あらすじ
盆に隠れ鬼をしてはいけない――。それが山深い寒村に佇む旧家・蒼具家の掟。広告代理店勤務の高沢春菜は移築工事の下見ため訪れた屋敷の蔵で、人間の血液で「鬼」という文字が大書された土戸を発見する。調査の過程で明らかになるのは、一族で頻発する不審死。春菜を襲いはじめた災厄を祓うため、春奈は「因縁切り」を専門とする曳家・仙龍に「鬼の蔵」の調査を依頼する。
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Posted by ブクログ
土地や建物に纏わる歴史を知らなければ、踏みにじってしまうモノがある。
そう思うと廃墟って怖いですね……。
人が住まなくなった暗がりに遺された想いをすくい上げる仙龍や春菜のような人達がいれば、タタリ神になりたくなかっただろうモノたちも救われるだろう。
ミカヅチシリーズとは、また違った雰囲気で次を読むのが楽しみです!
Posted by ブクログ
広告代理店に勤めている高沢春菜。ある村の蔵の移転工事の下見に行くが、そこで事前に知らされていない衝撃的なものを見る。その蔵で出会った因縁物件専門の曳き家である仙龍と蔵の謎に挑む。
最初は負けん気が強く上昇志向の主人公が合わないと感じたが、物語が進むうちに春菜のその性格が良い方面に作用してよかった。仙龍は見た目良し、性格良しで言うことなしだ。
怖がりには十分怖く、耐性のある人には優し目の作品という印象を受けた。場面や周りの雰囲気の描写が細かく、読者の想像力を上手く使って恐怖を演出している。本作は幽霊が例外を除けば1人しか出てこない上に条件が揃わない限り幽霊が出る場所も限られている。なので読者自身も出るか出ないか分かりやすい。もちろん初めて読む場合はいつ出るかどこで出るかは分からないが、個人的にはある程度読み進めるとこれは雰囲気は怖いが出ないと察知出来た。なので怖いけど、読みたいな方にオススメしたい作品だ。
Posted by ブクログ
おどろおどろしい始まり方に期待を持ちつつも、怪異を祓うシーンは少し抑えめ。お祓いのシーンってだいたい祓ってる誰かが大変なことになるような……。主人公も大ピンチっていうレベルのものには遭いません。
寒村独特のヌメッとした雰囲気が伝わってくる一作でもあります。
Posted by ブクログ
祟りも因習も悲しくやるせない内容ではあるが、読後感はすっきり感じられる。
「土蔵は動きたがっている。祟りも因縁も含めて終わらせたいと土地が言っている。」
初めて祟る側が終わらせたがっている設定を読むことができた。