【感想・ネタバレ】下鴨アンティーク アリスの宝箱のレビュー

あらすじ

初夏を迎えた京都、下鴨。糺の森で、若いころ求婚の返事が聞けないまま婚約者を亡くした、と語る老人に出会った幸。(鶯の落し文)「香水瓶を返して」という女性が訪ねてきた日から、身辺に彼女の幻影を見るようになった春野。彼女の正体は……。(青時雨の客人)ほか、全六編収録。時代を超えて受け継がれる、古い物たち。そこに宿る想いを見届ける、シリーズ最終巻。 【目次】鶯の落し文/青時雨の客人/額の花/白帝の匂い袋/一陽来復/山吹の面影

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Posted by ブクログ

ネタバレ

続き……かと思いきや、本当に番外編みたいな感じで、まあ続きなんだけど、鹿乃ちゃん目線が全然なくて寂しい……。

●鶯の落し文
主に幸目線。
本当にこの子は不思議な力を持ってるみたいだけど……。
野々宮の後継者になれそう(笑)。

●青時雨の客人
春野目線。
割と恐い話だった……。
小さな額の傷へのコンプレックス、いくら妹から見て気にし過ぎと思っても、親があんな風に言っていたら自信を失うのも当たり前というか……。
神経質な姉と無邪気な妹の対比が傍から見てると恐い。

●額の花
これは割と面白い、芙二子から野々宮家の女性に代々受け継がれるブローチ目線。
ラストで最初の持ち主とつながるところが何とも良い。

●白帝の匂い袋
芙二子の祖父母たちの馴れ初め。
てことは、鹿乃と良鷹から見ると……高祖父母というやつか!?
ここまで遡ると、野々宮家の人々は相当に強い力を持っていたんだなあ。

●一陽来復
慧目線の短いお話。
二人のいちゃラブが可愛い。
しかしついに、ファーストキス描かれなかったのね……。

●山吹の面影
主に良鷹目線。
相変わらずミステリー要素多め。
幸の不思議な力が発揮され、狐におにぎりをあげて落ち着かせてしまうのがすごい。

まだまだいくらでも続きが書けそうな設定なのに、もったいない感じだけど、このくらいでスッキリ終わってちょうどいいのかな。

1
2019年08月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

下鴨アンティークの7作目の番外編。

良鷹が引き取った少女、幸のお話や、
春野のその後(といっても不思議に巻き込まれただけ)、
最初のお嬢様以外誰のものにもならない紫陽花のブローチのお話と
あれこれあったが、
一番良かったのは、鹿乃の祖母の祖母にあたる女性の嫁入りのお話。

妾の子供が、母親が亡くなった後本家に引き取られ。
女中として働かされ急に嫁に出されたお話かと思いきや、
本妻には隠した気持ちがあって…という意外性が良かった。
小姑にあたる姉妹が急に現れた「兄嫁」に次々と着物を着せようとしたり、
結局夫となる兄が選んだ着物と帯に、
帯締めや帯揚げを選んできゃいきゃいする場面がかわいらしい。
しかも化け物から兄嫁を守るために薙刀をふるうとは頼もしい。

これで最終巻なのはすこし寂しい。

0
2024年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

下鴨アンティーク番外編。
野々宮一家に関わる人々視点の話。
表紙の虎かわいいと思ったら、番犬か(笑)
鹿乃と慧の話が少ない分、甘さ控えめだけど、切ないロマンス力はむしろ高い!

鶯の落し文…野々宮家の養子になった津守幸の初の解決事件簿。パパ(?)となった良鷹がかいがいしい(笑)
野々宮家に引き取られてから幸は下鴨神社の鎮守の森、糺(ただす)の森がお気に入り。どんなにいい人でも、まだ慣れない人と一緒に暮らすのには時間が必要。人には見えないものが見える幸は、森で過ごすことが多いが、そこで亡くなった婚約者からの手紙を探す老人と出会う。
一方良鷹は真帆の父、弥生よりいわくつきの品の解決を頼まれる(押し付けられる)。

青時雨の客人…牡丹柄の香水瓶を返してほしいと春野の元に現れた亡き祖父の客人。祖父は亡くなり、香水瓶は見当たらない。しかし、どうやら春野は憑りつかれた様で、彼女の夢を見るようになる。春野の友人、菅谷がめちゃくちゃいい奴だわぁ。
春野君みたいに人に弱みを見せられない人には、鹿野や彼みたいに、素直で世話焼きな人と相性がいいんだろうなぁ。


額の花…初のブローチ視点。紫陽花のブローチの持ち主の話と、鹿乃の元にくるまでの持ち主の変遷。素敵なロマンスの話。

白帝の匂い袋…鹿乃の高祖母の話。七条駅が開通したのが大正2年の話だから、下鴨アンティークのちょうど100年前くらい?化け物屋敷と呼ばれる野々宮家に東京から身一つで嫁いできた鈴。
実母が亡くなり、伯爵本家に引き取られ、自分が妾の子だとわかったと思ったら本家で恐ろしい目にあい、その後すぐに嫁入り。
まるで厄介払いのようだと思っていた鈴だが、思いがけず野々宮家の面々は鈴に対して優しい。そんな中、東京から鈴を追って義理の兄が姿を表し、言うことを聞かないと野々宮家に害を成すと鈴を脅す。そして自分を野々宮家に連れてきた伯爵家の奥様の真意を知ることになる。

一腸来復…冬至の夕方に野々宮家に向かう慧は、途中の森で鳴き声を聞く。入った先で何かの気配と、守られた気配を感じたまま鹿乃の元へ行くと、いつの間にか慧のマフラーに一匹の虎がいた。その虎は鹿乃のしている抱え帯の虎とうり二つ。どうやら一匹落ちてしまったのを慧が拾ったらしい。二人が近づくと威嚇する帯に、慧は鹿乃とイチャイチャすることができず。。。
良鷹の兄心がふんだんに詰まった帯をどう乗り越える!?(笑)

山吹の面影…良鷹、弥生に仕事を押し付けられる第2弾。結婚を控えた女性が使用する予定の筥迫を開けてから、その女性の周りに花嫁姿の幽霊が現れるという。
もともとその筥迫は女性の祖父が結婚式当日に逃げられた花嫁の身代わりのように置いてあったものらしい。
話を聞きに行く良鷹についていくと言ってきかない幸。
逃げた花嫁の地元では狐にまつわる古い婚姻の風習があるそうで…
見えて聞ける幸がいるとスピード解決するねぇ。

0
2019年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これが本当の下鴨アンティーク最終巻の短編集。
大好きなシリーズだっただけに勿体なくて読めずにしばらく寝かしてました。
春野の話、鹿乃たちの高祖母の話もありますが、全体的に良鷹と幸の話だったように思いました。というか、今まで良鷹のそばに寄り添ってきた鹿乃の代わりに幸ちゃんがいて、鹿乃が頑張って工夫して解いてきた野々宮の謎解きの代わりに、幸は天性の能力(それは幸せとは言えないとはいえ)をもって良鷹の骨董の謎を解いていくのが、対比としては面白いのですが、前巻で野々宮家の役割を継ぐと決意した鹿乃にまるで相対するようで、少し寂しい気持ちになりました。鹿乃はお嫁に行く、そういう布石かなぁと思ってしまったりもしました。是非鹿乃にはお家に残って欲しいんですが、慧の立場上も出るしかないのかな。
もちろん別に幸ちゃんに文句があるわけでもきらいなわけでもないです。

鹿乃と良鷹の高祖父母、鈴のお話は、幽霊関係は女だけじゃないという傍証ですね。それにしても、鈴さんにしても汐子さんにしても芙二子さんにしても、野々宮家は見合いなのに代々らぶらぶで(笑)すごい家系だなと思いました。
鹿乃の話も読みたかったなぁ。

0
2018年05月29日

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