あらすじ
東京・阿佐ヶ谷の街の記憶と現在の姿を描く 東京・阿佐谷で育ちピアニスト兼文筆家として知られるようになった著者。井伏鱒二や太宰治も親しんだ「文士の町」としての阿佐谷の記憶と、いまも暮らすこの町の魅力を徒然に綴る。
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Posted by ブクログ
2020年刊のエッセイ集。もとは「東京新聞」連載。勢いが感じられるのは、その連載を下敷きに、一気に書き下ろしたからか。
荻窪と阿佐ヶ谷、JRの駅間は1.6キロ、ほぼ同じ生活圏。戦前・戦中・戦後にこの地域にいた文士たちは、ある時は荻窪、ある時は阿佐ヶ谷に集い、酒を飲み、将棋をさした。井伏鱒二はその様子を『荻窪風土記』に書き記した。
青柳いづみこはその向こうを張って、阿佐ヶ谷側に立ってこの界隈の今昔を眺める。「阿佐ヶ谷アタリデ大ザケノンダ」は、井伏の漢詩訳の有名なワンフレーズ。書名はその井伏へのオマージュ。
いづみこの祖父は、『荻窪風土記』に頻繁に登場するフランス文学者の青柳瑞穂。「文学窶れ」の章には、骨董に凝ったその祖父のこと、そして『荻窪風土記』のことが書いてある。ピアニストという職業柄、ほかの章には、知友の音楽家たちが登場。阿佐ヶ谷の居酒屋やライヴ事情も紹介している。
「女たちの阿佐ヶ谷会」の章は、女性の視点による阿佐ヶ谷風土記、なかでも太宰治への言及がおもしろい。なお、阿佐ヶ谷姉妹は登場しない。
(p.s. 毎年10月末に開催される「阿佐ヶ谷ジャズストリート」。阿佐ヶ谷はかつてオウム真理教の本部があったところ。そうか、1995年から始まったジャズストリートは、最初はその災厄を祓うためだったか。)