあちらこちらで起こる異変が、少しずつ、彼らの心をむしばみつつあった……。悠揚迫らぬ筆致と周到な計算をもって描かれる、たくらみに満ちたウォーターズの傑作。ブッカー賞最終候補作。
  • 黄昏の彼女たち 上
    4.0
    1~2巻1,324円 (税込)
    1922年、ロンドン近郊。戦争で男手を喪い、母とふたりで暮らすフランシスは、生計のため広すぎる屋敷に下宿人を置くことにする。広告に応じたのは若い夫婦、レナードとリリアンのバーバー夫妻だった。家の中に他人がいる生活に慣れないフランシスだが、ふとしたきっかけからリリアンと交流を深めていく。公園でのピクニック、『アンナ・カレーニナ』の読書、そして互いの過去を知りあうことで……。いつしかふたりの女性に芽生えた感情は、この物語をどこへ運んでいくのか? 心理の綾を丹念に描いて読む者を陶酔させる、〈このミス〉〈週刊文春〉第1位作家・ウォーターズの傑作!
  • 半身
    3.7
    1巻1,119円 (税込)
    門をいくつも抜け、曲がりくねった小径をたどった奥にある石の迷宮――ミルバンク監獄。1874年の秋、テムズ河畔にそびえるこの牢獄を慰問のために訪れたわたしは、不思議な女囚と出逢った。19歳のその娘シライナは、監獄じゅうの静けさをかき集めたよりも深い静寂をまとっていた。なぜこんな人が、こんなところに? すると、看守から聞かされた。あの女は霊媒なの。戸惑うわたしの前に、やがて、秘めやかに謎が零れ落ちてくる……。魔術的な筆さばきの物語が終局に至って突きつける、青天の霹靂のごとき結末。サマセット・モーム賞など多くの文学賞に輝く本書は、魔物のように妖しい魅力に富む、絶品のミステリ!
  • 夜愁 上
    3.6
    1~2巻896円 (税込)
    1947年、ロンドン。第二次世界大戦の爪痕が残る街で、人々はしぶとく毎日を生きていた。戦争を通じて巡り合ったケイ、ジュリアとその同居人のヘレン、ヴィヴとダンカンの姉弟たちも。今日もまた、一日が終わり――夜が来る。彼女たちが積み重ねてきた歳月を、容赦なく引きはがす夜が。想いは過去へとさかのぼり、隠された真実を、心の傷を、さらけ出していく。『半身』『荊の城』で示したたぐい稀なる語り口にはさらに磨きがかかり、読者をとらえて放さない。ウォーターズが贈る、めくるめく物語が、いまここに。ブッカー賞、オレンジ賞最終候補作。

ユーザーレビュー

  • 黄昏の彼女たち 下

    Posted by ブクログ

    和訳 黄昏の彼女たち
    ロンドン郊外。保守的な母親と静かに暮らしていくはずの女性と下宿人の若い夫婦。
    女性は控えめで美しい妻の方に惹かれてゆく
    期待どおりのハラハラドキドキ

    全文はブログで
    www.akapannotes.com

    0
    2025年08月06日
  • 黄昏の彼女たち 上

    Posted by ブクログ

    和訳 黄昏の彼女たち
    ロンドン郊外。保守的な母親と静かに暮らしていくはずの女性と下宿人の若い夫婦。
    女性は控えめで美しい妻の方に惹かれてゆく
    期待どおりのハラハラドキドキ

    0
    2025年08月06日
  • エアーズ家の没落 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    どこをどう受け取るかで、物語の見え方が変わってくる奥深い作品だった。

    上巻のレビューで「これはホラーなのか?それともサスペンスなのか?」と書いたけど、下巻を読んで、その答えは読む人によって違ってくると思った。

    他の方のレビューを読んでみると、自分とはまったく違う視点から物語を捉えている人もいて面白い。
    そうした受け取り方の幅こそが、この作品の魅力だと思う。

    私は、幽霊よりも人間の内面に強く恐怖を感じるので、上巻からうっすらと違和感を感じていた“ある人物”が鍵を握るサスペンスだと感じた。
    下巻に入ってからのあの人物の内面からじわじわ滲み出ていたものは、自分にとっては1番恐ろしかった。

    0
    2025年06月28日
  • エアーズ家の没落 上

    Posted by ブクログ

    〈海外サスペンス〉で検索して見つけた一冊。
    「〇〇家」と名のつく“館もの”が大好きなので、好きな要素が全部詰まってる気がして、手に取らずにはいられなかった。
    その予感は大当たりで、期待通りの世界観にのめり込んでしまった。

    かつては栄華を極めたエアーズ家。しかし、時代の波には抗えず、今では見る影もないほどに荒れてしまっている。

    医師ファラデーは、診察のため久々に館を訪れるが、その変わり果てた姿に驚愕する。
    その館では次々と不可解な出来事が起こり始める…

    これは果たしてホラーなのか、それともサスペンスなのか?今のところはまだわからない。
    私はホラーには興味がないので、できればサスペンスの方向

    0
    2025年06月25日
  • 荊の城 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    昔、少しだけ読んで読むのを
    やめていた本。

    田舎の泥棒一家が金持ちを夢見て
    その夢をスウに託して…

    モードの夢見る脳内お花畑っぷりに
    スウは可哀そうにと憐れみを浮かべる
    そして私も笑
    それは次第に同情に変わり
    モードを見る目も変わってくる。
    男女、女女、とにかく
    人と人の絡みが、文章によって
    こんなに濃密なエロスになるとは…

    サラ・ウォーターズもだが
    中村有希さんの翻訳力にも脱帽である。

    上巻最後の天地がひっくりかえる
    どんでん返しは見もので
    下巻にすぐさま手が飛びます。

    下巻も渦巻く陰謀に
    早くその答えを知りたくて
    ページを捲る手がとにかく止まらない。

    最後に明かされた答えは

    0
    2023年10月25日

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