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  • 分水嶺
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    分水嶺

    初期の作品であるが、タイトル「分水嶺」がまさに作品の内容を表している。ときには生命をかけた山仲間、ザイルパートナーの二人であったが、そのご分水嶺に降った雨の雨粒のごとく相反する人生をおりなす。

    二人の女性との愛、昭和の時代背景(広島被爆者やベトナム戦争時代のアメリカ)もからませ、主人公二人の数奇な生き様や葛藤を描いた物語である。

    数十年ぶりに読み返してみた。私の中では「分水嶺」が最初に出会った森村作品であり、その後、森村作品に魅せられ没入していくこととなった。

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    2023年05月14日
  • 復活の条件
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    復活の条件

    タイムマシンで過去へタイムスリップの物語りではないが、それに類するストーリーである。主人公はオリジナルの世界で喪失したものを、鏡像の世界へ身を移し取り戻していく。鏡像の世界というユニークな舞台で、社会派推理作家の巧みなストーリーが繰り広げられ、森村ワールドへ深く引き込まれてしまう。

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    2023年04月16日
  • 深海の夜景
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    深海の夜景、弔辞屋

    短編集とは気づかずに購入した。いずれの作品も社会派推理作家の本領発揮といったストーリー展開に引き込まれる。

    最初の弔辞屋は、題目からは想像だにできない、若き日の男女のすれ違いが、往年になって紐解かれる、涙を誘うラブストーリーといえる。

    ✳︎出版社へ
    文字化けが多数。なぜか「噂」という文字が、突如現れる、意味不明、存在しない熟語となっていたり、誤植と言うより電子データに起因する文字化けのように思える。

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    2023年04月02日
  • 湖底の光芒
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    湖底の光芒

    大手企業の専務が、下請け企業に無理難題を押し付ける。一方、主人公は小規模な工場を営む女性経営者である。物語りは、この専務の悪意に満ちた思惑と、工場の経営に全身全霊を注ぐ主人公と、この義理の妹がおりなす。これらの結末が表題である。

    女性たちをたぶらかし虐げる場面がある、好みではない、ので星3つ。

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    2023年03月21日
  • 野性の条件
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    野性の条件

    森村氏の作品としては、珍しい創作と言える。映画007なみの活劇ストーリー、悪(某国殺し屋集団)と正義(野生に目覚めた主人公たち)の壮絶な闘いへ引き込まれる。棟居刑事達も登場するが、正義側に組みすることもなく脇役的な存在として描かれている。

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    2023年03月12日
  • 名誉の条件
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    名誉の条件

    政権にいる悪を牛尾刑事らが追い詰める。暴力団組織も登場するが、このフロント企業のトップについたのが、組織の中にあって暴力を否定する特異な主人公である。主人公と様々な経歴を持つその部下たちは、個々の際立った能力を発揮つつ、牛尾らと連携して事件を追う。

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    2023年03月10日
  • P+D BOOKS 風の息 (中)
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    風の息(中)

    史実に疑問あり。あれやこれやと想像を巡らし謎の解明に迫るストーリー、ただしここは、フィクション。風の息(下)は未読だが、史実の疑問が解けるわけではない。清張小説はどんでん返しの結末が魅力だが、風の息(上)、(中)とも、ダラダラと中途半端な空想が続く。史実もどきを前提にして展開すれば、きちんとしたエンターテイメント小説になったのでは、との思いにかられながら読むこととなる。(下)は読むべきか読まざるべきか?

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    2023年01月04日
  • 誉生の証明
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    誉生の証明

    2003年初版。今は2022年も暮れなんとする。2022年は統一教会問題が政府与党に激震をもたらしている。本書ストーリーに現れる教団、現実を彷彿とさせる。活劇冒険的なストーリー仕立な部分もあり、筋立ても良く星五つとした。牛尾刑事が端役的に顔をだすのも興味深い。

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    2022年12月18日
  • P+D BOOKS 風の息 (上)
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    風の息

    史実に依存した小説なのか、単に史実の一端をネタにした小説なのか、気になるところ。読み進むうちにストーリー展開はほとんどフィクションのように思えてきた。もったいぶらないで「面白いフィクション小説だよ」と最初に言ってもらえば、史実へのこだわりはなく、面白く読める。

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    2022年12月05日
  • 深海の寓話
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    深海の寓話

    少年探偵団ならぬ、壮年探偵団の活躍といった書きぶりが楽しめる。本誌には山前譲氏の「解説」がついている。森村氏の他作品も紹介されており、本書「深海の寓話」に込めた作者の思いが色濃く浮きだつ。やはり「解説」は嬉しいものである。

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    2022年11月16日
  • 彩霧(さいむ)~松本清張プレミアム・ミステリー~
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    彩霧

    ストーリー展開に強引さがあるが、清張の文章力で、読まされてしまった。当初端役かと思った人物が主人公。主人公の推理力がストーリー展開の中心となっているが、物語が過ぎる。作家の都合が見えてしまう。悪の中心人物との最終対決を描かずして終わってしまった。

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    2022年10月29日
  • 花氷
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    花氷

    三人の女性を騙し続け利用し、周囲を欺く悪徳業者のストーリー。女性をしいたげる物語の展開は清張小説によくみられる。中身の薄い小説と言えるでしょう、好みではない。

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    2022年09月30日
  • 黒の回廊
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    また清張の文章力に脱帽

    前半、なかなか事件が起きない。駄作かと思いきや中盤を越えると、がぜん清張の文章力が冴えてくる。さては一番怪しく無い者が犯人か?と、読者の期待通りのストーリー展開になってきた。ところが最後は想像だにしない結末が!!
    恐るべき清張の文章力です。

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    2016年03月26日