あらすじ
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資本主義社会では商品の生産過程に労働過程が支配されながら、二重化している。その矛盾のなかから、労働=人間を解放する変革主体がどのように形成されるかを展望するデビュー作。単行本執筆のきっかけとなった雑誌論文、書評を併せて収録。
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Posted by ブクログ
弱冠26歳で、すでに内山節は内山節であったということを、鮮烈に印象づけるデビュー作。
資本主義というシステムを労働者の外なる経済構造としてその論理と法則を解明したマルクスの資本論に依拠しながら、主体としての労働者を核に資本主義システムとは何なのかを明らかにしようとする試み。
そのために内山が着目するのは、本来の労働とは労働者の労働能力にもとづく行為であるのに対して、資本主義的生産様式のもとでは、生産とは労働力「商品」を使っての資本の生産過程であるということ、そこに労働と生産の分離−二重化という資本主義の特殊性が生じるということである。
自分の労働が自分の労働ではないかのような「労働力」を通して人間が支配されていく過程。
人間を人間にしたのはその労働であるという視点からは、資本主義とは人間の根源を剥奪するシステムということになる。
豊かさと引き換えに私たちが何を失ったのかを根本から考えさせる書物である。