あらすじ
ママ。もう僕は、迷わない。
「あの山に行ご」ーー
真夜中に突然現れたしげるは、そう言いながら静一を誘(ルビ:いざな)った。
静一が連れて行かれたのは、かつて静一が幼い頃にママから突き落とされた
町の高台だった。
「ママがよんでるよ」
しげるが放つ言葉が、静一の深淵に潜んでいたママを呼び起こす。
ママに対する激情を吐露する静一。
しかし、静一は再びママに取り込まれてゆく…
そして導き出したひとつの”答え”が、静一を衝撃の行動に!?
若く美しい母・静子から溺愛されている中学2年生の静一。
クラスの女子・吹石に淡い思いを寄せたり、従兄弟のしげると遊んだり
ごく普通の中学生として暮らしていた彼の日常は
夏休み中に両親としげる一家との登山中に起きた事故から明確に壊れ始めます。
事故当時に母が取った行動が信じられず、彼女の一挙手一投足に過敏になる静一。
静一の心境を知ってか知らずか、吹石と静一の関係の進展を露骨に阻み、抑圧する静子。
抑え込んでいた苦しみと狂気を解き放ち始めた母と、静一はどう闘っていくのでしょうか?
事故の真相が明らかになるかどうか、というサスペンス要素もあり、
とにかく緊張感がすさまじい一作です。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
血の絆は呪縛なのか?
静一の中で醜く肥大していく「ママ」。
側にいてもいなくても静一の精神を蝕んでいく。
母親は聖女ではない。
子供をある時は愛しく思い、ある時は煩わしくも思う。
この気分差が激しいと子供は不安定になる。
静一が頼れる大人が母親以外にもいればなと思う。
父親の存在感の無さが悲しい…。
夢だけど夢じゃなかった?
静一と同じでしげちゃんが来たのは夢だと思ってたからビックリ。死にたかったのかもしれないけど、なぜ静一のところに来たのかは不明。
母親から見た自分や静一は本当にああいうふうに見えているのか?母は今何を思うのか?気になるところだけど静一の目線でしか描かれないのかな。
悪の華で最後に仲村さんから見た世界が描かれたけど、静一の母もあんな感じに見えているのかもと思った。
静一とその家族、しげちゃんの家族、どうなっていくのか楽しみです。
狂気
冬の夜明け前にしげちゃんが家に来て、静一を山に誘ったのは、夢ではなく現実だったんですね。
母親がいかに静一の精神・心に棲みついているか、重く大きい存在であるかが痛々しい。
理想の白く輝くママの皮を剥がしたら
これまでの静一の主観の描写とは違う、
美しさが抜けた、普通の?美化されていない描写に変わる。
ママにしげちゃんを落とさせようとする静一が怖い。3歳の静一が歪んでいく様もまた怖い。頭がおかしくなるような怖さで。。
押見さんがすごすぎる
しげちゃんを突き落とした事件で鑑別所へ行くことになる。しげちゃんは結果的に亡くなってしまう(意外だった)
鑑別所の中でも、やはり母が頭の中に浮かび、静一に話しかける。
この物語は、その話の章(内容)でマンガのカバー表紙やデザインが変わるけれど、ここら辺の赤いゾーンが特に精神的に怖い。
けどたまに読んじゃうんだよね。。笑
この巻を、こちらの電子書籍と紙媒体でも買ったけど
さすがに紙媒体では中身が重すぎて読めませんでした🤣
すごい世界観。
狭間
夢と現実の境界がわからなくなっているのか。
イメージの中も母からの支配から逃れられない静一。
鑑別所の描写がリアルで重い。
しげるは何を思ったのか・・・。