青柳いづみこのレビュー一覧
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ヴィンテージピアノの話かと思ったら、ヴィンテージピアニストの話。大半が1945年以前に生まれたピアニスト、70歳を過ぎてなお公演を行う、レジェンド40人の、2020年前後の演奏の記録が多い。
ピアニストの経歴から最新の演奏の感想まで、多彩な筆致でその違いを描き出しているのは、ピアニスト兼文筆家ならではか。
コンクールのたびに天才が現れるが、そこからさらに生涯をかけ活躍するピアニストはそれほど多くない。そして、そんな大家でも東京公演と言っても思ったより小さなホールでの公演だったりしたことに驚いた。
出版から更に数年が経ち、その後、引退した人も鬼籍に入った人もいる。今のうちに少しでも足を運んでみ -
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荻窪と阿佐ヶ谷はほぼ同じ生活圏。中央線の駅間の距離は1.6キロ。戦前・戦中・戦後にこの地域にいた文士たちは、ある時は荻窪、ある時は阿佐ヶ谷に集い、酒を飲み、将棋をさした。井伏鱒二はその様子を『荻窪風土記』として書き記した。
青柳いづみこはその向こうを張って、阿佐ヶ谷側に立ってこの界隈の今昔を眺める。「阿佐ヶ谷アタリデ大ザケノンダ」は、井伏の漢詩訳の有名なワンフレーズで、これを書名にしたのは井伏へのオマージュ。
いづみこの祖父は『荻窪風土記』に頻繁に登場する青柳瑞穂。「文学窶れ」の章には、骨董に凝ったその祖父のこと、そして『荻窪風土記』のことが書いてある。ほかの章では、ピアニストという職業柄、知 -
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ネタバレ5年に1度行われ、世界三大音楽コンクールで最も権威があるショパン・コンクール。
若きピアニストの登竜門として有名なその第18回大会は、日本そして世界中でかつてない注目を集めた。
デビュー以来 “一番チケットが取れないピアニスト" 反田恭平が日本人として51年ぶりに2位、
前回大会も活躍した小林愛実が4位とダブル入賞をはたし、YouTuberとしても活躍する角野隼斗、
進藤実優、牛田智大、沢田蒼梧らの日本勢も大健闘した。
さらに、優勝したブルース・リウ、同率2位のガジェヴ、3位のガルシア・ガルシアなど、予選・本選を戦ったピアニストたちは皆レベルが高く個性的で、彼らは既存の価値観を覆すよ -
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来年は5年に1回のショパン・コンクールの年。
18回目になるらしい。
演奏家でもあり、ドビュッシーの研究者でもある筆者が、コンクール「公式ジャーナリスト」として記録した前回のコンクールの記録である。
ショパンらしさとは何かを巡って、揺れ続ける審査基準。
楽譜に忠実派と、ロマンティックな弾き方か。
ルバートは左手は一定のリズムを刻み続けるのか、それとも「右と左を交互に」ずらすのか。
さまざまな対立軸があるようだ。
応募者の増加で、審査方法もルールも変更の連続。
審査員やコンテスタントをはじめ、多くの関係者のインタビューなど、多彩な情報源からそういった矛盾があぶりだされていく。
本来言語とは -
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2015年に開催された第17回ショパン・コンクールの模様をレポートした作品。コンクールは書類とDVDによる事前審査から始まり、予備予選、一次予選、二次予選、三次予選を経てグランドファイナルへと進む。
ちなみに予備予選出場158名のうち、グランドファイナルに残るのは10名である。著者の青柳氏は予備予選からワルシャワ入りし、注目する参加者一人一人について、臨場感あふれる詳細なレポートを行っている、他の国際コンクール同様に今大会もアジア勢の活躍が目立つ印象を受けた。
青柳氏が指摘するコンクールの難しさの中に、審査の基準が挙げられている。「楽譜に忠実に」「ショパンらしい演奏」「演奏者の個性」という