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東京・阿佐ヶ谷の街の記憶と現在の姿を描く 東京・阿佐谷で育ちピアニスト兼文筆家として知られるようになった著者。井伏鱒二や太宰治も親しんだ「文士の町」としての阿佐谷の記憶と、いまも暮らすこの町の魅力を徒然に綴る。
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Posted by ブクログ
荻窪と阿佐ヶ谷はほぼ同じ生活圏。中央線の駅間の距離は1.6キロ。戦前・戦中・戦後にこの地域にいた文士たちは、ある時は荻窪、ある時は阿佐ヶ谷に集い、酒を飲み、将棋をさした。井伏鱒二はその様子を『荻窪風土記』として書き記した。 青柳いづみこはその向こうを張って、阿佐ヶ谷側に立ってこの界隈の今昔を眺める。...続きを読む「阿佐ヶ谷アタリデ大ザケノンダ」は、井伏の漢詩訳の有名なワンフレーズで、これを書名にしたのは井伏へのオマージュ。 いづみこの祖父は『荻窪風土記』に頻繁に登場する青柳瑞穂。「文学窶れ」の章には、骨董に凝ったその祖父のこと、そして『荻窪風土記』のことが書いてある。ほかの章では、ピアニストという職業柄、知友の音楽家たちが多く登場。阿佐ヶ谷の居酒屋やライヴ事情も紹介している。 「女たちの阿佐ヶ谷会」の章は、女性の視点による阿佐ヶ谷風土記、とくに太宰治への言及がおもしろい。(なお、阿佐ヶ谷姉妹は登場しない。) もとは「東京新聞」連載の「私の東京物語」。勢いが感じられるのは、その連載を下書きにして、一気に書き下ろしたからか。
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