あらすじ
19世紀半ばの黒船来航から,21世紀の現在まで,およそ150年.近現代の日本は何を求め,どのような歩みを進めてきたのか.そしてこれからどこへ行こうとしているのだろうか.通史を描いた執筆者9名が,各時代の日本を理解する上で欠かせない問いを掲げ,それに答えながら,総まとめをおこなう.シリーズへの入り口としても最適.
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このシリーズの5,6巻を読んだが,この10巻は特に中身が濃い.最も感銘したのは第1章で詳細に述べられた,幕府の外交の再評価だ.よく言われる「不平等条約」について日本側の体制が整っていない状態,裁判制度ができていない点や小国に分かれていたこと,等を加味すると,不平等で良かったとも言える.また,外国人の国内旅行権を10里としたことは,国内産業を守る有力な法だった言え,特筆に値すると評価している.この辺りの研究成果ができるだけ早く教科書に記載されるべきだと痛感する.
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【『戦後政治史』→政治潮流を俯瞰的に見る】
岩波新書のシリーズ「日本近現代史」のまとめ本。各章で、シリーズ各本の筆者が論旨をまとめている。
時間がなければ、この1冊を読めば各論の内容は理解できると思う。
じっくり読むなら、この本をまず予習として読んで、各論を読んだあとに復習として論旨を再確認する。
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シリーズ全体の総括という形で非常に読みやすい。
市民レベルでの恒久的な平和維持には、戦前の負の歴史的事実に目を向けるべきで、そのための導入に最適な一冊
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岩波新書 「日本の近現代史をどう見るか」
日本近現代史シリーズ全10巻の最終巻。このシリーズは 黒船来航からバブル崩壊までの通史。
最終巻は各巻の著者が論点を整理し1冊で近現代史全体を一望できる
近現代史の論点
*幕末期の日本の自立
*明治期の天皇の必要性
*日清日露戦争による日本の変化
*大正デモクラシーとは
*1930年代の戦争は何をめぐる闘争だったのか
*開戦を回避できなかった理由
*占領改革による日本の変化
*日本の高度成長理由
国民国家意識が戦争時代につながり、敗戦して経済時代に変わったように読める。日中戦争以後、日本が下降している
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シリーズ日本近現代史の総まとめ。各巻著者が平易にその時代の論点を語っている。政治史、外交史の専門の方もいれば、社会史や経済史を専門にされている方もいるので、その時代時代の論点が網羅されているわけでは決してないが、一つの視点提供という意味では大いに参考になった。それにしても、加藤陽子先生のは難しいなぁ……。高校生向けにはあれだけ易しく語れるのに……。
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大正デモクラシーとは、1905年の日比谷焼き討ち事件から1931年の満州事変前夜までの、政党政治の実現を目指した動きが盛り上がる時期で、1918年の米騒動と、その結果誕生した政友会による政党内閣(原敬)を境にして、前期の民本主義の時代と後期の改造の時代に分けられる。この間の第一次世界大戦を契機とた経済成長により急速に社会が変化していた一方、韓国併合やシベリア出兵など植民地支配が本格化した時期でもある。
戦後の自民党政治は、高度経済成長による成長の富を地方の産業基盤整備や道路やダムに投資して選挙民から支持を得る田中角栄までの政権と、新自由主義指向で国鉄から郵政までの民政化が進められた中曽根内閣以降に大きく分けられる。
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シリーズのまとめ編。新たな視点もあるが、本編を読んでいれば、まぁ必要ないか。
・万世一系神話は、儒教の易姓革命論(君主が徳や仁を失えば、天に見放される)とは相容れない。仏教や儒教は外来思想という認識が根底に。
・出雲大社と伊勢神宮の「祭神論争」。伊勢神宮が勝ったから今がある。
・津波・火災から御真影・教育勅語を守ろうと死傷した教員などがいた。
・ルソー『戦争および戦争状態論』:戦争は敵とされた相手国の政治の基本的枠組み・秩序=憲法に対する攻撃という形を取る。
・第一次世界大戦までは国民責任論。第2次世界大戦から指導者責任論。
・グローバリゼーションのなかでの新自由主義的国家モデルやフレクシブルな資本編成の全面化と、社会的なリアリティの虚構化は、深いところで結びついている。
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終戦記念日を前にして、近代天皇制に対する自分の立場を確認したくて読んでみた。本当は全巻通読すべきだけども、手っ取り早く流すにはちょうどよい。持つべき視点へのキッカケをもらえた気がする。
列島の周囲の国、列強国との相対的な関係を考えない歴史認識なんてあり得ないよなあ。
あと、戦争、武力行使って外交のいちカードなんだよなあと。それをいかに使わなくてすむようにするか。
特に印象に残った章。
第一章 幕末期、欧米に対し日本の自立はどのように守られたか
実は幕府の外交は、当時できる限りの交渉で国内の経済を守ったとか、書いてある。ハリスなんか日記は嘘が多くて、実は幕府側の文書と違うところも多い。いかに「幕府は無能」と思わされているか。
この本に書いてあるわけではないけど、近代以降の部落差別も江戸時代の身分制度が根底にあるとしても、実は差別をより酷く堪え難いものにしたのは明治以降の役所と「市民」。そのことが同和教育では江戸時代が悪い、とだけになってるみたいな。
第二章 なぜ明治の国家は天皇を必要としたか
明治政府ができても、庶民にとっては天皇なんていないも同然だった。のを、率先して洋装したり下賜金与えたりして、アメの役割。
今も同じことやってる。
第三章 日清・日露戦争は日本の何を変えたのか
当時でも、西洋の学問は一度漢語になってから学ばれていて、日本で生まれた漢語訳も多くなったと。そういうのは東語と呼ばれたと。東アジアにない概念が漢語として共通に認識されていたのは面白い。
第四章 大正デモクラシーとはどんなデモクラシーだったのか
当時の「民主主義」の人たちが、なぜ天皇制は否定しないのか、むしろ、積極的に補完しているのはなぜか、不思議だった。民衆が先の戦争を通じ、日本という国の国民として大国意識を持ってしまった流れの中でのデモクラシーなので、当然なんじゃないか。
第五章 1930年代の戦争は何をめぐる闘争だったのか
アメリカが「中立」の解釈を変えちゃった、とか。
日本は、アメリカが侵略戦争だとみなすかどうかをすごく気にしてたとか。彼の国というのは80年前から変わらないんだなあ。
第六章 なぜ開戦を回避できなかったのか
軍の指揮権が天皇にあり、独立したものだった、組織の問題。
外務大臣、海軍といった、戦争を止められる立場だった人たちが止めるようには動かなかった。とか。
残り。
第七章 占領改革は日本を変えたのか
第八章 なぜ日本は高度成長ができたのか
第九章 歴史はどこへ行くのか
第十章 なぜ近現代日本の通史を学ぶのか
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[ 内容 ]
近代の幕開けから一五〇年余、日本は何を求め、どのような歩みを進めてきたのだろうか。
そしてこれからどこへ行こうとしているのか。
通史を描いた執筆者九名が、各時代の日本を理解するうえで欠かせない根本的な問いを掲げ、それに答えながら、総まとめをするシリーズ最終巻。
各章ごとに推薦書を紹介。
日本近現代史への導入としても最適。
[ 目次 ]
第1章 幕末期、欧米に対し日本の自立はどのように守られたか
第2章 なぜ明治の国家は天皇を必要としたか
第3章 日清・日露戦争は日本の何を変えたのか
第4章 大正デモクラシーとはどんなデモクラシーだったのか
第5章 一九三〇年代の戦争は何をめぐる闘争だったのか
第6章 なぜ開戦を回避できなかったのか
第7章 占領改革は日本を変えたのか
第8章 なぜ日本は高度成長ができたのか
第9章 歴史はどこへ行くのか
終章 なぜ近現代日本の通史を学ぶのか
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