【感想・ネタバレ】謹訳 源氏物語 第四十九帖 宿木(帖別分売)のレビュー

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Posted by ブクログ 2015年10月12日

ついに九巻!宇治十帖の中の「早蕨」「宿木」「東屋」が収録されていました。

宇治十帖については読み込みが足りないせいか、新しい発見がたくさんあってとても興味深かった!
今まで、優柔不断な皆様にイライラしてしまい宇治十帖はあまり興味がなかったのだけれど、今回はよかったなあ。これはリンボウ先生のおかげか...続きを読むしら。。

薫はねえ、とにかく上から目線で高飛車、そのくせ優柔不断でウジウジ&ネチネチしててちっともステキではないんだけど、実際の物語の中でも主役級なのに結構嫌われ者です。
「なんと小癪なことよ」「なぜあのように、時の帝が、大騒ぎをして婿として特別扱いまでする必要があろう。」「たかが臣下の分際でのうのうとして・・・」などとボロクソ(笑)

紫式部は宇治十帖にはいって辛辣じゃないですかね?源氏のこともからかう程度のことは言ってたけど(おじさん扱いしたり)こんな扱いをしたことはなかったと思います。
なんとなく紫式部の鬱憤を感じてしまいました。
それで言うと他にも、東屋の巻では浮舟の母君に「たしかに結構な宮仕えではありますけれど、かりそめの夜伽程度のあしらいでは、こちらはもうもう、ひどく胸の痛むことですよ。」「二股をかけるような心なく、妻一人をしっかりと守って暮らす男こそが、結局妹背の中も見苦しからず、行く末頼もしいことに決まっています。」などと言わせています。
すごく現代的な考え方でびっくりしました。
が、こういう考え方を持っているとしたら、当時の世界は生きづらいでしょうねえ。
それを薫にぶつけてるのかな。

本編ではあまり感じられなかった著者の存在を、なぜかこちらでは強く感じてしまいました。不思議。

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Posted by ブクログ 2013年02月27日

世界と欲望の対象を前にした無能と行動不全

 前巻から「宇治十帖」に入ったが、ここでは薫二十五から二十六歳までの「早蕨」「宿木」「東屋」の三つの章を収めている。
 何度読んでも歯がゆいのはその薫の優柔不断さだ。さきに美女に惚れるのはいつも薫なのに、中君も浮舟もライバルの匂兵部卿がさっさと手を出しても...続きを読むのにしてしまう。

薫は中君よりも姉の大君に惚れていたが、その大君が死んでしまうとその面影を忘れられずに妹に惹かれ、その中君をあろうことか匂兵部卿に教えてさっさと奪われてしまうのだから自業自得もいいところだ。

しかも匂兵部卿の妻となった中君にまだ未練たらたらで、こんなことなら自分が先にものにしておけばよかったと悔やむのだからあほらしくて読んでいられない。

かててくわえて薫は、せっかく自分よりも姉の大君が好きだったと知っている中君から大君そっくりの美女、浮舟の存在を教えてもらったというのに、これまたあっというまに匂兵部卿に初物を頂戴されてしまうという体たらく。

次回はその浮舟が気の毒な目に遭うのだが、その原因はひとえにこの男の無能と行動不全にあるというても過言ではないだろう。そして「宇治十帖」があからさまにするこの「世界と欲望の対象を前にした無能と行動不全」こそが、ひときわ現代的なテーマなのである。

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