【感想・ネタバレ】自然と人間の哲学のレビュー

あらすじ

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「自然との交流の仕方を人間が変えたとき、自然も変容していった。現在の損傷されつづける自然の問題は、交流をする人間の問題として、自然と人間の交通=労働の問題として考察されなければならないのではなかろうか。」(序章より) 自然と人間の関係の考察をとおして、歴史・社会・人間の存在の再発見を目指す、人間学としての自然哲学構築の試み。

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Posted by ブクログ

内山は、人間が人間になった本質的な契機を労働であるとする。ここで労働とは広い意味で用いられており、人間の自然への働きかけの全体を意味する。
動物と異なり人間は、自然を改変し、また自然によって変容していく。
したがって自然と人間との交通のあり方が変われば、自然が変わり、人間も変わる。
近代以降、貨幣経済が人間社会を席巻することで、自然と人間との交通が根本的に変わってしまった、と内山は言う。
労働の観点からは、使用価値を作る労働から、交換価値(商品)を作る労働へ。
その時何が起きるか。
自然と人間とが截然と分かたれずに、人間が自然に主体的に関わる世界から、人間も自然も生産システムの手段に成り下がる世界へと決定的に移行する。
近代以降、私たちが何を失い、どのように変容してしまったのかを考える上で、必読の文献だと思われる。

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2023年02月07日

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