あらすじ
昭和20年8月15日、日本敗戦。それは、石油販売会社「国岡商店」が何もかも失った日でもあった。莫大な借金だけが残り、もはや再生不可能と全社員が覚悟する中、店主・国岡鐡造は「愚痴をやめよ」と発し、会社再生、そして日本再建にとりかかることを表明する。一人の馘首もせずに再生の道を模索する鐵造だったが、売る油は一滴もない。前途は絶望的であった。2013年本屋大賞1位『海賊とよばれた男』待望のコミカライズ!!
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Posted by ブクログ
本作は2012年に出版、本屋大賞を受賞されたベストセラーで、映画化もされました。
数年前には百田氏の講演を直接お聴きする機会があり、とても興奮したのを覚えています。
「海賊とよばれた男」は、出光興産の創業者・出光佐三をモデルにした主人公、国岡鐡造の一生を描いた物語です。
戦後の東京を舞台に、石油販売の会社「国岡商店」と、国岡鐡造とともに国岡商店で働く人々たちの成長と戦いが描かれています。
私も原作を読んで、戦後の日本の石油事情・経済事情がどれだけ厳しいものだったかということを知りました。
過酷な状況の中、国岡鐡造は店主として、また誇り高い日本人として、国岡商店ひいては日本の再建に挑みます。
その並々ならぬ熱意が、原作でも漫画でも一貫して伝わってきます。
「ひとりの馘首もならん!」
…会社再建のためにリストラせざるを得ないような状況でも、社員は家族同然であるとして、ひとりもクビにすることなく会社再建を目指します。
国岡商店には出勤簿がなく、国岡鐡造がいかに社員を信頼していたかがうかがえます。
「厳しい環境だからこそ、そこに勝機があるんだ」
…厳寒の地・満州鉄道の車軸油として、強国アメリカの石油製品より高品質な油を開発し、販路の拡大に成功。
以降も、日本の会社として海外の石油会社の支配に負けないよう立ち向かい続けます。
「勝つとわかっていたものを勝っただけの事。喜びはない」
…”日章丸事件”として有名な、イランの石油を極秘に買い付けた一連の騒動。
イギリスの会社から訴えられるもそれを退け、国岡商店が裁判に勝ったときの国岡鐡造のひとこと。
危険が伴ったり周囲の反対があっても、商売人として、正義に基づいて本当に正しいと思ったことを貫き通す情熱が凄まじいです。
私も経営を学ぶなかで、「社長業はビジョンを語る」と教わりましたが、物語に出てくる国岡鐡造の一貫したパワー、やると決めたら必ずやり遂げる情熱にとても感銘を受けました。
過酷な状況であっても、国岡鐡造が掲げるビジョンに共感し、会社と日本のために泥まみれになって働く仲間たちの姿には背中を押される思いです。
大きな理想を描いて、その実現のために誰よりも一番ハードワークをするから、同じ思いを持った仲間が集まってくるということを私自身が身を持って学んでいます。
本書の登場人物は、国岡鐡造だけでなく、社員ひとりひとりがそのような情熱を持ち、一丸となって働く姿がとても印象的です。
いま私と一緒に経営を学ぶ仲間も、努力を惜しまない本当に素敵な人たちばかりで、心から嬉しく思います。
そんな仲間とともに早く豊かになるためにも、私自身がさらに大きな理想を掲げて、言ったことをやり抜く人生にしていきます。
Posted by ブクログ
百田尚樹の原作を読んだが、コミック版も読んでみる事にした。第一巻。終戦直後の日本で、日本人の矜恃をまっとうしようとした男の物語の開幕である。『人間尊重』を謳う企業は多々あれど、国岡鐵造が立ち上げた国岡商店ほどの企業は存在しないだろう。須本壮一の作画によるコミック版の『永遠の0』も良かったが、この漫画も良い。次巻は秋…待ち遠しい。
破壊と再生
インド神話の破壊の神シヴァは同時に再生の神でもある。
敗戦ですべてを失った日本の再生を担った男の物語。
実在の人を扱った話であるが、現在からみるとまるで神話のような高い志を持っていた人の話でもある。