あらすじ
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水槽を抜け出し、真夜中の道をひたすら海に向かって進むヤドカリの姿に、現代人が失なった「生きることへの憧れ」を見る短編「ヤドカリ」をはじめ、現代の存在・労働・労働過程の諸相を鮮やかに切りとる哲学的エッセイ集。元になった信濃毎日新聞連載「現代への旅から」より、単行本未収録の29編も併せて収録する。
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Posted by ブクログ
内山節の三十代前半の著作。若年にしてすでに老成している面と、若々しくひたむきな面とが、生き生きと表出されている好著である。
日本と西洋の伝統的な考え方の違いをフランス人の友人に問われて、日本には「自然」という言葉がなかったことを著者が指摘するところがある。西洋の自然は、人間に対立する概念である。日本人は人間に対立する「自然」という考え方を持たずにやってきた。
「古来日本で自然といえば生き物の世界の因果的な必然をあらわす言葉であった。それが明治以降、『人間の手の加えられてないもの』という意味で西洋語の訳語として使われ始めたのである」と。
目からウロコの指摘である。