松永和紀のレビュー一覧
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戸田山和久さんの『「科学的思考」のレッスン』を読んだ直後に、本書を読んだ。
世に出た順序としては逆行することになったけれど。
どうしても戸田山本がこの本を読むときのガイドラインになってしまった感がある。
本書で菊池誠さんは、リスク評価の難しさの指摘した上で、理屈を説明することが安心につながらないと言っている。理屈と気持ちの折り合いをつけることが大事だと。
戸田山本では、この点について、「安心」も筋道を通して議論すべき対象とすべきだという立場をとっている。
この点について、私は戸田山説に賛同したくなってしまうのだが、それはやはり先に読んでしまったため、なのだろうか。
正直、今の自分は科学的思考力 -
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学校で教わる理科のイメージとは異なり、科学の問題に確定した答えがあるとは限らない。科学にも不確かな面があり、そのことが科学不信をもたらすことがあるという。しかし、不確かな面に切り込んでいくでいくためにも科学的思考の訓練が必要となるのは間違いない。科学不信を取り除くには専門家と一般市民とが双方的に対話する場を作っていくことが重要だと指摘している。
安全性の基準は必ずしも客観的かつ不変的なものでなく、当事者のおかれた状況などによって異なってしかるべしという記述になるほどと思った。
5人の著者による解説を足し合わせたものだが、それぞれ内容があってよい。 -
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某ブログで紹介されていた同著者の『食の安全と環境 「気分のエコ」にはだまされない』を読んでさらにフォローしたくなったので購入。興味深い話題がてんこ盛り、という印象を持ちました。いかに自分が無自覚無批判にテレビの情報番組を見ていたか、また見させられやすいか、ということを思い知らされました。
テレビ局や番組制作会社・新聞社・出版社の従業員、科学ライター、研究者などがそれぞれメシを喰うために行う活動の数々から生み出される情報のひずみ。割を食うのはそれを鵜呑みにする情報の受け手、生活者です。猥雑な現代社会において情報の発信者すべてに真摯さを求めても詮無いこと、やはり受け手の側もある程度までは賢くならな -
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ネタバレ健康情報番組のウソ=白インゲンダイエット、納豆ダイエット、みのもんた症候群、ココアのポリフェノール、粉寒天で便秘など。
一日の許容量は、動物実験ででた無毒量を 1/100した数字。
PPMは、1000万分の1の意味。
DDTは、マラリア蚊の退治に効くため、一部の国では許可されている。量と使い方の問題。
シナモンはカプセルにいれて飲めば血糖値降下作用とともに、毒性物質も大量に取ることになる。量の問題。
実験は培養細胞で行われるが、人体に効果があるとはかぎらない。
食物繊維と大腸がんの相関関係はないが極端に少なければリスクが上がるだけ。
内分泌攪乱化学物質を環境ホルモンと呼んだ。不安をあおれば研究 -
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【まったくマッドではない】
「ゲノム編集」と「遺伝子組換え」が全然異なることを理解できました。
(後半は政治的な話で続いたので・・・ですが)
何となく遺伝子を人為的に操作することは危険に感じていましたが、実は昔から普通に行われていることで、あらためてそこだけをクローズアップすると違和感を感じるというものです。絶対値である数値を見れば普通だねというレベルです。
東日本大震災で原発から放射能が洩れましたが、その放射能レベルより米ソが核実験を行っていた冷戦時代の方が、地球上に存在する放射能レベルが圧倒的に高かったという事実があります。
数値で見れば一目瞭然ですが、人は感情的なものに流されてしまう -
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本書は、TBSの「白いんげんダイエット」事件や記憶に新しい関西テレビ「あるある大辞典?」の「納豆ダイエット」捏造事件を契機に、メディアに氾濫する、主に”食”にまつわる健康情報の非科学性やいい加減さを暴き、メディアが何ゆえそのような”ニセ科学”を競って報道したがるのか、”メディア・バイアス”が生み出される要因をあぶり出します。
著者は、農業・食品・環境などを専門とするフリーランスの科学ライターで、自身以前は毎日新聞社の記者としてメディア側に身を置く立場だったという経歴の持ち主です(名前から男性だと思ってましたが、”わき”さんという女性でした)。
こういった科学的論拠に欠ける健康情報の喧伝には、 -
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「あやしい健康情報とニセ科学」という副題の付けられた本書では、虚偽あるいは意図的に捏造された健康情報を垂れ流し報道するメディアの姿勢が断罪され、真摯に科学に携わる者が思わず膝を打つような内容となっている。「おもいッきりイイTV」に代表される健康関連番組が「○○は△△に効く」といった健康情報を流し、それに一般視聴者が扇動される現象を「みのもんた症候群」と呼ぶらしい。「発掘!あるある大辞典Ⅱ」の白インゲンマメダイエットなどこの種の番組が皮肉にも健康被害を引き起こし社会問題となったことは記憶に新しい。科学は、白か黒かというような単純なものではなく、例えば薬の世界でいえば1錠飲むのと2錠飲むのとで効 -
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武田某とい大学教授がいる。メディアに出ることも多いので、
知っている人も多いことだろう。
地球温暖化、資源保護、環境ホルモン等の有害化学物質等々。
その時々の話題に必ず首を突っ込み、オリジナリティ溢れる
理論を展開している人だ。
きちんとした裏付けがあるなら信用もしようが、そうでないところ
が大問題。福島第一原発事故後に放射能問題が持ち上がれば、
案の定、便乗した。人の不幸は金儲けのネタか。
さて、この武田某もそうだがテレビや新聞、雑誌には各種健康
情報が溢れている。人間誰でも健康でいたい。だから、病気予防
やダイエットなどを取り上げれば一定数の視聴率や、読者を確保
出来る。
一時期、