あらすじ
1877(明治10)年の西南戦争終結後,議会開設の要求が強まり,自由民権運動が全国各地でまきおこった.そして1889(明治22)年には,大日本帝国憲法が発布される.国民国家と競争社会が確立した現代の原点ともいえる時代を,政府・民権派・民衆の三極対立という新しい視点で描きだす.シリーズ第2冊.
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Posted by ブクログ
教科書的な知識をかなり網羅しつつ、テーマごとの見取り図も示してくれる良書。通史でこれだけ面白い本は貴重だと思う。
西南戦争(1877)から大日本帝国憲法発布(1889)までの民権運動史を軸に据えつつ、その間の経済や社会、対外関係、学校教育などのトピックにも各章が割かれている。網羅性と深掘りのバランスがかなり好みで、通史の本にありがちな目の滑る感じもなく、かつ、1つの事件に絞って書かれた本のように食傷気味になったりもせずに新鮮さを保ちながら読み切れた。
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シリーズ日本近現代史の第2巻。西南戦争後の自由民権運動の胎動とその挫折や、国会開設、教育の普及、憲法発布、近代天皇制など、1870年代後半から1890年の国会開設前後までの歴史を、民衆の動きと絡ませながら説明している。
この時期は、民権家を中心とした知識人が登場し始める時期で、個人的に興味のある内容が多かった。特に、自由民権運動は、今の日本人に様々な教訓を与えてくれるように思った。
西洋文明国に並ぶため、必死に議論し考え、勉強する当時の人々の姿勢に学ぶことが多かった。
全体を通して、この時期は問題が山積みな時期であると実感した。そんな問題の結果だけに目を向けるのではなく、過程に注目して見ることで、今日自分たちが直面している問題に向き合う際のヒントになるのではないかと思う。再度読み込んで、今を生きるためのヒントを探究出来ればと思う。
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著者はおわりにで謙遜しているが、新書として提供しうる最高の内容だったと思う。
今の日本で当たり前だと想われていること、いわゆる日本近代文化というものが、この時代に根を持っていることが分かったからだ。
・民権運動の中で、芸妓さんや視覚障害者も演説会を催し、参加していた。
・「蛍」「隅田川」は賛美歌が原曲、「君が代」も賛美歌経由の歌。
・ナショナル・ミュージックと斉唱というスタイル。体操と万歳も。
・福沢諭吉:身→家→国家の独立。明治以降の家制度は封建的というより近代国家に共通する家長制の一つ。
・民法、商法のあと、憲法ができた。
・「バンザイ」が集団としての一体感をつくった。
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日本の近代の礎が、イギリスやドイツから学んだことは、
漠然とは理解しているつもりだった。
個々のことは、うまく記憶できていないことが分かった。
明治以降の日本の歴史を紐解いていくとよいと感じた。
今、何をすべきかが分るかもしれない。
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自由民権運動は
政府側・民権派・そして民衆の3つに分かれて行動していたんだと分析する。
民衆に光をあてることが得意な著者の渾身の新書。本シリーズは最初の2冊が秀作と評価されるであろうことは疑う余地もない。
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民法と憲法
成立までの流れや東アジア世界の動きが目まぐるしい。
今、憲法や法律が揺らいでいるのではないか。
揺らぐではダメだ。
変えるなら変える。
変えないなら変えない。
解釈だけで変えようとするのはずるいのではないか。
変えるためには国民一人一人が他人事ではダメなのだが。
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明治維新後、どんな政治が行われ、人々がどんな生活をしたか。
意外に知らない人が多いのでは(私だけか・・・?)
当然江戸から明治になったからといって、急にすべてを変えるのは不可能。
紆余曲折あった。
何せ憲法ができるまで20年以上かかっている。
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[ 内容 ]
一八七七(明治一〇)年の西南戦争終結後、議会開設の要求が強まり、自由民権運動が全国各地でまきおこった。
そして一八八九(明治二二)年、大日本帝国憲法が発布され、翌一八九〇年には帝国議会が開かれる。
国民国家と競争社会が確立した現代の原点ともいえる時代を、政府・民権派・民衆の三極対立という新しい視点で描きだす。
[ 目次 ]
第1章 自由民権運動と民衆
第2章 「憲法と議会」をめぐる攻防
第3章 自由主義経済と民衆の生活
第4章 内国植民地と「脱亜」への道
第5章 学校教育と家族
第6章 近代天皇制の成立
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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明治政府成立間もない1870年台の混沌とした時代を、従来の政治中心の記述だけでなく、民衆から「国民」へと変貌する一般庶民の諸相・風俗を含めて概観する。
天皇、憲法、政府、議会それぞれの位置付けすら定まらぬなかで、薩長の既得権益、外国からの圧力、国民からの自由民権運動に揺さぶられながらも、徐々に国の形が整っていく様子は、壮絶だ。この時代の人達をして(その後に軍国主義化するという道を歩むとは言え)「国を作る」という大事業を為し遂げさせたエネルギーとは、一体何だったのだろうか。
今では普通と把えられることが多い伊勢神宮参拝や各種の天皇行事(新嘗祭、大嘗祭など)、学校での隊列体操、唱歌、万歳を叫ぶ風習などが、実は比較的新しいこの時期に、それも「国民意識」を据え付けるための道具として導入されたという考察は面白い。
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<目次>
はじめに
第1章 自由民権運動と民衆
第2章 「憲法と議会」をめぐる攻防
第3章 自由主義経済と民衆の生活
第4章 内国植民地と「脱亜」の道
第5章 学校教育と家族
第6章 近代天皇制の成立
おわりに
<内容>
岩波新書日本近現代史シリーズ第2巻。自由民権運動から憲法の完成期を描く。普段の授業で自由民権運動と経済や文化を分けて教えているので、例えば国粋主義の三宅雪嶺、日本主義の陸羯南などがこの時期に提唱していたことに気がつかなかった(勉強不足ですね)。政権内部の矛盾も多く描かれ(征韓論はともかく、明治14年政変期や憲法制定をめぐる争い、外交や軍事に関するところまで、政権内部も一枚岩でなかったことがよくわかった。そう考えると伊藤博文の努力には頭が下がる。