【感想・ネタバレ】プリニウス 3巻のレビュー

あらすじ

皇帝ネロの暴政によって人心は荒廃、新興宗教の影も忍び寄る、帝都ローマ。栄華から一転、反知性主義が蔓延するその場所で、「知識と教養こそが“最後の砦”」と訴えるプリニウス。はたして彼は、迫り来る魔都の呪縛から逃れることができるのか。一方、書記官エウクレスは、想いを寄せた美少女娼婦の幻影を追い求め、魔都の闇に吸い込まれていく――。古代ローマの“悪夢”を幻視し、そこに生きる人間を活写する、歴史伝奇ロマンの決定版!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ポッパエアの妄執が虚ろなネロに注ぎ込まれてゆくのを黙って見ているローマの政治家たち。寒々しい。一人の暴君が悪政を行ったという短絡的な寓話から跳躍して、陰影のある物語が展開してゆく。2巻の娼婦への虐待も、悲劇に感動し妄想を膨らませたという背景を見せて説得力がある。小さな悪が次第に加速してゆく様を見せて鳥肌を誘う。

アトレウスの若さゆえの懊悩が主観でなく客観的に描かれているのも好ましく思う。人間のドラマもこの広大な世界の一つの事象に過ぎない。重大だが些細である。
ローマを離れて快復する憂鬱にハイジを彷彿。またはラスコーリニコフを蝕むサンクトペテルブルクを思い出す。
「自分」に囚われる若者特有の気の病についても触れられる。肩を叩いてくれる大人たちが頼もしい。対するネロが哀れだ。
彼の母やポッパエアのような、取り憑かれた人の姿がリアルに感じる。最近読んだドキュメンタリー本『ストーカー加害者』の中にもいた。相手をコントロールしたい、勝ちたい、その衝動が彼女を突き動かす。

3巻は博物学的な視点の話が再び盛り返す。
プリニウスの象への憧憬が面白い。象が暴れる所を見せたくなる。キリスト教の伝道シーンなど、興味深い所が満載。そしてフェリクスの過去が気になる…どんな修行を積んだのか。

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2016年06月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

処女にしか懐かないユニコーンが娼婦に?
という「引き」とは別に、
(……またプリニウス様の処女好きが始まったわ)
という下女の素直な感想も面白い。

現実ベースで幻想がちょろっと入るので、どきっとする。

0
2018年06月19日

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