【感想・ネタバレ】戦後思想の旅からのレビュー

あらすじ

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戦後に生まれ、高度成長期に少年時代を迎えた世代にとって、戦後社会・戦後思想とは何だったか。それは敗戦とその後の民主化を戦後の出発点とした人々の戦後思想史とも違うし、経済や技術の発展に未来の豊かな社会を夢見た世代の戦後思想史とも同じでない。一見すると豊かに見える現代社会のなかに広がる空白感や、「民主的」な戦後社会のなかで目にみえにくい管理が進み、自由な感性や精神を失っていくことをあぶり出す。ほかに「合理的思想の動揺」「日本の伝統的自然観について」を収録する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

戦後の変革による思想の変遷がまとめられている。特に社会主義の説明は非常にわかりやすい。
現代でも多くの人が抱き社会的な問題として指摘される空虚さや孤独の問題が、すでに1960年代から議論が始まっていた問題だったとは。
結局、世界はこれらの問題に対する明確な対処ができないまま、今日を迎えているということになる。経済成長も鈍り、環境問題が先延ばしできない段階になった今、これらの問題はより切実になっている気がする。
昔は○○だった、というけれど、昔から状況が変わっていないことも事実。状況を変えられるのはいつだって現在の自分なのだと、強く感じた。

「大きな繁栄とともに大きな何かを失った」とあるけれど、実際、技術革新で、あらゆることが人間の身体感覚を超えてしまっているのだと思う。社会も生活も、あらゆる面で、ヒューマンスケールを取り戻した方が良いのではと思った。

消費者から創造者へ。大きなものに飲み込まれ消費者となった空虚な個が、充実した自己を感じられるようになるヒントが、この考察にはある気がする。

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2024年04月19日

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