青柳いづみこのレビュー一覧

  • 阿佐ヶ谷アタリデ大ザケノンダ

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    荻窪と阿佐ヶ谷はほぼ同じ生活圏。中央線の駅間の距離は1.6キロ。戦前・戦中・戦後にこの地域にいた文士たちは、ある時は荻窪、ある時は阿佐ヶ谷に集い、酒を飲み、将棋をさした。井伏鱒二はその様子を『荻窪風土記』として書き記した。
    青柳いづみこはその向こうを張って、阿佐ヶ谷側に立ってこの界隈の今昔を眺める。「阿佐ヶ谷アタリデ大ザケノンダ」は、井伏の漢詩訳の有名なワンフレーズで、これを書名にしたのは井伏へのオマージュ。
    いづみこの祖父は『荻窪風土記』に頻繁に登場する青柳瑞穂。「文学窶れ」の章には、骨董に凝ったその祖父のこと、そして『荻窪風土記』のことが書いてある。ほかの章では、ピアニストという職業柄、知

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    2025年06月10日
  • ショパン・コンクール見聞録 革命を起こした若きピアニストたち

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    > 三六〇度曲げてもポールが折れない

    > 我々のころは、知性と音楽性は相反するものととらえられており

    納得していいものか(苦笑)

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    2022年12月29日
  • ショパン・コンクール見聞録 革命を起こした若きピアニストたち

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    リアルタイムというほどではないけど配信でコンクールを追っかけ、さらにNHKのドキュメンタリーでまとめて情報も得ていた身としては、当時のことを思い出したり、気がついていなかったことを知ったりできて非常に面白く読んだ。
    配信の功罪ということはもちろんあると思うのだが、でも実際、コンサートの場で聞くことができる人数というのは限られているのだから、配信でもわかる魅力があるというのはこの時代に成功していく上で必須になるかもしれない。

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    2022年11月14日
  • ヴィンテージ・ピアニストの魅力

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    安心の青柳印、ではあるんだけど、ちょっと引っ掛かる文章があった。

    『語りは柳家花緑。名咄家五代目柳家小さんの孫にあたる。』

    「名咄家」?
    名脇役はいても、名主役はいないだろう。

    まぁ、なにがしか、小さん師匠に対するネガティヴな評価があるのかもしらんな、と思うところ。

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    2022年10月15日
  • ドビュッシーとの散歩

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    堅苦しくないクラシックを堅苦しくない言葉で語ってくれる。
    フランス文学とギリシャ神話のくだりはちんぷんかんぷんだったけど、曲を聴きながら楽しく読めた。

    宝物に仲間入りした一冊。

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    2021年12月17日
  • 六本指のゴルトベルク

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    ピアノを弾くものとしての「あるある」が散りばめられたエッセイだった。ミスタッチを許さない日本人の話がすごく頷ける。私の大好きなル・サージュはミスタッチが比較的多いけど、音楽的なミスタッチだからいいんだよね。音楽的で音色が素晴らしいもの。ああなりたいけど、やっぱり、気にしちゃう。あとは、舞台に上がって、1つミスすると、これでもう完璧な演奏はできないのだからと、緊張が解けてリラックスできるってのも分かる気がした笑 文学と音楽を絡めたエッセイだけど、あまり文学の方は気にしませんでした。

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    2013年02月06日
  • 六本指のゴルトベルク

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    ネタバレ

    まさかエルロイがでてくるとは思わなかった。クラシックっつうと刑事や探偵というよりスパイな気もするけど、やっぱり古典か純文学のがしっくりする。「ピアニスト」はやっぱり原作よんどいたほうがいい気がしてきた(今更)。あとは「田園交響楽」と「ある人生の音楽」あたりが読みたくなった。

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    2012年10月25日
  • パリの音楽サロン ベルエポックから狂乱の時代まで

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    19世紀パリの文化を牽引していたのは、サロンであった。サロンの女主人は芸術家を支援し、パリの芸術文化は世界の頂点を極めるのである。

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    2023年12月05日
  • ショパン・コンクール見聞録 革命を起こした若きピアニストたち

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    2021年に行われたショパン・コンクール。
    反田さんが2位、小林さんが4位という快挙に沸いていた記憶。
    この時、小林愛実さんと牛田智大くんは知っていた。
    悲しいかな角野さんも出ていたのは知らなかったのである・・・
    ネット配信もされ話題となっていたのに。
    頂点に立つには並々ならぬ努力だけではなく、いろんな角度から研究し、探求していかないといけないのか・・・
    ここは1つの通過点。ここからまたスタートなんですね。
    出場された方々はどんどん活躍されてますね。
    やっぱり生で聴いてみたい!

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    2023年10月27日
  • ショパン・コンクール見聞録 革命を起こした若きピアニストたち

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    ショパンコンクールが開催された2021年当時の感激を思い出しながら読めた。

    聴いてるだけの自分が、緊張で吐きそうになったくらいなので、ピアニストたちの緊張はどれほどのものか想像するにあまりある。

    2025年は日本から数多の才能溢れる若手(あの人もあの人もあの人もあの人も…)がエントリーするはず。想像するだけでこっちが緊張してくる。

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    2023年11月05日
  • ショパン・コンクール見聞録 革命を起こした若きピアニストたち

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    ショパン国際コンクールの論評を行ってきた青柳いずみこ氏による参加者紹介。直近の2021年度は反田恭平が2位、小林愛実が4位という日本人にとって50年ぶりとなる好成績を収めた。専門的な表現で奏者の論評が続くので門外漢にはややつらいが、ピリオド楽器とその専門コンテストの存在、DVD審査の良し悪しなど舞台裏がわかるエピソード紹介もあり、楽しく読める解説となっている。

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    2023年04月03日
  • ショパン・コンクール見聞録 革命を起こした若きピアニストたち

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    全く無知のわたしは、あと2回くらい繰り返さないと理解できないだろうけれど、審査の基準を作るのがそもそも難しいということはわかった。
    それを審査員・コンテスタントが共有しないといけないのだから、準備は大変そうだ。

    客席で聴くのと、オンラインで聴く音も相当違いそうだ。
    カティンさんがピアノのすぐ近くのマイクで拾う音は、広がる前の音だから、客席で聴こえるものとは確実に違うとインタビューで言っていたことを思い出す。

    こちらとしてはただ楽しむのみ。
    全ピアニストが実力を出し切れますようにと祈る。

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    2023年01月21日
  • ショパン・コンクール 最高峰の舞台を読み解く

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    ショパン国際ピアノコンクール2021の予備予選の配信を視聴しながら、どんな基準でコンテスタントが選ばれていくのか知りたくて読んだ。

    この本は、主に前回の2015年のコンクールについて書かれたものだが、コンクールの歴史的背景から、ショパンの曲についての解釈、様々なピアニストの特性等、多角的な方面から描かれていて面白い。登場したピアニストの映像をYouTubeで観ながら、理解を深めることもできた。
    また、この本で挙げられたコンテスタントが再度2021年にも登場し、予選を通過していたりして、秋の本選もますます楽しめそう。

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    2021年07月28日
  • ピアニストたちの祝祭 唯一無二の時間を求めて

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    ピアニストから見た演奏会にまつわるエッセイ。

     ある時は演奏者で、ある時は観客で、と立場がかわると見方も聞き方も変わる。変わるけれど、変わらない部分もあってそれが新鮮。
     とはいえ、半ば仕事でコンサートを聞いているのだろうに、いつでも楽しんでいるのがすごい。
     
     本当に音楽が、ピアノが好きなんだな、っていうのが伝わってくる。

     ああ、そうか。
     これは、青柳いづみこという無垢を楽しむ本なのか、と思い至る。

     素敵だった。

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    2019年08月04日
  • ショパン・コンクール 最高峰の舞台を読み解く

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    来年は5年に1回のショパン・コンクールの年。
    18回目になるらしい。

    演奏家でもあり、ドビュッシーの研究者でもある筆者が、コンクール「公式ジャーナリスト」として記録した前回のコンクールの記録である。

    ショパンらしさとは何かを巡って、揺れ続ける審査基準。
    楽譜に忠実派と、ロマンティックな弾き方か。
    ルバートは左手は一定のリズムを刻み続けるのか、それとも「右と左を交互に」ずらすのか。
    さまざまな対立軸があるようだ。
    応募者の増加で、審査方法もルールも変更の連続。
    審査員やコンテスタントをはじめ、多くの関係者のインタビューなど、多彩な情報源からそういった矛盾があぶりだされていく。

    本来言語とは

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    2019年04月06日
  • ショパン・コンクール 最高峰の舞台を読み解く

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    ショパンコンクールについて、2015年のDVD審査から本選までを中心に、ピアニストである著者が主観を交えてレポート。審査員やコンテスタントに多数インタビューしており、様々な考え方が見えてきて面白い。
    森のピアノや蜜蜂と遠雷のようなファンタジーの有無ではなく、譜面に忠実か自由な発想も認めるか、というふたつの潮流のぶつかりがあることが分かった。

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    2019年03月08日
  • ショパン・コンクール 最高峰の舞台を読み解く

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    YouTubeで ショパンコンクールの予選から公開してるので 照らし合わせて愉しむのも一興。
    とにかく この本は音楽初心者には難しいけどそれ以上に面白く刺激的だった。

    論文ではない

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    2018年10月04日
  • ショパン・コンクール 最高峰の舞台を読み解く

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    2015年に開催された第17回ショパン・コンクールの模様をレポートした作品。コンクールは書類とDVDによる事前審査から始まり、予備予選、一次予選、二次予選、三次予選を経てグランドファイナルへと進む。

    ちなみに予備予選出場158名のうち、グランドファイナルに残るのは10名である。著者の青柳氏は予備予選からワルシャワ入りし、注目する参加者一人一人について、臨場感あふれる詳細なレポートを行っている、他の国際コンクール同様に今大会もアジア勢の活躍が目立つ印象を受けた。

    青柳氏が指摘するコンクールの難しさの中に、審査の基準が挙げられている。「楽譜に忠実に」「ショパンらしい演奏」「演奏者の個性」という

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    2016年12月04日
  • 六本指のゴルトベルク

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    芸術家の芸術家たる所以にいい意味で圧倒されました。
    ピアニストが、私達?一般人の感覚とはいかにかけ離れれた世界感の中で生きていることか。
    それは、あなたの隣に座っているピアニストの見ている景色が眼の前の街並ではなく、宇宙其の物という位の隔たりなのです。
    異邦人を読むような、不可思議を味わいたい方は是非読んでみて下さい。

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    2013年09月01日
  • 六本指のゴルトベルク

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     本に出てくるクラッシック(ちょっとジャズもあるけど)をピアニストの観点から読み説くエッセイ。
     タイトルの「六本指のゴルドベルク」は、トマス・ハリスの「羊たちの沈黙」のレクター博士のことから。

     青柳氏は、音楽家である自分と、文筆家である自分が、常に両立してるだなぁって思って読んだ。
     「もの書きピアニストはお尻が痛い」では、両者の間をいったりきたりしてる感じがあったんだけど、このエッセイは完全に混在している。
     エッセイストとして、稀有な方なのだろうと感服いたしました。

     にしても、タイトルで読みましたね、思われるものがちょいちょいあって、微笑ましいというか同病相哀れむというか…。
     

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    2012年10月08日