あらすじ
今宵も夜明宮には訪いが絶えない。泊鶴宮の蚕室で、大切な繭がなくなったという宮女……。一方、花娘を通じ城内での謎多き失せ物探しも舞い込んで!? 烏妃を頼る者は日に日に増え、守るもののできた寿雪の変化に言いようのない感情を抱く高峻。やがて二人は真実眠る歴史の深部へ。鍵を握るのは名もなき幽鬼か、あるいは――。圧倒的中華幻想譚、待望の第四弾!!【目次】蚕神/金の杯/墨は告げる/禁色
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後宮の奥深くに住みながらも夜伽をしない特別な妃、「烏妃」。彼女は不思議な術の使い手で、頼まれれば依頼者の差し出す代償と引き換えに、呪殺、祈祷、失せ物探しと何でも引き受けてくれるという。そんな彼女のもとへ、あるとき皇帝がやってくるところから始まる、中華風ファンタジー兼ライトミステリー小説。
コバルト文庫出身の作家だからなのか、少女小説のような雰囲気もあってとても読みやすいです。硬質な烏妃の姿と言葉が非常に印象的で、美しい表紙イラストと相まって、あっという間に本の世界に引き込まれます。また、どの巻も連作の短編で構成されており、いずれのお話も謎解き短編として充分楽しめますが、共通して描かれる烏妃と皇帝のささやかな交流が二人の孤独をかえって際立たせているようで、大きな伏線と思われる二人の関係とそれにまつわるさまざまな謎とともに、先が気になってつい読み進めてしまいます。個人的には、衣装や風景を表現する作家の文章力を強くアピールしたい! ぜひ読んでみてください。
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エェー‼︎
待ちに待った4作目。まさかこう来ますか。烏妃と高峻の距離がある意味遠くなったと言うか、個人的に期待から外れつつあるのかな。高峻、職業上(?)仕方がないのかもしれないけど、がっかりだよ( ´△`)。烏妃が孤独から解放される日がくるといいなぁ。
Posted by ブクログ
物語は収束に向かって進んでいっている。
結界を解くためには香薔の術をやぶれる人が三人必要とのこと。封一行、寿雪……そして白雷。白雷の協力は得られるのだろうか……白雷は妹の事が気がかりなようだけれど
Posted by ブクログ
バンカが父親と決別することを決意したのスゴいと思う。完全に敵になると思ってたので、そっちかーと驚いた。
そして鳥妃を奉る会が発足しての問題。こういうのは、たぶん起きるんだろうなぁと想像してたけど、そのあと寿雪を出歩かさないように高峻が言ったのは少し腹がたった。仕方ないのだけれど!
白雷が今後どう関わってくるのだとか、そもそも寿雪の血筋がどう影響するのか、神様の半身見つけてどうなるのとか、高峻との関係とか…まだまだ気になるところあるのに…もう半分読み終わってるの?全部回収してくれる??って気になってます
Posted by ブクログ
賀州産の蚕の話から泊鶴宮→晩霞→サナメの一族→朝陽→白雷と話が繋がり最終的に朝陽と白雷は何を考えているのか?と謎を残して終わる。
同時に烏蓮娘娘とゴウの神の戦いの謎が明らかになり、話が動き出す感じがした。
1.蚕神
女装していた宦官が犯人という拍子抜けした話。
2.金の杯
淡海の過去が明らかになる話。
3.墨は告げる
写してはいけないものを写生し、皇帝に処刑された幽鬼の話。晩霞と父朝陽の対談が怖い。
4.禁色
烏姫を祀る「緇衣(しえん)娘娘」の話。巻き込まれた麗娘が可哀想だった。てか晩霞が妊娠した事が衝撃だった。
Posted by ブクログ
わたしがわたしでいられるように。
蚕の繭がなくなった事件を解決した後、急激に烏妃への依頼は増え、熱を帯びた信仰のようになっていく。それに危惧を覚える者が——。
対立する者であった夏の王と冬の王。烏妃という大きな権力を握ることの可能性を持つ存在の危険性を認識した寿雪。彼女を救うためにそれでも険しい道を行くと言動で示す高峻。封一行や千里から烏漣娘娘の歴史や秘密が少しずつ明らかになっていく。感情に戸惑いながらも、1人だった頃より様々に考え、自分の道を歩いていこうとする寿雪がいい。
戸惑っているのは高峻もそうだが衛青も。少しずつでも痛みを伴っても当たり前や慣習を見直していこうとする登場人物たちが魅力的。中でもこの巻で重要な動きをする晩霞が印象的だった。年長者が絶対の一族の中で、父に反旗を翻す。彼女の妊娠は事態をどのように動かすのか。どうか兄たちが晩霞の味方についてくれますように。まだ登場しない次兄も気になる。
Posted by ブクログ
後宮の中だけだった世界観が徐々に国や神話の世界へと広がっていき、登場人物も随分と増えた。
周りに人を置くべきではないのに、無自覚に周囲の人達を魅了していく寿雪が可愛らしい。