海猫沢めろんのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
8篇の物語が収められている。
今回の物語に特徴的なのは、「小説とは何か」という疑問だ。
「青と赤の物語」では、物語が禁止された世界を描いている。
物語があるから悪いことをする人がいる、そんな考えを持ったエライヒトたちが物語を禁じてしまったのだ。
全く因果関係はないのに、AだからBと決めつけてしまったのだ。
物語は、文学は、何の役にも立たない。
本当にそうだろうか。
物語は時に残酷なものも、悲しいものも、苦しいものもあり、そんな世界を目にするのは時には恐ろしい。
けれども、そんな世界があるから救われる人もいる。
物語に書いてあることは、どんな物語にせよ、誰かから、読者に、あなたに、向けたメッセージだからだ。
困難な世界に立ち向かったり、悲しみと対峙したり、失敗し、絶望することもあるかもしれないが、それだけが物語の価値ではないのだ。
「ゴールデンアスク」は物語を作る側、つまり作家の姿が描かれている。
よく、登場人物たちが勝手に動きだす、なんて言うけれどきっとこんな感じに違いない。
作家が言う言葉にイラつきながらもいちいち納得させられる。
本を読め、というのは大人が安心したいだけ、なんて。
「あかがね色の本」も同じく作家の側からの物語。
言葉とは難しいもの。
人との関係も難しいもの。
だからこそ、言葉を発し、相手に伝えること、そしてその言葉を信じることは尊い。
あかがね色の本。
きっとこの本はこうしてたくさんの人たちに影響を与えた。
今までも、きっとこれからも。
世界を共有する、それは、人と人とがつながること。
その結晶の一つがが、あかがね色の本だったのだ。 -
Posted by ブクログ
タイトルの通り、小説にまつわるアンソロジー。
ラノベっぽい軽さのものが多くて中高生向けかな。
それでも小説の存在意義を説くような話が読めてなんだか嬉しかったです。
本を読んで驚いたり、感動したり、幸せな気持ちになったり、そういう純粋に読書を楽しんでいた頃の初々しさを思い出しました。
「青と赤の物語」 加藤千恵
「あかがね色の本」 千早 茜
「新刊小説の滅亡」 藤谷 治
この3つが好きです。
私の人生、何度小説に救われてきたんだろう。
探さなくてもいつだって必要なときは必ず寄り添ってくれてた。
その経験はその本とともに、何年経っても何が変容しても移ろわなくて、私にとって本当にかけがえのないものです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ生物学、興味はあれど普段なかなか接する事の無い分野なのですが、読みやすそうだったので購入。海猫沢めろんさんの「死にたくない、不老不死になりたい!」という希望から、八代教授とiPS細胞やES細胞の研究で病気、ひいては死を克服できる未来は来るのか、と語り合うという一冊です。……読んでいる最中は「なるほどー」と思うのに、ちょっと時間が経つとすぐまたイメージし辛くなってしまう、そんな自分の脳を呪いたい。
とはいえ、知らなかった事も色々出てきて楽しめました。海外ではガレージやキッチン、クローゼットなど、自宅で研究をしている在野の科学者達がいて、「バイオパンク-DIY科学者たちのDNAハック!-」という本もあるとは。細菌は「生物」だけれどウイルスは「生物」とは定義できない、などもそう。
対談をまとめたものなので、話があちこちにいってしまいiPS細胞についての本、としては纏まりがなくなっていますが、海猫沢さんが引き合いに出してくる映画やSF小説なども読者に興味深く思わせる一助になっているので、生物学への興味のとっかかりとしては良かったかな、と思います。個人的には人間は「ハード」と「データ」で成り立っていて、「ハード(生身の本人)」に会う事が「データ」を同期することだ、でも「データ」だけでもその人はある意味「生き続ける」という本の要旨とは違うひとつの結論に共感しました。