あらすじ
高校2年生の安藤は、幼い頃の苦い経験から、周囲に迎合するという生き方を身に付けていた。ある日、学校からの帰り道に暴動を起こしている集団を発見。弟・潤が止めに入ろうとするも、安藤はいつもの傍観者を決め込み、警察に任せようと引き止めた。だがその時、犬養と呼ばれる人物が颯爽と現れて…
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Posted by ブクログ
【今の私を構成した作品のひとつ】
確か最初に読んだのは小学校高学年の頃。腹話術というパッとしない能力でどこまで戦えるのか、困った時に「考えろ、考えろ」という安藤がかっこよくて毎週週刊少年サンデーで追っていた作品。
改めて思う。この作品が今の私にも影響を与えていたのだろうと。
安藤は幼少期から、考えることを辞められず弟の潤也から考察魔と言われている。また、考えたことを周りに告げると雰囲気を害することに気づき、自らを納得させて周囲に溶け込みながら学生生活を過ごしている。
そんな中で犬飼が作るグラスホッパーと出会い、その表裏を知り、熱狂の渦に包まれる周りを見て、ほんとにこれでいいのだろうか?と思索し始める。
犬飼と対決すると決めるまでには様々な出会いがあり、安藤は葛藤しながら前に進んで行く。その出会いには、ジュブナイルリミックスとあるとおり、他の伊坂作品に登場する魅力的なキャラクターが描かれており、作者の大須賀先生の上手いミックス具合にワクワクが止まらない。
安藤は対決後に、安らかな表情で死を迎える。私もこんな死に方をしたいと思ったからこそ、できることは全部何でも試したいと思うようになった。そして対決したいとも思っている。
そして、潤也の存在。これがまたこの作品を忘れられないものにしてくれる。
私には現実に兄貴がいるし、とっても仲が良いので、潤也の痛みをより自分事として想像することが出来る。とても感情移入しやすいキャラだからこそ、第94話「大空」で涙が止まらなかった。
犬飼と対決するために変わっていく安藤を見て、潤也はどこにも行かないでくれ、ずっと一緒にいてくれと訴えかける。安藤はそばにいる「賭けてもいい」と返答するが、結果的に帰らない人となり潤也は深い悲しみの底に居る。
94話では、詩織に鷹(安藤の生まれ変わりと思わせるもの)が腹話術をかけ、潤也へ見放していないそばに居ることを伝える。潤也のこの時の表情。救われた姿は見ていて心地よく、清々しくもあった。心が洗われた瞬間だった。
この漫画では殺し屋がでてくる。よって人が死んでいく描写が多いが、その情景はくどくなく読む際にもさほど気にならなかった。私は残酷描写が得意ではないのでとてもありがたい。週刊少年誌で連載していたからなのか、そこの配慮も嬉しかった。
スマホを使って調べれば10秒で色んな人の意見や思想を覗けるこの時代で、考えろ、自分の頭で考えるというのは、とても価値のある行為だと思う。流されて生きてるのは死んだも同然じゃないか?というメッセージは胸に深く突き刺さる。
アンダーソンがまたいい味を出していてる。とっても優しい人柄の息子と会社は別物なのに、それを一括りにしてなじるクラスメイトの変化・大衆は本当に怖いと思った。
単行本10巻で、犬飼は微妙な顔をしている。
それは犬飼が言うからそれを信じる、内容は関係なく属人的に信頼出来るものに全てを委ねる人物が描かれているから。
犬飼は最初から演説で、自分の頭で考えろと言っている。現実はそのカリスマ性に惹かれて、何も考えず盲信する信者に取り囲まれている。そこに潤也は水を差す。痺れますよね。しかもそれを作ったのは安藤なんですよ。
第二部が始まってから時折出る安藤がかっこよすぎてたまらんのです。
キャラのセリフや生き方を見て、自分の人生に与えてる影響とても大きい。そんな振り返りをした土曜日の昼下がりでした。
10巻まで一気に再読破。
2025 05 10
Posted by ブクログ
躍動感と疾走感が迸るコマ割と展開で、どきどきしながら読んだ。
2章の潤也編が濃すぎて、そちらが本編のように感じてしまう。
タイトルにあたる魔王は一体誰であったのか、それは読者に
解釈を委ねているところも好き。
Posted by ブクログ
グッと引き込まれるようなスリルがある話です。
主人公の安藤が色々な考えをめぐらせながら戦っていくのがとにかく面白い。読んでいくうちにどんどん続きが気になってきます!
各キャラクターの性格も人間味があって素敵でした。
本編を読み終わったら、是非カバー裏を!
絵が綺麗で、わりとスラスラと入っていける気がします。
本を読むように読める漫画。
Posted by ブクログ
伊坂幸太郎さん原作の「魔王」を全く別設定で作り上げた作品です。
メインキャラたちの年齢も職業も変わっています(笑
むしろ「魔王」作品の漫画化ではなく、伊坂さんのいろんな作品からちょこちょことキャラがオールスターのように描かれています。
が、すごいことにそれが全く矛盾を生まず、むしろ面白い!!
1つの作品に仕上がっています。
原作ファンの方でも漫画版は漫画版でハマった!という方が多いほど完成度の高い作品。
主人公は自分をごまかしつづけて差し障りのない人生を送ってきた高校生の安藤。
しかし彼は不意に自分の中にある特殊能力に気づいてしまう。
それは半径数m以内の人に、自分の思った言葉を「言わせる」能力。(腹話術)
そんなある日、安藤は町の自警団として活動しているボランティア団体のリーダー、犬養と出会う。
町のみんなからは英雄としてあがめられている彼に違和感を持った安藤は、犬養が英雄ではなく「魔王」なのではないか?と疑問を抱く。
そしてまた、犬養自身も安藤と出会ったことで変化が・・?
この作品はとにかく面白いです・・!
絵の綺麗さとか原作を再現とかそんなことは関係なく、
ただ読んでいると止まらないほど続きが気になる・・・><
ひさびさに純粋に内容を「面白い!!」と思って買った作品でした。
全10巻。
特殊能力、殺し屋、政治家、いろんなひとたちが出てきますが、不思議とファンタジーではなく現実漫画として読めます^^
ぜひぜひおすすめな一品です♪
蝉がツンデレすぎてかわいいです(*ノノ(何