【感想・ネタバレ】誘拐のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年05月16日

昭和38年に発生した誘拐事件、吉展ちゃん事件を描いたノンフィクション。加害者の暗い過去など時代背景、高度成長期の影の部分がリアルな力作。

東京オリンピックの直前の台東区入谷で発生した4歳男児の誘拐事件。警察の不手際により身代金50万円は奪われ事件は迷宮入りの様相。だが伝説の刑事平塚八兵衛らの執念の...続きを読む捜査で事件は解決。男児は遺体で発見され、犯人は死刑となる。

犯人の小原保の生い立ち、親族の悲しい宿命に多くの頁が費やされているところが独特。

インターネットより前の時代、行方不明となった男児を心配する両親に、多くのイタズラ電話が来るところが現代と変わらず切なくなる。

警察の初動対応の不手際と隠蔽体質も現代とは変わっていないだろう。

事件の概要だけでなく時代の空気感をうまく出した、ノンフィクションの中でも傑作の部類であろう。

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Posted by ブクログ 2018年11月25日

"私がまだ生まれる前、昭和38年に起こった誘拐事件。その真相に迫るノンフィクションの傑作。最後のページまで緊張感が続き、被害者、加害者、関係者、この事件に関わる全ての登場人物との距離感も絶妙。
著者の綿密な取材、苦労とともに、書き手の文書力がなければ本作品は成り立たない。

吉展さんのご冥...続きを読む福を祈り、本書をたたむ。"

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Posted by ブクログ 2018年10月12日

事件ノンフィクションの古典。

時代と言ってしまうとそれまでだが、
戦後に起きたとても悲しい物語。(108)

[more]
(目次)

発端
展開
捜査
アリバイ
自供
遺書

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Posted by ブクログ 2018年09月01日

1963年に起きた「事件」である
その次の年が「東京オリムピック」、
高度成長期に差しかかかり始めた時代の
「明」と「暗」を象徴している事柄である

あれから半世紀以上経とうとしているが
果たして、庶民の置かれている状況は
どうなっているだろう…
あの時代には存在しなかった
携帯電話が普及し、イン...続きを読むターネットが普及し
果たして、庶民たちの生活は豊かになった
といえるだろうか…

あと数年後に開催されるらしい
東京でのオリムピック関係の
浮かれた報道を
目にするたびに、
耳にするたびに
この一冊を思い出してしまう

今、本田靖春さんが
もしご存命だとしたら
この優れたジャーナリストは
何を見据えているだろう

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Posted by ブクログ 2016年05月06日

ものすごく、面白かったです。
文庫本368頁。
誘拐殺人の実話なので、面白え、っていうのも若干、申し訳ない気持ちがするのですが。
とにかく読み物としてオモシロカッタ。
頁をめくる手が止まりませんでした(電子書籍でしたけど)。

ノンフィクションです。
1963年に東京都で起きた「吉展ちゃん(よしのぶ...続きを読むちゃん)誘拐殺人事件」の話です。
建築業者の家族のお子さんだった、よしのぶちゃん(4歳)が、公園に遊びに行ったまま帰らない。
やがて、身代金要求の電話が。
警察が出動する。

1963年、戦後18年。
ようやく、経済成長の恩恵が中産階級にも巡ってきた時代。
まだ「逆探知」も無く、捜査は不幸も重なってミスが続く。
身代金は奪われ、子供は帰ってこなかった。
警察の面子をかけた大捜査も空しく、幾人かの容疑者は浮かんだけれど、証拠は何も手に入らなかった。

ノンフィクションです。実際にあった誘拐事件です。
犯人は、小原保さんという、30歳前後の男性でした。

この本は、被害者の一家とその背景を描きます。東京でそれなりに一生懸命暮らす、中産階級の家族。
捜査にかかわった捜査員も描きます。警察の失敗も描きます。2016年の今からすると隔世の感がいろいろあります。

そしてこの本は、福島県の田舎の出身である、加害者の背景も描きます。
犯人の男性は、子供の頃に片足を不自由にしました。それからはずっと、いわゆる障害者です。
田舎で仕事も無く、東京に出てくる。時計修理の技術は身につけている。
なんとか糊口をしのぐ。

閉鎖的な田舎から出てきました。
その田舎というのは、哀しさが裸足であかぎれを痛めているような寒村です。
顔見知りと偏見と中傷と無理解とが、現実に叩きつけられているような集団です。
その村の中でも、冷たい風が吹きたまってきたような家族の出です。
東京だけを見つめている、「レコードのA面だけの歴史」の中では、想像もつかないような風景です。
ほんの50年前まで、ほとんどはそういう場所だったんですね。いや、きっともっと最近...というか、今だってそうだし、都会の中にもそういう場所が多く、あるんですよね。
それを、見るか見ないか、というだけの話。それは1963年でも変わりません。
この本は、そこをまず見つめます。痛いです。

そして、犯人さんは、障害のある男性です。
都会の孤立なのか、疎外なのか。
アルコールと女性、つまり酒と売春に溺れていきます。浪費していきます。
徐々に身を持ち崩していきます。
義理の悪い借金が嵩んでいきます。
このあたりの、ぐずぐずな緩慢な崩壊の仕方が、ヒトのありさまとして、嫌ンなるくらい手ざわりが、ざらざらします。
そうならずにすんだ者が、そうなった者を上から目線で非難するのは、あまりにも尊大ですね。

そしてこの本は、その加害者と恋愛関係にあった、年上の水商売の女性も、くっきりと描きます。
恵まれない生い立ちから、女性が独りで身を立てるための水商売。
我慢の上に忍耐を重ねて、小さく構えながら生きてきた女性。

もう、犯罪ノンフィクションの鏡と言って良いのです。
独りひとりから、急速な消費の膨張、都会の孤立、疎外、東京都と地方の格差、消費と幸福の果て亡き競争社会...そういった「集団としてのニンゲンの物語」が、濃厚に匂い立ってきます。

結局は、深い計画性が無く、偶然に被害者を選んだような犯罪でした。
そうであるが故に、意外と初動の取りのがしが大きく、捜査は行き詰ります。

唯一残された、犯人の電話の声。
テレビとラジオの時代が始まっていた。音源を公開して情報を募る、という前代未聞の作戦。
そこから初めて捜査線に上がってくる、小原さん。
もう、この本の読者としては、小原さんが犯人だって、判ってる訳です。
なんだけど、小原さんは警察の取り調べに頑強に抵抗します。
状況証拠しかないわけです。
そして、アリバイを主張します。黙秘します。狂ったように叫びます。
ぎりぎりの線での、生きるための戦いが行われます。

結局、警察は一度、小原さんを解放します。
ただ、その過程で、小原さんは当たり前のように、知人家族からの信頼、絆を失います。社会的には転落します。

事件から2年。
警察はあからさまに行き詰ります。
誰もが、もう、迷宮入りかと思った。しかし。
「落としの八兵衛」などの異名を取る、戦前から戦後混乱期、そして60年代以降も異名を馳せた、平塚八兵衛刑事が登場します。
それまでの大量人員の組織的捜査を敢然と無視して、ほぼたったひとりで、ゼロから小原さんの容疑を捜査する平塚刑事。
この平塚刑事が、積み木を積み重ねるように、ひとつひとつアリバイを崩していく。新たなる状況証拠を掴んでいく。
そこには、何の神秘性もなくて、汗みどろの中で合理的に論理的に一つ一つ当たっていくだけの作業。それがとにかくスリリングな筆致。

そして、事件からおよそ三年。平塚刑事と小原さんの、最終対決が始まる...

最後の鍵は。
読者も、捜査員も、誰も推測できていなかった要素。
小原さんの中の、罪悪感...

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もう、むちゃくちゃにオモシロイ。
横山秀夫の最上級の警察ミステリーを読んでいるような。
ドストエフスキーを読んでいるような。
火曜サスペンスとプロジェクトXをステレオで浴びているような。

もちろん、ひどいことをした訳です。犯人さんは。

なんだけど、本が大詰めを迎えると、どこかで犯人に同情的になってしまうんです。
というか、筆者がなっているんですね。
犯人を責めるのは簡単なことです。
小さな子供がいる親の身になったら、あらゆる理屈と言葉を超えて、許されざることです。

そして、そのことを、恐らく被害者の次に、肉体的に感じていたのが、加害者でした。

身代金は50万円でした。
1963年当時の価値は、ぴんとは来ませんが、今のお金に換算すると、「誘拐と言う事業の報酬」としては、決して高額ではないんですね。
犯人さんの、不義理な借金を返して、なんとか生活を再建するに足る。そんな金額でした。

ラスト、犯人の顛末。
裁判、服役。そして、最期。

ラスト、犯人の墓の前に、平塚刑事が佇みます。
想像力の画面に、叩き込んで刻まれるようなページでした。

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本田靖春さんは、過去に、美空ひばりさんについてのノンフィクションを読んだことがあって。
そのときも、ただならない筆力を感じたんです。
ただ、今回はほんとに、打ちのめされました。スバラシイ。
新聞記者出身らしい、ハードボイルドでザックリバックリした読み易い文章。
そこに、それだけではない、実に豊穣な「見てきたような語り口」。ほとんど、小説やんか!という力量。
ただ、底流には、この物語の中の、平塚刑事のように。
感性とか感傷なんていう、甘ちゃんな触覚を拒絶する、コンクリートを打ち固めるような確信に満ちた背骨を感じます。

ただただ、1つの犯罪にかかわった人たちを見つめるだけなんです。
それがとにかく、ドキドキにスリリング。
その先に、恐らくは何年経っても古びない、「世の中の風景」みたいなものが見えてきます。

傑作でした。


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犯人が衝動的に誘拐殺人をしてしまいます。
お金に困ったからです。
犯罪のプロでも無い犯人は、なぜ誘拐殺人を思いついたのか。
それは、たまたま見た、黒澤明の映画「天国と地獄」の予告編がヒントだったそうです。
アメリカの警察ミステリーを翻案した、誘拐犯罪映画。
三船敏郎さんが、金持ちの被害者。
仲代達矢さんが、執念の捜査官。
若き山崎努さんが、貧しき犯罪者。
密室で進む映画の前半は特に、間違いなく日本映画史上、いや、世界の映画史上に燦然と輝く奇跡のような大傑作です。
映画に罪はないんですが...

そして2016年現在。その役割って、テレビだったり、漫画だったり、ネットニュースだったりするんでしょうねえ。

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Posted by ブクログ 2016年04月02日

よしのぶちゃん誘拐事件をリアルに追ったルポ。なんでこんなにハラハラするんでしょうねえ。感情のはめ込み具合が絶妙なんだなあ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年03月10日

怖い…。犯人が(いつ見つかるか…いつ見つかるか…)と戦々恐々としながら2年半の逃走を続ける様が『罪と罰』を読んでいたときのドキドキ感に似ている。事件が解決してもすっきりするものが何もない読後感…。この本をもとにした番組が放送されたあとの被害者の両親のコメントに、少し救われた気がしました。
戦後高度成...続きを読む長期の時代だからずいぶん昔の事件だけど、「容疑者の人権」とか「死刑制度の乱用は許されない」とか、当時は今よりずっと市民の意識が冷静だったのね、という感じがしました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年09月05日

貧困による悲惨な生育環境や絶えず虐げられた状況にある人々にあって、犯罪に走る者と踏みとどまる者との差はどこのあるのだろうか、そんなことを考えさせられました。犯人小原保は別件逮捕による取り調べでは徹底的に否認を続けていましたが、最後は老練な部長刑事によってアリバイが崩され営利誘拐を自白します。自白前と...続きを読む後での態度の豹変ぶりに驚かされます。また、死刑執行までの獄中で詠んだ短歌には心惹かれるものがありました。ひとりの人間のなかにおぞましく凶暴なこころと清新なこころが同居しているものだなと思いました。ひとは不思議。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年09月03日

吉展ちゃん事件については、
以前にテレビ番組でとりあげられていたので、
大筋については知っていたが、
被害者や加害者とその周辺の人々、警察の動静、当時の社会情勢が、
画面で見たよりも圧倒的な現実感をもって肉迫し興味深かった。

テレビ番組と書籍の情報量の違いなのか、
人間の想像力の成すところなのか、...続きを読む
これがペンの力というものなのか。

その番組を見た印象では、
テレビ局が犯人の声の録音に成功したことが、
事件解決の有力な手掛かりになったようだったのに、
実際にはそれから2年も警察には渡していなかったのがまずは驚きだった。

今ではあたりまえとなっている「報道協定」がこの事件からはじまったのは知っていたが、
まだ営利目的の誘拐事件を解決する手法が確立されておらず、
お札の番号を控えることも失念していたことや、
声紋検査ができなかったこと、
日本電電公社が逆探知に応じなかったこと、
クリーニングの全国組織が情報蒐集に立ち上がり、酒屋米屋と続いたこと等に驚いた。

最終的に犯人が判明したことは
なにより被害者家族にとって良かったと思うが、
当時の社会に与えた多大な影響を考えた時、
当時の社会にとっても、
その後の日本にとっても良かったのだと思う。
そしておそらく犯人自身にとっても。

とはいえ、
解決を長引かせることになった、
組織捜査の問題点や警察内の軋轢の酷さが嫌な後味を遺していることは違いない。

著者は全体を通して、
非常に中立的かつ感情を抑えた書き方をしているが、
それゆえに立ちのぼってくる空気感が、
時に強く、時に温かく、心を打つ。

ノンフィクションの傑作という賛辞では足りない、何かがある。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年11月08日

結末もわかっているし単純な筋書きなんだけど、なぜか引き込まれるんだよね。カポーティの冷血とかに似た雰囲気。

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Posted by ブクログ 2014年05月31日

優しい。ジャーナリズムの本質って、こういう優しさなんだと思います。社会においていかれてしまう人に目を向けるという優しさ。短期間でこれだけの取材をしたこともすごい。

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Posted by ブクログ 2014年05月06日

「吉展ちゃん誘拐殺害事件」の発生は僕が生まれる約10年前。2014年の日本に暮らす身からすれば2004年はさほど遠い昔とは感じられないが、この本で描かれる1963年の世相や風景は僕の子供時代と余りに異なる。今更ながら高度成長期の時間の濃密さにたじろぐ。

事件発生から犯人・小原保の刑死まで、時系列を...続きを読むむやみに前後させることはなく、物語は淡々と直線的に進展する。しかし圧倒的なディテーリングにより、リアリティーとドラマチックさを両立させることに完全に成功している。特に身代金授受現場での汚名を雪がんとする警察内部の人間関係の描写は、良質な警察小説を読んでいるかのような錯覚を起させるほど。

それにしても高度成長の裏側に透ける東北・福島の受難が痛々しい。小原があまりに貧しい少年時代を送った石川町に程近い須賀川市の英雄、円谷幸吉の自死は小原逮捕の3年後だ。

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Posted by ブクログ 2013年11月26日

吉展ちゃんのお墓は自宅から徒歩10分であり、事件の舞台も近所であることから、時代を超えて非常に生々しいものに感じた。旧作で、警察の捜査方法などもさすがに時代を感じさせるが、それでもリアリティを感じさせるのは筆力だと思う。まるでハードボイルドのような淡々とした語り口が暗い世相と犯人の悲惨な生涯を強く印...続きを読む象づけるかのようだ。

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Posted by ブクログ 2018年11月05日

吉展ちゃん事件については、元東京新聞記者により比較的最近に出版された「誘拐捜査」を先に読んでいた。この作品のほうが同テーマを扱ったものとしては先行かつ有名。両作品のアウトラインは当たり前だが似通っている。こちらの方が、犯人である小原保に関する叙述が、生い立ちや自白後の顛末など多い印象。逆に捜査陣の内...続きを読む幕は、当時の担当記者が書いた「誘拐捜査」により詳しい。

東京で自分のだらしなさ故に借金を作ってしまった小原。決してベラボウな金額ではないが首が回らなくなる。金策のため郷里へ帰るが、会わせる顔もなくて4日間をこそこそと野宿して過ごす。「悪い血」が淀む故郷には頼れる人もないことが改めて身に沁みたろう。そして本来は交わるはずのない小原の人生と、村越家の人生とが、不幸な形で交わることになる。

事件後、村越家に向けられた善意(捜査協力、手紙など)は、今の時代にはそんな素朴な発露は失われつつある。しかし、悪意(中傷、いたずら電話)のほうは相変わらずある。ただしwebなんかなくても、匿名性の陰に隠れた卑劣な中傷は立派にあることにも注意。

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Posted by ブクログ 2018年08月30日

なんとなく事件名は知っていたものの詳細は全く知らない状態で読み始めた本作。読みやすく読み応えのあるノンフィクション。

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Posted by ブクログ 2017年04月07日

まだ営利誘拐に慣れていない時代。ノウハウ持たぬ捜査陣のあたふたぶりがよく分かる。終盤、昭和の名刑事と犯人の直接対決場面が見どころ。

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Posted by ブクログ 2017年02月16日

被害者、加害者、捜査の裏側等、色んな角度からの状況が書かれているのが面白かった。
戦後直後の捜査状況等が分かるのも面白い。

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Posted by ブクログ 2016年07月26日

 かつて、吉展ちゃん誘拐殺人事件という事件があったことを知っている。
 しかしながら、それがどのような事件かについてはほとんどを知らない。

 この本を読んで、どんな感想を言えばいいのか、適当な言葉が思いつかない。
 ただ、読んだことのない人には読んで欲しいと言いたい。

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Posted by ブクログ 2016年01月06日

ノンフィクションである。
最初は知らずに読んで、嫌に本編からかけ離れた、周辺人物の兄弟紹介や描写が入るので読みづらいなと思ったが、ノンフィクションと知ってからはそのような情報も貴重な資料だなと興味を持って読んだ。
戦後まもなく、オリンピックの前誘拐事件が起こり、容疑者を絞り込むも、犯人と断定が出来ず...続きを読む月日が経っていく、容疑者と警察の攻防の話。

通常、誘拐などの話は子を持つ親として心苦しい感想が多いが、本作品はノンフィクションだからか、淡々との説明調な事も有ってか、感想としては人間の本質的な文章に心惹かれた

以下抜粋
・(被害者の親が)宗教団体からの勧誘や占い師がどこどこの無縁物が祟っていると言うので、普段は気にもしなかったがお参りしようという気になったり、同時に神仏に頼っている人の多さと、人の弱さを見た。

・警察の本部にも5千件を越す、犯人名指しの情報が届くが、操作協力ではなく、明らかに誹謗中傷の類で、自営者は同業者を会社員は同僚、上司を困らせる目的で寄せられたモノが少なからず有った。

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Posted by ブクログ 2015年10月07日

某新聞の書評欄で、秀逸なノンフィクション作家として紹介されていたことがきっかけで手に取りました。
客観報道主義を標榜する日本の新聞記者らしい的確な状況説明文章ですが、被害者に寄り過ぎることもなく、ノンフィクションというよりはルポルタージュという印象を受けました。
記者魂ゆえか、相関関係や人物説明が必...続きを読む要以上に詳細で、本題にたどり着くまでに少し疲れてしまうかもしれません。しかし、それら背景部分を我慢して読み進めることによって、加害者の自責の念や改心、「真人間になって死んでいきます」という最期の言葉に重みが感じられます。
営利誘拐殺人という悪質極まりない個の事件に対し、犯罪者は社会的弱者であり、当時の高度経済成長期のひずみを象徴する事件であったという著者の主張も違和感なく受け入れることができました。

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