あらすじ
恨みに変ぜし雪女の恋心が怨神を呼び覚ます。
祓い師・仙龍と想いの通じた春菜は、霊場・出雲へと向かう。
建物にまつわる怪異譚10万部突破!
☆☆☆
葬儀に訪いし白装束の女は、にたりと笑って掻き消えたそうだ。
春菜が勤めるアーキテクツに異変。
連日見つかる絡まった黒髪や不気味な人影の怪は、連続不審死事件に発展する。
色男だが高慢なエリート・手島を守るため、仙龍は奇怪な“匣”を用意する。
一方、刻々と迫る仙龍の死を止めたい春菜は隠温羅流の深淵に迫る。
手がかり潜む出雲で異形の瘴気を背負った女と出会うが――。
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Posted by ブクログ
雨月物語の磯良、怖いですよね…
真面目で一途な感情程、反転した時が恐ろしい。
畏ろしい修羅で畏修羅の話が出てきたときは、なるほどと感じました。
哀しみや怨みに呑まれた伽耶の魂を鬼にはしたくないと、手を伸ばし続ける春菜たちの駆け引きにドキドキしました。
人を鬼に堕とすのも人、鬼を人に戻すのも人。
何事も表裏一体、陰と陽ですね。
陰謀渦巻く古代史の舞台で、どんな因縁に出逢うのかワクワク!
Posted by ブクログ
怖かったー!このシリーズ読んでて、初めて怖かったかも(笑)いつもラブ的要素で読んでいたから、怖い方の思い出があまり残ってない。仙龍の好きだって言葉だけでキュンキュンでした(*´∀`)まわりの人たちは、仙龍の恋心にみんな気づいてたんだ!って思ったら、ニヤニヤが止まらないです。
東京の幽霊屋敷になった廃院は、藤堂比奈子に出てきたやつなのかな?気になる〜〜〜。
Posted by ブクログ
2021/3/20
仙龍の告白!告白へのアンサーか。
いやあもうすごいな。何と言うか正しいな。
照れたり意地張ったり憎まれ口叩いたりしないよ。濁しもしないよ。
ストレートにそのまま表現するよ。なんか新鮮!
まあもう仙龍カッコいいんで。もうそうとしか言いようがないんで。
コーイチや他の職人にもバレバレやったんは意外。
だーれもからかったりしないのね。カリスマの成せる業かしら。
でももうちょっと素が見たい。
今回のデレポイントは春菜をバックハグして肩に顎を乗せるぐらいだもの。
バックハグも危ないから支えてるんやし、厳密には肩に顎を乗せたとこだけやな。
なんと身持ちの固い。
いつか仙龍が上手に隠している心の内を見せて欲しい。
きっと萌える。
そしてずっと気になってた仙龍の年も判明。34歳、結構若い!
Posted by ブクログ
今回は吉備津の釜のような物語(ほぼママかな)
くずのような人間というのはいるもので、先日まで「誓願」を読んでいた私には笑えないなぁと。
でも、いつも通り面白いですよね。しっかりと資料も当たっている作品は読んでいて楽しい。
続きが楽しみだなぁ。
Posted by ブクログ
髪の毛が怖い。
今回も夜中に読んでいて、ふと耳に入る家の中の物音が怖い作品だった。
正統なホラー感のある導入部から始まるが、隠温羅流の起源に迫る探索と本編の怪異譚が同時に進むので、本題の怪異にはなかなか対峙しない状況が中盤まで続く。
また、本書の主題の怪異(= 雪女、畏修羅、カヤ)と、別系統の怪異が入り交じり、怪異の発生時にはすぐに見分けがつかず、ミスリードされたような状況(ex. ハナの部屋に現れた鬼はカヤかと思ったし、かなり強力で脅威だと思った。出雲大社境内での厄を背負った女は「カヤが出雲まで憑いてきたのか!」という危機感と出雲大社周辺の安らか(安全)な雰囲気とのギャップで緊迫した)になった。
個人の個人に対する呪い(建物が介在しない)は隠温羅流では対応できないのではないか?と思ったが、箱を作って回すのかと感心した。
鶴竜建設の材が手元に大量にあるのは前作からの複線であったが、それでもご都合主義的になる部分を、シリーズを通しての"運命(= 流れ)"で解決しているのはうまいと思った。
これまでは敵も味方もバックグラウンド(人間味があり、哀しいものも多い)があり、怨毒草紙でさえ同情の余地はあったし、完全に滅するべき敵は堕天使堂の悪魔くらいだった。
本作では「守るべき対象が全く同情の余地がなく、敵に感情移入してしまう」という珍しいながら現実でもありえそうな設定で、
その物語として扱いにくそうな矛盾を「敵を鬼にしない、永劫の苦しみを味わわせないため」に祓うと持っていったのはなるほどと思わされた。
余談だが、雨月物語を読み終わったばかり(;先入観を持たないためにどの本も概要を読まないので、買ったときも読み始めたときも関係するとは思っていなかった)だったので、「吉備津の釜」は以前からの伏線でもあるが、実にタイムリーで自分の"流れ"を感じた。