あらすじ
ムーミン一家に会いたくて。
ミムラねえさん、フィリフヨンカ、スナフキンら個性豊かな六人が、ムーミンやしきを訪れます。しかし会いたかったムーミン一家は家におらず、六人は勝手に、奇妙な共同生活をはじめます。
1964年に翻訳出版されてから、55年もの間愛され続けてきた「ムーミン」の物語。大人気のキャラクター「ムーミン」は、この全集が原典となっており、今なおその魅力は増すばかりです。
この度、今の時代により読みやすくするべく、改訂を行いました。
初めての方も、ムーミンのことなら何でもご存じの方も、楽しんでいただける[新版]として、順次刊行して参ります。
1現代的表現、言い回しに整え、読みやすくなりました
2さしえがクリアな美しい線で再現されます
3原語最終版に基づき、より細部にこだわった表現に
4フィンランド最新刊と共通のカバーデザイン
5四六判ソフトカバーでコンパクトに
こどもから大人も楽しめる、大注目のシリーズ、決定版です!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
みんなしたくてたまらないことをすればいい!
でもちがうことを言う日もあっていい。
したいことがバラバラなみんなが、ムーミン一家がいない家に集まり十一月を過ごしムーミン一家が帰ってくるのを待つお話。
Posted by ブクログ
朝日が昇るのが遅くなる。
夕日が沈むのが早くなる。
朝夕が肌寒くなる。
木々の葉の色が変わってくる。
手足が乾燥してくる。
知らぬ間に季節が冬へと進んでいく十一月。
わたしは、この本が読みたくなります。
ページをめくると、今年もスナフキンは旅に出たくなっていました。
ある朝の早く、スナフキンは、ムーミン谷のテントの中で、目がさめました。
あたりは、ひっそりしずまりかえっていました。
しんみりとした秋のけはいがします。旅にでたいなあ。
ほんとにふいに、どこもここも、しんみりとしてきたのです。
あたりのようすは、もう、なにもかも、いままでとは、がらっとかわっていました。
旅に出ようと思いたった人には、いっときいっときが、身のちぢむ思いでした。
ムーミン谷はしずかです。
ぽつぽつと話す人の声と、風の音と、雨の音と、川の音と、海の音と、木々のざわめきと、時折だれかが作業をするトントンという音しかありません。
自然の中はしずかです。スナフキンが木の葉を踏みしめて歩く音が聞こえてきそうです。
スナフキンは、旅の途中で、いろいろな人に逢います。
みんなは、それぞれ、ムーミンママや、ムーミンパパや、ムーミンのことを思い出しています。まだムーミンパパの家へ行ったことのない人もいます。
みんなは、ムーミンパパの家に行くことにします。
けれど、家にはだれもいません。
そうなのです。ムーミンシリーズで、この巻だけ、ムーミン一家の人たちが出てこないのです。ムーミン一家は旅に出ていたのです。
奇妙な同居が始まります。不思議な巻です。
そして最後は、はるか地平線から追い風に乗って一直線に岸にむかってくる、ムーミンパパたちの乗るヨットが見えてくるのでした。
ムーミンパパが帆柱に吊るしたカンテラの灯が冬近い夕暮にあたたかく見えてますよ…
Posted by ブクログ
「このスナフキンと対面している美少年は誰ぞ?!」と完全にジャケ買いでございました。「したくてたまらないことをすればいい」っていう一見簡単そうなことが意外と難しいんだよなぁ、と感じるお話
Posted by ブクログ
ムーミン一家が灯台のある島にいっている間のムーミン屋敷のお話。最後、一家は戻ってくるわけだけど、これからどうするんだろう、春になったらまた灯台に行くのかな?とちょっと考えてしまった。
Posted by ブクログ
ムーミン一家が家にいなかった=じゃあ待っていよう、と勝手にそこで共同生活を始める発想がなかなか凄い。常に鍵をかけないムーミン屋敷のテーマ「The door is always open」を象徴するお話だと思った。個性が豊かすぎる彼らだけど、大きく衝突することもなく馴れ合うこともなく、互いの個性を分かり合いながら、自分自身の"可能性”を見つけていく姿には学ぶところがある。ムーミン谷の住人達のこのおおらかさが好き。
Posted by ブクログ
なんとムーミン一家はいないとさ。
読者も集まってきた臨時住人と一緒に、彼らの帰りを心待ちにするが、無情にも耳の先さえ一切出てこない。あぁ無情。これでシリーズ終わっちゃうのにだよ。
でも何で星4にしていたかと思い出すと、読後感がさっぱりしているんだよね。
始めは人の家に勝手に住み着いて、好き勝手にやっている奴らにモヤモヤしたり、早くムーミンが出てこないかな?なんてソワソワしたりしている。
そのうち住民と同じ心境になる。この状況を受け入れるのだ。そして、このおかしな住人たちの人生を眺めようという気になってくる。
欠けているものを埋めたくてやってきた彼らは、思えば我々読者そのものだ。
私たちはこの本を読んで、「自分らしく生きるとは?」を考えたかったり、暇を潰したかったり、シリーズ読破の達成感を得たいと思ったりしている。癒されたい気持ちもあるかもしれない。
そのどれも、おもてなし状態で快適には満たしてくれない。不協和音の物語で、小首をかしげながら読み進めているうちに、自分の悩みも少し小さくなるような、美味しいものが食べたいと思うような。
生きるのも満更ではないという心境になってくる。
ムーミン一家はいつまでも、あなたの心の中にいます。ムーミンたちが出てこない物語を乗り切った私たちは、次に名言を生むのは自分だと言わんばかりに、このシリーズを卒業していくのだった。また会いましょう!
Posted by ブクログ
ムーミンの本て、基本的に雨とか雷とか風とか薄暗い雰囲気で親近感湧きます。
物語の中盤でスクルッタおじさんのためのパーティーをすることになって、フィリフヨンカさんが台所に立ち始めたあたりから、ちょっとずつ雰囲気が明るくなってきて、みんな少しずつ楽しくなってきて、最後はめいめい温かい気持ちで別れられたのが良かったです(*ˊ꒳ˋ*)
フィリフヨンカさんが「わたし、おそうじせずにはいられなかったの。みんなだってそうしなくちゃ!したくてたまらないことをすればいいんだわ。ね、ミムラ」って言ったのが印象的でした。もともとはミムラの考えですが、フィリフヨンカさんが、目覚めたようで嬉しかったです(*ˊ꒳ˋ*)
Posted by ブクログ
このお話はムーミン一家が島に移住している間の話なのかな?だとしたら最後にみんなが帰ってきてくれるのは嬉しい。あの島からムーミン谷に戻ってきてくれたんだ。会話するところも見たかったけれど。
印象的だったのは、ホムサの頭の中で膨らんでいたムーミンママの理想像が、現実的なものに生まれ変わるところだった。良いところばかりでダメなところは一つもないはずだと思っていたけど、そうでもないかも、いやそもそも、それってダメなことなんだろうか?という疑問?
誰の力も借りずにその考えに辿り着くのが大事なことなんだね。
Posted by ブクログ
ムーミン一家不在のムーミン谷。
冬に入る前の雰囲気がみちている。
相変わらずムーミンのかわいらしい印象とは裏腹に物語を深く理解するのは結構難しい。
ともあれ、この本を11月に読めたのはよかった:)
2022.11.26
Posted by ブクログ
意外にもはじめて読んだムーミン本。
11月だからということで本作から読んでみましたが、肝心のムーミン一家はでてこない。
ムーミン一家にどうしても会いたくなって集まって来た変わりものたちが、ムーミン一家の帰宅を待つ短い時を一緒に過ごすが……というお話です。
スナフキンって、秋の気配を感じると旅にでたくなるんだね。でも今回ばかりは雨の曲の5小節がどうしても思い出せず、ムーミン谷に引き返してくる。
ほかにはミムラ、ホムサ、ヘムレン、スクルッタおじさん、フィリフヨンカ。
悩ましい性格を抱えた個性的なメンバーが、やがて協力しあって、ムーミン一家に感謝しながら帰りを待つパーティー「わが家の夕べ」をひらく。
おのおのが用意してきた余興がまたおもしろいのなんのって。読んでいてすっかり彼らの一員になったような気持ちで、その風変わりなパーティーを楽しんだ。
おかげで私までムーミンが恋しくなったので、つぎは彼らがでてくる話を読もう。哲学的でユーモラスで、すっかりムーミン世界の虜になりました。