【感想・ネタバレ】時間についての十二章のレビュー

あらすじ

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直線的に過ぎていく「時の矢」としての時間と循環する時間――その違いをとおして、山里の暮らしとその変容から、時間という「存在」をとらえる。全集収録にあたり補章「過去・現在・未来の関係について」を書き下ろし。「労働と自然」「『真理』が価値を失った時代に」の2編もあわせて収録した。

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Posted by ブクログ

自分から進んで読んだ、はじめての哲学書。
森美術館のストアのインスタで紹介されていたのを見て、興味をもって購入した。
「時間」について、なんとなくピンと来たのである。私たちが生きているこの時間の流れとは別の時間の流れというものが存在している…というような紹介の仕方だったのだけど、なんかそれが「わかるかも」と思ったのだ。
本書は哲学書といいながらも、半分エッセイのような語り口でとても読みやすく「何を書いているのか全くわからない!」という箇所はほとんどない。ときどき、あれ、この話何回目?と同じ話を何回もされているように感じることがあり、そのときに「私は何かを読み取れていないのかもしれない…」と感じる程度の難易度。
私たちが今生きている世界は、資本主義を背景とした直線的な時間。いつか終りがくる、効率性や成果が重要視されている時間。対して、里山に流れている時間は、春が来て夏が来て秋が来てまた冬がくる円環の時間。その時間は自分が死してもなお続いていくことを前提にしたずっと続いていく時間。
それぞれの時間を背景にすると、「仕事」の意味も、そこに対する人間の向き合い方も全然ちがってくる。
自分たちが辛くなることの原因はこの「直線的な時間」の捉え方(そして資本主義)にあるのかもしれないと思わされた。
読んでいる間、付箋をたくさん貼ってしまった。
これは自分の本棚にずっとおいておいて、折に触れて読み返したい本である。

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2025年02月24日

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