【感想・ネタバレ】目羅博士の不思議な犯罪~江戸川乱歩全集第8巻~のレビュー

あらすじ

都会の谷間の貸しビルの同じ部屋で連続して起こる首吊り事件。「押絵と旅する男」と並んで乱歩幻想文学を代表する表題作をはじめ、『鉄塔の怪人』の原型となった長編「妖虫」、本格推理マインドが炸裂する「鬼」「悪霊」など、多面的な乱歩の世界がこの一冊には凝縮している。【この電子版は、註釈と「私と乱歩」を割愛しています】

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Posted by ブクログ

ネタバレ

・目羅博士の不思議な犯罪
上野動物園で出会ったルンペン風の青年が語る不思議な話。丸の内のビルで管理人をしていた青年は入居者が次々と死ぬ部屋の向かいのビルの空き部屋に、目羅博士が月夜にマネキンを持ち込み、一連の事件を起こしている事に気付く。
・地獄風景
喜多川治良右衛門が作った怪奇遊園地「ジロ楽園」で行われる快楽大量殺人。「パノラマ島」に似た原色系の話。
・恐怖王
死んだ筈の女性が死後にゴリラに似た男と結婚式をあげ、実家には誘拐事件として身代金の要求が届き、その恋人 鳥井も死ぬ。鳥井の友人で探偵小説家の大江蘭堂とそのファンのセクシーな未亡人、大江の恋人 花園京子、京子を狙う「恐怖王」とゴリラ男。
「妖虫」といい、この頃の乱歩は女属で男装、ていうのがブームだったのか。
・鬼
探偵小説家 殿村昌一が里帰り中、旧友 大宅幸吉の許嫁が殺される。幸吉には他に好きな女性があり、許嫁の事は嫌っていた為、嫌疑は幸吉にかかる。
これも女属だ。
・火縄銃
乱歩が早稲田時代に書いた習作を井上勝喜が清書したもの。ホテルの一室で火縄銃に撃たれて死んでいた青年。部屋にいた瑠璃瓶がレンズの作用をし、太陽光が反射して火縄銃が自然に発火されたというトリック。このトリックを発明したのは世界でも1,2を争う速さじゃないか、とさり気無く自慢気な乱歩先生。
・殺人迷路
新潮社によるリレー小説第五回。乱歩が加わったリレー小説で乱歩が発端でないのはこれだけらしい。
リレーは 森下雨村、大下宇陀児、横溝正史、水谷準、乱歩、橋本五郎、夢野久作、浜尾四郎、佐々木俊郎、甲賀三郎 の順
・悪霊
心霊学会で行われる降霊術での口寄せ通りの殺人が二度起こった…ところで二ヶ月休載の上、中絶した乱歩先生。横溝正史に「新青年」上でボロクソに批判されたことに、友達なんだから直接言わないで文章にするなんて酷いやつだ…と、四年半後にも「今でもそう考えてる」と大人気なくふて腐れてる。
・妖虫
美しい女性ばかりが次々に殺される。殺される前後には赤く塗られた蠍が被害者の周囲に現れはじめる。最初の殺人現場をみかけ、二番目の被害者の兄であり、三番目の被害者の恋人である、探偵趣味のある相川守と、老私立探偵 三笠龍介。
これも女賊モノ。しかも動機が醜くすぎて迫害を受け過ぎた為に世の美形を憎んだ、という…。好きですけど。

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2011年08月22日

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