あらすじ
世間に氾濫するトンデモ科学報道。センセーショナリズム、記者の思い込み、捏造、それを利用する企業や市民団体……。メディア・バイアスの構造を解き明かし、科学情報の真贋の見極め方、リスク評価の視点を解説する。(光文社新書)【光文社新書】
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Posted by ブクログ
「健康食品」と称されるものの中に、有意な効果があるものがあるのだろうか? と思っている。もちろん、嗜好品としての価値はあるだろうけれど。
本書には出てこないが、ヨーグルトや乳酸菌飲料は、原料となった乳、糖を同量摂るのと違う「効果」を持つのだろうか?
本書は、近年メディアで取り上げられた根拠不明な「健康情報」を、定量的に評価してくれる。
そして、かつて新聞記者として十年間この種の活動を行なっていた経験から、そうなる仕組を教えてくれるところが、大変よい。
以下、評者が教えられたこと:
・DDT はマラリアを防ぐベネフィットが大きく、2006/9 に WHO が推奨した
・PCB の適切な分解処理は、カネミ油症事件が起きた北九州市が最初に事業を具体化した
・紅茶には血管拡張作用があるが、ミルクを入れるとその効果は阻害される
・「環境ホルモン」が野生生物に影響を与えている可能性を指摘した本の原題には “A Scientific Detective Story” の副題が付いていたが、和訳ではそれが消されていた。
また、日本では「環境ホルモン」は研究費を増やすために、政府と研究者とが煽った可能性が高い
環境ホルモンに限らないが、報道関係者の通常の行動は、「あの話は怪しい」と思ったら、否定に回るのではなく単に足を洗い、「そう主張する研究者がいるという『事実』を報道したのであって、自分も被害者だと言う」である
・「悪いニュース」だけが報道する価値のあるニュースである
・食品添加物の摂取量が報じられることがあるが、その値は総摂取量であり、もともと食品に含まれている量の方がはるかに多いことが、ままある。
言われなくても知っていたのは、マイナスイオン みのもんた
驚いたのは、多くの面で信頼できる医師が、「ブルーベリーが目によい」説を信じていたこと。
やはり、「健康食品」や「サプリメント」には近付かないのがよさそうだ。
Posted by ブクログ
メディアが情報をどう扱うか、興味深いものがありました。話題になれば良い、間違っていても責任を追及されない形で掲載する、などなど。
20年前に流行った「買ってはいけない」の著者がまだ現役でいられるということは、それなりのマーケットがあってだまされる人が継続的に存在するんでしょうね。
この本が書かれたのは東日本大震災の前だけど、震災後のメディアおよび一部の急進的な方々の評価の参考になります。
Posted by ブクログ
特に健康系や偽科学と呼ばれるものに関してのメディアの影響力とその怖さについて記述した1冊。
メディアがバイアスが掛かっているのは周知だけど、実際にどの様にねつ造され、影響力を及ぼすのかというのは中々わからないので、非常に勉強になった。
Posted by ブクログ
とても面白かったとともに「メディアって、記者って・・・」と思った。特に4マスの記者というのはなんと楽に仕事を済ませることができるか、というのを常々感じていたのでこういう状況なのかというのがわかったのと医療だけでなく各方面でこういう仕事のやりかたなのだと知ってがっくりした。畝山智香子さんのブログはチェックしようと思う。
Posted by ブクログ
結局、「◯◯を食べたら△△!!」系の話は全て疑うべきだということだ。
家庭科の授業で習うように栄養素について考慮し、様々な品目を適切に摂取する、地道な方法しかないのだ。
残留農薬が危ない!とか、食品添加物は危ない!とかの報道で不安になってしまうのは、薬害エイズ問題や、水俣病などの公害問題が頭にあって、厚生労働省への漠然とした不信感があるためだ。
しかし、不安を煽るマスコミの科学的知識は、それとは比べ物にならないほど酷い。
「テレビや新聞が言っているからある程度は信頼出来る内容なんだろう」なんて考えてはいけない。
とんでもないウソの実験結果を大々的に報道し、後日誤りが判明しても、訂正、謝罪が行われることなど、ほとんど無い。
マスコミのセンセーショナリズムに歯止めをかけるのは難しい。
科学者たちは、素人たちが馬鹿な内容で盛り上がっていても、それに口出しするのは科学者の仕事ではない、と考えているので、間違った説が民間にしっかり定着してしまうことは日常茶飯事のようだ。
(最近はあまりの酷さに科学者たちも考えを変えつつあるそうだが)
「水からの伝言」の話は全く初耳だったが、この荒唐無稽な話が筆者の娘さんの小学校で、事実として授業で取り上げられたというのには本当に驚いた。
臨死!江古田ちゃんの四コマを思い出した。
猛禽(狙った獲物は逃さないかわい子ちゃん全般を指す)が、「あったかいお布団が大好きなの~」、「可愛いおばあちゃんになるのが夢なの~」などと発言、男性陣は「かわいいこと言う~」と喜ぶが、江古田ちゃんと友人Mは「誰だってそうだよ」と陰で毒づく、というもの。
当たり前のことでも、偉い学者さんが言うと、私たちは有難がってしまう。
だから、水に罵声を浴びせると云々という話を信じてしまう、というか、私たちはこの「非常に分かりやすい話」を信じたがっているのだ。
それにしても、新聞では政治部以外が政治のことを記事にするのはほぼ不可能らしいのに、科学に詳しくない社会部などが食品に関する記事を書くのは何なのだろうか。
国民に迷惑だからやめてもらいたい。
Posted by ブクログ
ドライヤーのマイナスイオンに科学的根拠がないと知らない、全ての人にお勧めします。私も知りませんでしたが。
あやしい健康情報とニセ科学、という副題の通りに、現代社会に氾濫する「身体に良い・悪い」に始まる常識や噂の検証を通して、マスコミとの付き合い方や怪しい情報の見極め方が分かる本です。
不確かな情報に振り回されて、無駄な心配や行動にエネルギーを費やすには人生はあまりにも尊いし、深刻な健康被害を受けてからでは取り返しがつきません。
情報氾濫社会の上手な泳ぎ方を教えてくれます。
Posted by ブクログ
メディアは、信用しすぎてはいけない。という視点を持ち始めた頃に読んで
よく理解できた本でした。
資本主義の社会に、大資本にいいようにあしらわれてしまいたくない方には
非常にオススメです。
Posted by ブクログ
バイアス=偏り
メディアが事実をどう切り取るかで印象が変わる。
健康食品の偏向報道の生まれるメカニズムがメディア側の視点で多面的に語られていて参考になる。
2007年の書のため、ソーシャルメディアの問題は扱われていないが、それ以外の点では、今なおこの書の仕組みは存在していると感じる。
Posted by ブクログ
2015/12/17
非常に読みやすかった
スローフードやバイオエタノール、
トランス脂肪酸の所が印象に残った
前の方がレビューで書いてある通り、
The New England journal of medicineは
英国ではなくアメリカのマサチューセッツ内科外科学会によって発行される医学雑誌
Posted by ブクログ
食の安全、安心に関心のある人に読んでほしい。
メディアが安易に流す視野狭窄で膨大な情報に惑わされることなく、自らの健康を守るために。○○は体にいいなどという謳い文句のように、自然界は単純ではないことを痛感できる。
他の著書も読みたい。
Posted by ブクログ
○○は体にいい、××は危険、といった情報に振り回されている人には是非読んでもらいたい本。
いい情報、悪い情報に関わらず、健康情報番組や新聞・雑誌の内容は都合のいい情報を集めて切り張りしていることが多くある、ということで正しい情報を見極めよう、という気持ちになります。ただ、正しい情報が何かを簡単に明確にはできない場合がほとんどだと思いますので、何事もリスクとベネフィットのトレードオフを考えて行動するのが必要なんでしょうね。
本書はあくまで直接的な「健康」への影響や「メディア」の報道のいいかげんさという側から事象を述べていますが、それ以外の切り口でももっと考えないといけないことがあるのでは?と感じました。その気付きを与えるという意味では、この本は読む価値があるでしょう。
Posted by ブクログ
少し前の本。
取り上げられている科学(環境ホルモンや添加物、バイオ燃料ブーム)は、「ああ、そういえばあったね」って思い出す程度。大体の人は、そうではないだろうか。
オーガニックや有機野菜など耳触りのいい言葉に、何の証拠もないのに無条件で信じ切ってしまっていた。
私がメディアに踊らされている証拠だなぁ。
素人が実験を検証することは難しいので、作者の人みたいに科学的な根拠を挙げて、ニセ科学やナンチャッテ科学者を駆逐してもらえればありがたい。
私ができるのは、「メディアが取り上げてるから」「自分の都合に良いから」と、考えること調べることをやめないようにすること。
Posted by ブクログ
無農薬、は無条件に「いいこと、安心・安全、素晴らしいこと」として扱われることが多いけれど、数十年前の農薬に比べ現在の農薬ははるかに改良が加えられている。農産物を無農薬で育てると、その野菜や果物が自らの遺伝子を未来に残すために、害虫等からわが身を守るための毒性物質を自ら作り出すようになっており、その毒性物質は改良に改良を重ねてきた農薬よりもむしろ人体には危険性が高いこともある、という記述が大変印象に残りました。生き物、凄いな。。。
Posted by ブクログ
メディアで流れる科学的根拠のない報道(納豆ダイエットや食品添加物は完全悪)に対して、どのように間違っているのか報道するものの立場からの視点を織り交ぜ解説。
結局短絡的な表現を鵜呑みにすることなく、疑ってかかることが大切。メディアは視聴率とか発行部数とかで利益を生むのが先決で、科学的に正しいかは二の次。
特に、1日摂取許容量が動物に毎日生涯食べさせて無害な無毒性量に100分の1をかけて算出していることは知らなかった。許容量を1日超えたとしても、ほとんど無害な基準値である認識。
Posted by ブクログ
「科学的な根拠」を示されてしまうと、ついそれを信じてしまうところがあるし、それを健康問題や環境問題に結び付けて報じられると、つい「そうかもしれない」と思ってしまう。
そんな落とし穴にはまらないように警告をしてくれる書。
いろいろとバッシングもあろうかと思われるのに、このような本を世に送り出した著者と出版社に拍手!
Posted by ブクログ
1、懐疑主義を貫き、多様な情報を収集して自分自身で判断する
2、「○○を食べれば…」というような単純な情報は排除する
3、「危険」「効く」など極端な情報はまず警戒する
4、その情報がだれを利するか、考える
5、体験談、感情的な訴えには冷静に対処する
6、発表された「場」に注目する。学術論文ならば、信頼性は比較的高い
7、問題にされている「量」に注目する
8、問題にされている事象が発生する条件、とくに人に当てはまるのかを考える
9、他のものと比較する目を持つ
10、新しい情報に応じて柔軟に考えを変えてゆく
読みやすい、わかりやすい。
新聞ほどのメディアでも騙されてしまう今の日本なら、この本に書かれている知識と視点は持っていてもいいと思う。
科学技術といっても○か×か、だけではなく様々な事情が隠されているのだなあ。
個人的には食に関する論文入手の最低限のノウハウが分かったのがよかった。
Posted by ブクログ
もう自家栽培しか信用出来ないのでは…。
発がん性物質が含まれているということで有名になったシナモン以外にも発がん性物質は含まれている食品が多いのですが、私たちは知らないだけという話があります。
上記のように、大げさに報道されるから危険視されてしまうだけのものってたくさんあると感じていて、その気持ちを代弁してくれているようでした。
過大に叫んでいるだけなのに、それを評価してしまう私達の受け取る側の問題でもあると指摘されています。
この本において大事なのは「伝え方」。
どういうモノサシで測ったものを伝えるかによっても受け取る方の感じ方も変わってくるし、勝手なイメージだけで消費者もメーカーも判断している場合もあります。
1つの見方だけでモノゴトを見たり、教えられたことに疑問を感じずに受け取る習慣をつけていると情報に踊らされて結局真実を見れていない、そういったことが分かりやすい事例を通して書かれています。
Posted by ブクログ
科学ライターの方がかいた本。
メディアであふれる健康情報・食べ物の情報について警鐘をならす本。
メディアは悪い情報を流したがり(そして訂正しない)、消費者は悪い情報をこのむ。
科学者は「絶対に安全だ」ということをそもそも言えない、しかしこれを知らない文系(メディア)は白か黒かしか見ない。グレーだといえば危険だと捉えて報道する。
など、それぞれの立場での見方が違うゆえの情報の間違ったとり方を指摘している。
消費者が自分で広く情報をあつめ判断することが大切。
またここでもやはり「英語」のかべにふれていて、日本でまちがった情報が広がるのは世界中の英語でかかれた情報に個人でよんで判断できないため、との指摘があり、やはり英語の必要性を感じた。
個人的にはうわさには聞いていたが、植物が病気から身を守るために自ら作る天然農薬の話がおもしろかった。
Posted by ブクログ
某ブログで紹介されていた同著者の『食の安全と環境 「気分のエコ」にはだまされない』を読んでさらにフォローしたくなったので購入。興味深い話題がてんこ盛り、という印象を持ちました。いかに自分が無自覚無批判にテレビの情報番組を見ていたか、また見させられやすいか、ということを思い知らされました。
テレビ局や番組制作会社・新聞社・出版社の従業員、科学ライター、研究者などがそれぞれメシを喰うために行う活動の数々から生み出される情報のひずみ。割を食うのはそれを鵜呑みにする情報の受け手、生活者です。猥雑な現代社会において情報の発信者すべてに真摯さを求めても詮無いこと、やはり受け手の側もある程度までは賢くならなければと思わされます。
どこかのweb上のコメントで、「自然科学はこのようにハッキリと科学的に証明されていないと否定できるのだが、社会科学はなかなかそうはいかないためトンデモが正されにくい」という内容のものがあったように記憶しています。常識というものはそういうトンデモに対処するための良いツールだったのだろうけど、常識が硬直化した考えを生むのもまた事実。いつか社会科学関係の良書との出会いがあれば良いなと思います。
余談ですが、この本の著者や『生活保護VSワーキングプア』の著者大山典宏氏など、院卒で社会(大学の外)に出て働き始めた人っていい本を書くなぁ、と読んだ当時は思いました。そういう気がしただけですけどね。
Posted by ブクログ
健康情報番組のウソ=白インゲンダイエット、納豆ダイエット、みのもんた症候群、ココアのポリフェノール、粉寒天で便秘など。
一日の許容量は、動物実験ででた無毒量を 1/100した数字。
PPMは、1000万分の1の意味。
DDTは、マラリア蚊の退治に効くため、一部の国では許可されている。量と使い方の問題。
シナモンはカプセルにいれて飲めば血糖値降下作用とともに、毒性物質も大量に取ることになる。量の問題。
実験は培養細胞で行われるが、人体に効果があるとはかぎらない。
食物繊維と大腸がんの相関関係はないが極端に少なければリスクが上がるだけ。
内分泌攪乱化学物質を環境ホルモンと呼んだ。不安をあおれば研究予算が付く。環境庁が省に昇格するタイミングで強くアピールした。結局リストは廃止された。
悪いニュースはよいニュース=明るい話しはニュースにならない。警鐘を鳴らすことはマスコミの仕事だが、危うさを伴う。
化学物質過敏症は疾病ではない。原因が別の場合、騒ぐと本来の治療が受けられない可能性もある。
添加物とはなにか。同じ物質が自然の中に含まれている。添加物の総量を問題にするのは意味が無い。
岩塩には亜硝酸ナトリウムが含まれている場合が多い。合成発色剤と同じもの。
中華料理店症候群はえせ科学。
ソルビン酸は日本では低く、だいがい物のグリシンなどが使われている。
セブンイレブンが調理パンからリン酸塩の使用を停止。
天然物であっても悪いものはたくさんある。
天然の農薬=無農薬で育てると植物は自分で農薬の成分を出す。ファイトケミカルと同じ成分。適切な農薬を使えば、植物はそれらを出さずにすくすく育つ可能性がある。残留基準を超えなければだいじょうぶ。
有機食品が安全、栄養があるなどの証拠はない。
昔の醤油味噌は塩辛くまずかった。野菜も少なく、塩辛いものでご飯を食べる生活だった。
BCGは、キラー細胞を活性化する。衛生化したことで、アレルギー疾患が増えた可能性はある。=衛生仮説。
偽科学=マイナスイオン、水からの伝言、遺伝子組み換え作物を悪者扱いすること、など。
政治に翻弄される科学=
バイオ燃料ブーム。アメリカはトウモロコシの糖分からエタノールを作る。日本にはセルロースが多い木材しかない。食糧自給率が低いのに食べられるものをエネルギーにするのは間違っている。セルロースからエネルギーを取り出すのは難しい。これを推進するとアメリカの輸出が伸びる結果になる。
トランス脂肪酸は、肉にも含まれる。植物油を生産するときに自然にできる。デンマークは乳製品の輸出国で、マーガリンを禁止すれば自国の輸出が増える。マレーシアとインドネシアはパーム油の産地で、トランス脂肪酸の代替品になる。
Posted by ブクログ
2007年に出版された本なので、今とはテレビや新聞の情報手段の媒体としての立場は変わってはいる。しかし、その当時のメディアの扇動的で非科学的な情報を流すという問題について知ることが出来た。
メディアが発信すること全てを鵜呑みにせず、情報に懐疑的になり、他と比較するというのは今も15年前も変わらないのだと感じた。
15年前のことを取り上げた本なので、今とは状況の違いも多いとは思うが、膨大な情報に晒される現代人として参考としていきたい。
Posted by ブクログ
本書は、TBSの「白いんげんダイエット」事件や記憶に新しい関西テレビ「あるある大辞典?」の「納豆ダイエット」捏造事件を契機に、メディアに氾濫する、主に”食”にまつわる健康情報の非科学性やいい加減さを暴き、メディアが何ゆえそのような”ニセ科学”を競って報道したがるのか、”メディア・バイアス”が生み出される要因をあぶり出します。
著者は、農業・食品・環境などを専門とするフリーランスの科学ライターで、自身以前は毎日新聞社の記者としてメディア側に身を置く立場だったという経歴の持ち主です(名前から男性だと思ってましたが、”わき”さんという女性でした)。
こういった科学的論拠に欠ける健康情報の喧伝には、大きく2種類あります。
1つは「あるある」の「納豆ダイエット」に代表されるような「●●は健康によい」「○○はダイエット効果がある」といった積極的効能を大げさに伝えるもの。
この本で取り上げられているものとしては「寒天」「βカロテン」「有機野菜」「マイナスイオン」などがあります。
「マイナスイオン」なんて素人の自分でも「怪しいな〜」と思ってましたが、まず「マイナスイオン」なるものの定義からしてはっきりしてないし、科学者の間では人体に好影響があるなどといったことは全く相手にされていないとのことです。
そのわりに「マイナスイオン」機能の付いた家電って世の中に氾濫してますね。
我が家にもありますが。
それ以外のものも、効能があるにしても特定の条件下に限っての話だったりして、条件が違うとまったく効果がなかったり逆に健康に悪影響を与えるケースもあるとのこと。
もう1つは「△△は危険!」「▼▼は体に悪い!」といたずらに不安を煽る警鐘報道です。
例としては「食品添加物」「中国産野菜」「DDT」「PCB」「環境ホルモン」「遺伝子組換え大豆」など、枚挙に暇がありません。
もちろん著者もこれらに全く危険性がなく安全だと言ってるわけではありません。
ただうまく使用条件や使用量をコントロールして利用すれば有用な面もある、ということです。
闇雲にバッシングするのはあまりに短絡だと。
こういった過剰な警鐘報道が氾濫するのはマスメディアの構造的な問題が根底にあると解説されます。
マスメディアは読者・視聴者の目を惹くためにセンセーショナルな報道に傾きがちである。
しかも、「◎◎が安全」と報道してそれが間違いだったらメディアの責任問題になるが、「××が危険」と言う分には責めを負うリスクは小さい。
だからこのようなメディア・バイアスが生じてしまうのだ、と。
個人的にはマスメディアが伝えることなんて殆ど信じなくなっているので、この本に書かれていることを読んでも大して驚きもしなかったんですが、上記に例示したようなものの効能・危険性を疑っていない方がいれば、一読してみると目からウロコかもしれません。
ただ、著者が若干行政寄り、というか国家のコントロールへの信頼がかなり厚そうなところは若干気になりましたが。
Posted by ブクログ
「あやしい健康情報とニセ科学」という副題の付けられた本書では、虚偽あるいは意図的に捏造された健康情報を垂れ流し報道するメディアの姿勢が断罪され、真摯に科学に携わる者が思わず膝を打つような内容となっている。「おもいッきりイイTV」に代表される健康関連番組が「○○は△△に効く」といった健康情報を流し、それに一般視聴者が扇動される現象を「みのもんた症候群」と呼ぶらしい。「発掘!あるある大辞典Ⅱ」の白インゲンマメダイエットなどこの種の番組が皮肉にも健康被害を引き起こし社会問題となったことは記憶に新しい。科学は、白か黒かというような単純なものではなく、例えば薬の世界でいえば1錠飲むのと2錠飲むのとで効果と副作用のバランス(Benefit/Risk)が逆転してしまうという具合に、化学反応は量の多少など様々な条件次第でどちらにも転びうるようなグレーゾーンの事象が大部分であることを、真のサイエンティストは理解している。環境ホルモンのような大規模なプロパガンダや最近の食品汚染の問題など、この手の報道には、自分の主張に不都合なデータには目を背け、自分の主張に沿った現象の一面を切り出して必要以上に強調して報道する『メディア・バイアス』が共通して見受けられる。そんな無責任きわまりない報道の蔓延を見るに見かね、義憤に駆られて著された本書は、科学のウラオモテとその背景を冷静かつ客観的に論じた良書といえる。エコ・アグリ政策など時事問題にも切り込んでいる。将来科学を志す若者に手にとってほしいと思う。また、科学者は、研究倫理に関する価値観として「誠実」「正確」「効率」「客観性」の4点を共有したい。
「危ないと書く方が楽なのも事実だ。あとで安全だと分かっても非難されることはあまりない。逆に安全だと書いて、あとで危険と分かったら、非難される可能性はきわめて高い・・・ないものは証明できない、という科学の持つ根源的な壁が立ちふさがるために「危なくない」という報道は難しいのです」
Posted by ブクログ
武田某とい大学教授がいる。メディアに出ることも多いので、
知っている人も多いことだろう。
地球温暖化、資源保護、環境ホルモン等の有害化学物質等々。
その時々の話題に必ず首を突っ込み、オリジナリティ溢れる
理論を展開している人だ。
きちんとした裏付けがあるなら信用もしようが、そうでないところ
が大問題。福島第一原発事故後に放射能問題が持ち上がれば、
案の定、便乗した。人の不幸は金儲けのネタか。
さて、この武田某もそうだがテレビや新聞、雑誌には各種健康
情報が溢れている。人間誰でも健康でいたい。だから、病気予防
やダイエットなどを取り上げれば一定数の視聴率や、読者を確保
出来る。
一時期、納豆や寒天、バナナが店頭から消えた。そう、ダイエットに
いいとのことでテレビ番組で取り上げられたからだ。
現在はどうだ。どの商品もいつでも店頭にある。入手困難なんて
ことはない。いつの間にかブームは去り、次から次へとメディアが
繰り出す「体にいいもの」に私たちの視線は移って行く。
巷にあふれる健康情報。それは信じるに値するのかに警鐘を鳴ら
しているのが本書だ。テレビ番組が取り上げたことから白インゲン
でのダイエットを試み、体調不良を訴えた人が続出したこと等を例に
取り、メディアがいかにいい加減なデータを基に情報の垂れ流しを
しているかを綴っている。
著者が言いたいことは分かる。しかし、ちょっと偏り過ぎちゃいないか。
福島第一原発事故後、「ただちに健康への影響はない」と時の官房
長官が何度も口にしていたが、食品添加物や保存料、遺伝子組み
換え食品について、著者も似たようなことを言っているんだよな。
結局さ、化学物質は自然界にも存在するし、人体への影響にも
個人差があるんだから、まるっきり安全ですよとも言えないのでは
ないか。
何度も捏造が発覚しても同じことを繰り返すメディアは勿論問題
ではある。ニセ情報を流しっぱなしで、その後の訂正なんてない
に等しいもの。
そして、良心を持った科学者がいる一方で、メディアに名前と顔
が売れればなんでもありの科学者がいるのも確か。
メディアに踊らされないこと。これが一番肝心だよね。
Posted by ブクログ
あるある大事典から始まる(この本には書かれていないけれども、STAP報道をめぐる手のひ ら返しを含め)、エセ科学を検証もなしにメディアで紹介されることとと、その信用性に ついてこれでもか!と力説した本。
言ってることは確かにそうなんだろうなぁと思うのだけれども、イマイチ観点に中立性がないと いうか「今のメディアは間違ってる!」という姿勢が透けて見えるような気がするのが個 人的な感想。
この著者もかつては同じような立場でメディアに居たわけで、それを反省しているとは書いてい るけれど、では、今の姿勢が正しいといえるのだろうか?
方向は違っても「正しさ」を主軸に置くと、ちょっと息苦しい感がある。
瀉血をすることが科学的(?)に正しいと思われていた時代もあるわけで、未来から見れば、 STAP細胞があって、エセ科学と呼ばれるものも正しい可能性すらある。
この本に書かれていることも絶対ではない。けれど、受けては自分に対して問い続けるのをやめ てはいけないと思った。
Posted by ブクログ
巷に蔓延するウソを的確に暴いているのだが,著者自身も調査不十分で書いているというか,常識不足な部分があるのが残念。New England Journal of Medicineは英国ではなくて米国の医学誌。こんな基本的な事を間違えてたらダメでしょ。これで星3つに減点。
Posted by ブクログ
TVや新聞といったメディアが十分な検証をせずにエセ健康情報、エセ科学の情報を流している事への警鐘を本にしたもの。メディアの無責任さがよく判る本ではある。
結論部分である『情報とは報道とは「絶対に正しいもの」ではなく、取材者、制作者の思い込みを反映した不十分なものであり、メディア・バイアスが存在するということを常に心に留めて、情報・報道に対峙していただきたい』という事に尽きるであろう。
そういう意味からも、本書に例示として書かれている事項も著者の思いというバイアスがかかったものであることは認識しておく必要があろう。新聞・TVではこう報道されたが実はこうであると書かれると何となくそれが正しい情報であると思ってしまいがちだが、本書で科学的事実として書かれていることも良く吟味が必要だと思うのである。
巻末の書かれている科学情報を識別するための十ヵ条
1.懐疑主義を貫き、多様な情報を収集して自分自身で判断する
2.「○○を食べれば・・・」というような単純な情報は排除する
3.「危険」「効く」など極端な情報は、まず警戒する
4.その情報が誰を利するのか、考える
5.体験談、感情的な訴えには冷製に対処する
6.発表された「場」に注目する。学術論文ならば、信頼性は比較的高い
7.問題にされている「量」に注目する
8.問題にされている事象が発生する条件、とくに人に当てはまるのかを考える
9.他のものと比較する目を持つ
10.新しい情報に応じて柔軟に考えを変えていく
Posted by ブクログ
農業・食品・環境を得意分野とする科学者が、巷にあふれる怪しい健康情報の数々を具体的に取り上げ、その報道のされ方や世間に与えた影響、実際にはどこがどうウソなのかを解説した本。
タイトルだけ見るとメディア批判本のようだが、情報を受け取る側のメディア・リテラシーの大事さも説いている。
…教科書でちょっと読む分には、ためになるいいお話なんだけど、これだけ盛りだくさんであの事件はああで、この事件はこうだった…と書かれるとちょっと疲れるかも。どれも面白いけど。