あらすじ
「僕の不死もそのバグの一つかもしれないと?」
トウカに襲いかかった謎の男・ナガツキは、不死の身体をもつ人物だった。トウカなら自分を殺してくれると思ったのにと落胆するナガツキに、トウカは、この世界で死を得るための助言をして……。
自覚なき死者の生きる国“終端街”へようこそ――。
結月さくらが誘う、想い絡み合うヒューマン・ファンタジー。
(第4話収録)
事故で命を落としたトアが出会ったのは、昇降機守を自称するトウカ。
死者の乗降場でたくさんの人を見送ったという彼は「自分の背負ってきたものと向き合えなかった者は人ではなくなる」とトアに話すが…。
トアの後悔に寄り添うトウカの言葉に胸を打たれました。
そんなトウカが探し続けている友人はどんな人物なのか、トウカにとってどのような存在だったのか…。
トウカの言葉の節々からその友人への尊敬と執着を感じ、ますます気になってしまいます。
そして、昇降機が"生える"不思議な世界観に思わず惹きこまれました。
死者の国を舞台に、どこか冷たい雰囲気がありながらも、そこで生きる人たちの温かさも描かれており、何度でも読み返したくなる作品です!
感情タグBEST3
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ネジの飛んだ後輩と歪な世界
世界の歪さ、歪みを、改めて目の当たりにする一話。トウカとナガツキのやり取りの中で、「死ねない」ことを示すときにナガツキがトウカの腕を持って刺させるシーンが、トウカの気分もそれはげんなりするよね……としんなりしつつ読んでいる側としては胸高鳴りました。
歪んだ男…良いよね…。
まろい真円の中にナイフを入れるととろりと割れ出るような、エッグベネディクトのような一話でした。
匿名
ペットのイトマキグモちゃん
ペットのイトマキグモちゃん、私もほしい……!と思ってしまいました。破れた服を縫ってくれるなんて最高じゃないですか。背中に糸巻き背負ってるの可愛いですね!終端街で生きる生物の生態とは一体……。終端街(死者の街)と生きている人の世界では生き物も違うのか……それはそうか……と、新しい発見でした。
今のナガツキさん、ピアスばちばちに空いているのに、飛び降りた時に右耳に穴がないので、不死だと気付いた(もしくは気付く前)に傷がつくかどうか試したのかな……まろやかな自傷だったのかな、と勝手に想像して切なくなりました。
それはそれとして、ピアスのデザインめちゃくちゃ好きです。
「どれだけか細くても 希望はないよりあったほうがいい」が言うのがトウカさんの優しさで、その優しさに全力で甘えていくナガツキさん。ストーキングしたり襲い掛かったりするけど、ナガツキさんもしや結構ノリが良いし素直で善い子だな!?と思ってしまいました。かわいい人ですね。
トウカさんとナガツキさんの共通点って、トウカさんは「自分だけ終端街へ送られてしまった(追い出された)」、ナガツキさんは「自分だけ死ねなかった」という、二人とも「取り残された側」であるということで……その二人が協力者として先輩後輩しているのが切ないですね。
多分二人とも、本来一緒にいたかった人じゃない人と一緒にいるしかなくて、でもそれが何故か上手くいっていて(事態の変化や好機のきっかけになっている)……という、人間関係の切なさを内包していると思います。
このコンビがこの先どうなっていくのかも楽しみです。