あらすじ
前漢の中国。武帝・劉徹の下、匈奴との激しい戦いが繰り返され、無謀とも思える戦の末に力尽き降伏した李陵は、軍人として匈奴で生きることを誓う。一方、匈奴で囚われの身となり北の地に流された蘇武は、狼とともに極寒を生き抜き、自らの生きる理由を問うのだった。彼らの故国では、忍び寄る老いへの不安を募らせる劉徹の姿を、司馬遷が冷徹に記す。そして、匈奴の最精鋭兵を指揮する頭屠が漢軍を追い込むなか、李陵と蘇武は、宿星が導きし再会を果たす。北方版『史記』、佳境の第六巻。(解説・末國善己)
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李陵と蘇武がそれぞれの場所で己の道を定め生きるあたりから漢王国の内部で渦巻く巫蠱の話まで。
桑弘羊と劉徹の関係がまた少し近づいた一冊。桑弘羊と司馬遷の目を通して見る劉徹は、暴君なのに憎めない。どこか、悲しくなる。そんな六巻。
在位が長くなる帝ゆえの、苦しみ……ではないのか?なんとも言えない、辛さ。そういうのを私は感じた。
天の子は孤独。人ではないから。なんでも思い通りになるが、それは漢の中だけの話。何というか、悲しい。漢の武帝の話は初めて読むんだけど北方謙三氏ならではの、哀愁感がたまらなく良い。
匈奴の家族と過ごす李陵が優しく、それがまたツライ。
蘇武だけは前巻から引き続き力強く生きている。狼の徹と群れを作り、元文官とは思えない力強さで生き抜いている。この二人が最終巻でどうなるのか、それは読むのが楽しみ。
いよいよ次で最後。武帝の最期、しっかり見届けたい。
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感想
生まれた時から帝になる運命というのも大変そう。それが50年も続くとおかしくなるのも仕方ないかも。
いよいよクライマックスが近づいてきた感じ。
あらすじ
李陵は、千五百の兵で漢を討ち、トトの息子の光谷児を鍛えていた。帝は李広利に、李陵を討つように命じる。孤鹿姑は、李陵に漢に勝たない戦をして大軍を引き出し、一気に討ちたいと作戦を明かす。
蘇武は北海で生き抜く術を身につけて、北海で生き抜く決心を固めていた。司馬遷は中書令として帝のそばに仕えるうちに、50年も在位する帝の孤独と死への恐怖を感じていた。
帝は司馬遷の書いた史書を読み、自分の恐れを客観視する。李陵は元部下の孫広と戦う。孫広は敗れるが、帝から李陵を討つように言われ、軍を与えられる。李陵は孫広の奇襲に遭い、傷を追う。李陵は蘇武の元で傷を癒す。
長安では江充が巫蠱の罪で、役人の不正を暴き、帝に奏上し、粛清の嵐が吹いていた。江充は保身のために丞相を嵌め、東宮までも手にかけようとしていた。劉徹は身体の不調を巫蠱のせいにしていた。
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ますます精彩を描く劉徹、かろうじて孫広と司馬遷が漢の魅力を維持している状態。
一方で頭屠、李陵をはじめ、匈奴の魅力は増すばかり。とりわけお気に入りは蘇武。
ついに次は最終第7巻、久々に北方ワールドにどっぷりハマっているので、終わると思うと寂しい限り。
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第六巻。
北の地で、李陵と蘇武が再会します。長安にいたときは李陵に若干コンプレックスを抱いていた感じの蘇武でしたが、今は人間を上下に見たり、ジャッジしたりするような事がすっかり無くなり、突き抜けた感があります。
逆に李陵の方は匈奴での自分の立場など、悩む事も多そうで、“人間界”に生きている大変さを感じます。
終盤で彼らが、自作の舟で北海に漕ぎ出す場面が好きです。
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武帝も最晩年になり、老害というものがでてくる。そういう武帝の描き方が何とも言えず素晴らしい。北方謙三もなかなかの作家だなと、近頃思うようになった。
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だんだん盛り上がらなくなっている。蘇武と李陵の再会の場面は良かったが、それ以外は、漢がというか、劉徹がどんどんダメになっていく話。
最終巻はどうなるんでしょうか?
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蘇武と李陵の再会のシーンはぐっとくるものがあるけども、他はそんなに。。。
水滸伝と違うのは登場人物に志や熱い想いが感じられないところ。ある意味でリアリティはあるので、そこが面白いところではあるけども(劉徹時代の漢は、ワンマン社長の会社と一緒だなー、とか)
Posted by ブクログ
武帝記6巻。 李陵が、匈奴の将軍として、漢と戦う。
ただ、武帝が年を取り、ふこの罪で帝の周りが粛正されていく。その中で、司馬遷、桑弘羊が生きている。 司馬遷が史記をほぼ完成させ、それを読んだ武帝が評価する。さて後1巻だが、李陵と孫広との戦いが迫る。 蘇武極寒後での生活で命の洗濯をした李陵はどうか。ちょっと盛り上がりがあってラストに続く。まあまあでしたかな。