【感想・ネタバレ】三国志 五の巻 八魁の星(新装版)のレビュー

あらすじ

強大な袁紹(えんしょう)軍を官渡(かんと)の戦いで退けた曹操(そうそう)は、河北(かほく)四州の制圧に乗り出す。軍勢を立て直した袁紹との再戦にも勝利し、曹操は敵の本陣である黎陽(れいよう)を目指す。突然の袁紹の死亡、そしてそれに伴う袁(えん)家の跡目争いが、曹操の追い風となる。暗殺された孫策(そんさく)の遺志を継いだ孫権(そんけん)は、周瑜(しゅうゆ)とともに江夏(こうか)を攻める決意をする。そして劉備(りゅうび)は、放浪の軍師・徐庶(じょしょ)と出会い、曹操軍の精鋭と対峙していく……。熱い漢(おとこ)たちの生き様を描く、傑作「北方版・三国志」新装版第五巻!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

官渡の戦いの敗戦から始まった袁家の崩壊。
負けても負けてもなお、袁紹のほうが曹操よりも大きな軍勢を持っていたはずなのに、員数以外にダメージが大きすぎた。
再起を図る袁紹だったが、病に倒れ、結局回復することなく死を迎える。
自分の中では後継者は三男と決めていたが、公にしなかったばかりに始まる兄弟同士の内紛。
曹操はただ、黙ってみているだけでよかった。

小競り合いはあるものの、大きく情勢が変わるような戦いのない巻だったので、多少退屈。
その中で、張飛が結婚。
やはり作者は呂布の次に張飛を書きたいと思っているのだな。
関羽なんて全然影が薄いもの。

相変わらず劉備の良さが微塵もわからんが、彼のもとに人は集まる。
曹操は、良い人材を集める。
が、作者はきっと曹操のことは好きではないような気がする。
謀略とかするようなやつは嫌いなんだよね、きっと。

曹操の右腕である荀彧(じゅんいく)なんて、「屯田」と「兵糧」の話しかしない。
実際に国を治めるとき、大事なのはそこよ。
どうやって民を喰わせていくのか、どうやって安寧な暮らしを保証するか。
日本の天皇のよって立つところもそこだから。

皇帝に対する考え方。
曹操は、血筋なんてなんぼのもんじゃい。
能力がないなら上に立つ資格なんてない、と考えている。
その割に曹操と皇帝の確執の描写が少なすぎると思うが。

劉備は、連綿と続く尊い血筋がそこにあることが、民の心のよりどころになるのだから、政は能力のあるものがやればよい、皇帝は存在するだけでよし。

劉備の考え方は、日本の天皇制と同じなんだよね。
中国は古来から、誤った政を行った皇帝は革命で追い落とされるか、禅譲で国を譲るかしかない。
天の見放した皇帝に存在価値はない、というドライなもの。

私はやっぱり曹操派なんだよね。
劉備が言っているのは、突き詰めると宗教になってしまう。
私は心のよりどころはそれぞれの人が見つければいいのであって、上から差し出されるものではないと思っている。
どの作家の劉備もそれぞれなんだけど、どの作家の劉備も私との相性は悪い気がする。

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2024年10月27日

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