【感想・ネタバレ】シリーズ日本近現代史 9 ポスト戦後社会のレビュー

あらすじ

バブルの発生と崩壊,深まる政治不信,そして高まる社会不安.列島が酔いしれた高度成長の夢のあと,何が待ち受けていたのか.崩れゆく冷戦構造のなかで,この国は次第に周回遅れのランナーとなっていったのではないか…….60年代半ばから現在まで.政治・経済・社会・家族……すべてが変容し崩壊していく過程をたどる.

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

[ 内容 ]
バブルとその後の長期不況、深まる政治不信、そして高まる社会不安。
列島が酔いしれた高度成長の夢のあと、何が待ち受けていたのか。
崩れゆく冷戦構造のなかで、この国は次第に周回遅れのランナーとなっていったのではないか。
六〇年代半ばから現在まで、政治・経済・社会・家族…すべてが変容し崩壊していく過程をたどる。

[ 目次 ]
第1章 左翼の終わり
第2章 豊かさの幻影のなかへ
第3章 家族は溶解したか
第4章 地域開発が遺したもの
第5章 「失われた一〇年」のなかで
第6章 アジアからのポスト戦後史

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

0
2011年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<1. 変容する日本人の意識>p80
Cf. 「日本人の意識」調査 by NHK放送文化研究所

「限界集落」の状況について。Cf. 国土交通省「過疎地域等における集落の状況に関するアンケート調査」、農村開発企画委員会「限界集落における集落機能の実態等に関する調査」p145

【企業移転から産業空洞化へ】p204 by 小林英夫『産業空洞化の克服』
3つのプロセス
①70年代から85年のプラザ合意までで、急激な円高により競争力を失いかけた産業が輸出市場を防衛するために海外展開を始めた段階。最初にアジア進出をしたのは、繊維や雑貨といった労働集約的産業であったが、やがて電機、化学、機械産業もアジアや欧米に工場を建設し始めた。
②プラザ合意から90年代前半までで、円高が一層進行するなかで輸出拠点作りの動きが広がっていく。この段階になると、家電や自動車などの分野で親会社の要請を受けて系列子会社が海外移転を始めるようになる。それでもこの段階までは、主力部門は国内に残しての海外展開であった。
③90年代後半になると様相が変わってくる。アジア諸国の技術力向上のなかで、日本企業は主力部門を海外に移し始めた。
今や日本の輸出総額に匹敵するほどの額が海外拠点で生産されるようになり、それらの拠点からの輸入も急増していく。国内に残されている生産現場は、主力というよりも残余の部隊となり、国内外の主客の関係が逆転してしまった。

【おわりに】p238
私たちが生きているのはグローバル化の時代だが、このグローバル化は一枚岩的なものではなく、異なる複数の未来に向けられている。試みにそれを、金融グローバリズムやアメリカとの同盟―依存関係を軸とする一極的な地平と、多数の市民的・国際的なエージェントが越境的に連携する多極的な地平に分けてみよう。この区別はもちろん理念型で、一方を「帝国」、他方を「マルチチュード」と呼ぶとしても、現実には両者は重なり、しばしば同じ人物や組織、活動に絡まり合っている。既存の国民国家は多くの場合、前者のグローバル化を支援しながら自らの足元を危うくしてきた。そしてその結果、どちらのグローバル化からも零れ落ちてしまう多くの人びとが生まれ、彼らの暮らしの足元は空洞化し、閉塞し、限界に達しつつある。
本書で述べてきたことからするならば、まさしくこの第三の地平「グローバル」という地平には包摂され得ない無数の人びとの声や心情が、一体化する世界といかに結びつき、新しい社会のどんな歴史的主体を可能にしていくかに、21世紀の歴史は賭けられているのだ。

0
2014年04月28日

「学術・語学」ランキング