あらすじ
本当にほしいものがある人だけがたどり着ける、不思議なコンビニたそがれ堂。人生の終幕に差し掛かった周太郎さんが、街の人たちに幸せを贈る「サンタクロースの昇天」、取り壊しの決まった雑居ビルで占い師をしている女性が来し方をふりかえる「勇者のメロディ」など、他者の幸福を願って生きた人たちの顛末を描く。各話に「猫」が登場、機知にとんだユーモアで包みながら、生きることの意味を温かく伝える大人気シリーズ第8弾!
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Posted by ブクログ
何でだろう、いつも泣いてしまう。
設定はまごうことなき現代なのに、どこかノスタルジックで懐かしい。
もうね、猫の話がダメ。涙腺を直撃する…
あと、時計台の音楽が鳴り始めた所で涙腺崩壊した。しんどい。、
Posted by ブクログ
努力している人にプレゼントを贈り自分の幸せと重ねるお爺さん。
占いの仕事を通じ、出会った人々の幸せを願う女性。
家族みんなが笑顔で幸せな時間を過ごせるようにと願う仔猫。
ささやかな日常生活の中での小さな幸せ。
感謝する気持ち、人を思いやる純粋な心。
いつもこのシリーズで自分のあるべき姿を考えるヒントを頂いている。
また次のお話を読むことができたらと期待。
Posted by ブクログ
安定のコンビニたそがれ堂シリーズ第8巻
▼収録作品
「しっぽの短い麦わら猫は その1」
「サンタクロースの昇天」
「勇者のメロディ」
「しっぽの短い麦わら猫は その2」
コンビニたそがれ堂に向かう千春ちゃんが健気すぎてもう。たそがれ堂を目指すくだりは1巻の「あんず」を思い出した。入って早々、「うわあ、ちっちゃい」と言ったねここにムッとする千春ちゃんがかわいい。化け猫になれる薬がほしい、と言う千春ちゃんに対するねここの答えに「どうしてなの?」とびっくりして泣いちゃう辺りは何度も読み返した。切なすぎて。ねここがもう手にすることができないものを、千春ちゃんは持ってる。ねここにはそれを千春ちゃんが自分から手放そうとしているように見えたんだよね。
周太郎さんのお母さんが言っていた、人を信じられなくなることが辛かった、ってわかる。信じてた人に裏切られると、その分ダメージが大きいんだよね。だけど、名も知らぬ誰かのくれた一通の封筒で救われることもある。そういう優しいひともこの世界には確かにいるんだよなぁ。なかなか巡り会えないだけで。
「サンタクロースの昇天」が本当にハッピーエンドだったから、「勇者のメロディ」の展開には泣いた。一冊を通して、ノラさんもラッキーもおはぎさんも、飼い主のことが本当に好きなんだなあというのが伝わってきて。猫ってなんてやさしい生き物なんだろうね。
猫又にも化け猫にもなれなくても、千春ちゃんはちゃあんと家族を幸せにできるんだ。よかった。
それにしても、風早三郎さんどこ行ってるの~。仕入れが忙しいのかなあ。次こそは三郎さんに会いたいぞ~!笑
Posted by ブクログ
初めてここに感想を書くので、こんな感じでいいのか分かりませんが……。
かなり長々と書いてあります。
そして、ほとんどがネタバレです。
コンビニたそがれ堂シリーズは4年前くらいから読んでいて、猫たちの星座もとても楽しみにしていました。
……やはり、素敵なお話でした。
読めて良かったと、そう思いました。
「サンタクロースの昇天」
『サンタクロース活動』がとても楽しそうで、私もやってみたくなりました。そして、プレゼントを贈った相手の笑顔が見られたら、きっと幸せな気持ちになれるだろうな、とも思いました。
周太郎さんが魂の緒を引いて空を飛ぶところもとても気持ち良さそうで、読んでいて楽しくて。ある意味危険ではあるけれど、やってみたいと思ってしまったり。雪を降らせるのもやってみたくて。「サンタクロースの昇天」には「やってみたい」ばかりが詰まっていました。
そして「サンタクロースの昇天」で一番心に残ったのは、病院のシーンでした。
周太郎はとてもお人好しで、とっても優しくて。
もし私だったら、お守りをあのお母さんに渡せたのでしょうか……。
ラスト、ねここからのプレゼントには思わずクスリと笑ってしまいました。
「勇者のメロディ」
単純な毎日の繰り返しでも、その中に幸せがあるのだな、と思ったお話でした。
まさかユリエさんは「とっても美味しいおでん」と「熱いコーヒー」が「心の底から欲しい」と思ったからコンビニたそがれ堂にたどり着けたなんて。思わず笑ってしまいました。
そして、おでんを食べてお酒を飲みながら、ねこことおしゃべりするなんて羨ましい。私もおでん食べてコーヒーを飲みながらねこことお話ししたい……。
そして次のお客様へのおまけのプレゼントもやってみたいな、と思いました。
「勇者のメロディ」で一番印象に残ったのはその後。
地震が起こった後にユリエさんが占いのお客様を他の店の店員に押し付けて叫ぶシーンです。
どうしても、頭の中にその場面が、読んで思い浮かべた光景が離れないのでした。
応援してくれるかのように「勇者のメロディ」が流れたとはいえ、やはり勇気のいることだったのではないでしょうか。
今頃ユリエさんは、先代の占い師と一緒に積もりに積もった話をしているのでしょうか。コンビニたそがれ堂でおでんを食べた、なんて話をしているのかもしれません。
「しっぽの短い麦わら猫は」
読んで思ったのは——こんなこと書いたら他の方に怒られるかしら、とも一瞬思ったのですが——「桜風堂ものがたりみたいだな」でした。
私の中で桜風堂ものがたりは一言で言うと「ひとの手で紡ぐ奇跡の物語」です。
そして私の中で「しっぽの短い麦わら猫は」は、一言で言うと「猫が紡ぐ魔法の物語」でした。
……と考えると、『桜風堂ものがたり』に似ていると思ったのでした。たとえねここが千春に遠い未来を、その妖の力で見せたとしても。
「その1」で、千春が大好きな家族を守りたいから化け猫になりたい、幸せだからこそ家族を幸せにしたいと願ったのを見て、本当に千春は家族が大好きなのだと、そう感じました。でも、ねここの「妖怪は人間とは一緒に暮らせないから」という台詞で、何故かはっとさせられたような、そんな思いになりました。でも、千春はその瞬間、もっと……はっとさせられるのを通り越して、心を切り裂かれるような、そんな思いだっただろうな……と思ったりもして。
「その2」ではねここが千春に未来を見せていましたが、まさにその未来を見て、「これは猫が紡ぐ魔法の物語だ」と思ったのでした。
ねここの、大好きなみんなが幸せでありますようにと祈ってあげなさい、その方が化け猫になるよりみんなを幸せにできる、という言葉がとても印象的でした。
きっと自身が化け猫であるから、そしてかつてまだ猫だった頃、そして今も、家族のことを想い続けているからこそ言える言葉なのかもしれない、と。
最近風早三郎さんにあまり会っていない気がするのだけ、ちょっと寂しいです。
Posted by ブクログ
しっぽの短い麦わら猫は その1
千春
子猫。雀のように地味な毛色をしていて、てのひらに載るほど小さく痩せていて、しっぽの長さも普通の猫の半分くらいしかない。
サンタクロースの昇天
周太郎
子どもたちは巣立ち、妻も見送り、広い家で一人ひとり暮らし。
ノラ
周太郎のうちに住み着いてくれている半野良の猫。
樹里
周太郎の近所に住んでいる孫のひとり。獣医大生。
ラッキー
周太郎が子どもの頃に飼っていた白いペルシャ猫。
ピアニスト志望の苦学生
剽軽な顔で笑う娘。街の密かな人気者。
病院で泣いてる女性
子どもがとても重い病気。
勇者のメロディ
ユリエ
古いファッションビルの小さな占い屋の占い師。
おはぎさん
老いたぶち猫。
先代の占い師。
占い屋をユリエに引き継ぐ。
しっぽの短い麦わら猫は その2
千春
Posted by ブクログ
コンビニたそがれ堂第八弾。人生の終わりに差し掛かった周太郎さんの、街の人にそっと優しくする話素敵だった。自分のことはさておき、他人に優しい、そんな心に余裕がある人々で溢れる世の中であってほしい。「サンタクロースの昇天」街の占い師ユリエさんのひらめきでたくさんの人々が助かった「勇者のメロディ」短編二話とも猫が出てきた。ほんとにイエネコというのは人が喜んでいるとともに喜び、落ち込んでいるとそばに寄り添い慰めてくれるかわいい生き物だ。