藤本隆宏のレビュー一覧
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現場の能力を、どんなアーキテクチャとして
売ることで稼ぐのか、という能力×ポジションを
現場から見上げる戦略として提唱した面白い本。
企業が勝つためには、
能力とポジションが大事である。
能力は現場の底力。
ポジションは本社の知恵(戦略=金を稼ぐ力)。
この二つが揃うことが理想であり、
日本は強い現場、弱い本社できている。
能力には、
顧客には見えない裏の競争力
顧客に見える面の競争力があり、
結果としての収益がついてくる。
日本は、裏の競争力が強く製造業では、
ものづくりの力に優れている。
製造業における能力は、設計情報の転写で語ることができる。
優れた設計を開発する
設計情報 -
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本書はタイトルの「ものづくり哲学」のとおり、製造業の生産管理に関する書籍である。製造業とIT開発は似通っている部分が多く、得られることも多いと思い手に取ったが、思った以上に勉強になる視点が多く書かれており、得られることが多かった。
本書の一貫した主張は「産業を『アーキテクチャ』の観点で分析すると、より効果的な戦略が立てられるのではないか」ということであり、2004年に初版が執筆されている。それを増補版として再出版されており、各章で2004~2024年の間の主張内容の評価や、言及できなかった観点を振り返りとして記載しており、その内容についても満足のいく記載となっている。
一番知ることが出来て良か -
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能力構築競争
日本の自動車産業はなぜ強いのか
著:藤本 隆宏
中公新書 1700
良書 生産性が戦前GMの10分の1しかなかったトヨタが20世紀末に世界でもっとも生産性の高い自動車会社になぜなり得たか
能力構築競争とは、スキルをいかにに早く身につけるかと言う意味ではないです
組織能力とは、生産企業経営の質をあらわす概念であり、能力構築競争とは、企業が経営の質を高めるために切磋琢磨することであると定義する
過剰品質は、悪でなく、含み資産であるとの言、納得感がありました。
単なるQCDの追究ではなく、組織全体の能力向上を図る総合的な試みであることを本書は主張する
気になったのは以下です -
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ハーバードでMBAを取得し、ゴールドマンサックス、マッキンゼーでの勤務経験のある著者が、優秀なビジネスマンの仕事のやり方を紹介した本。ビジネスの世界では、ハーバードでMBAを取得し、ゴールドマンサックスやマッキンゼーで働くビジネスマン達は、その優秀さで頂点に立つ人たちであろう。実際にそのような道を歩み、そのような人たちを身近に見てきた著者の意見には説得力があった。内容も簡潔でわかりやすい。
「(人の名前を覚える)これから当てようとする学生の名札をチラ見し、自分のおぼろげな記憶とマッチさせた後、何気なく逆側の学生に目をやり、ワンテンポ置いてから、元の学生の顔を見て、名札を見ずに名前を呼ぶのです -
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ものづくり現場を知り尽くした藤本教授が、サービス業や金融業も含む経済産業界の重鎮や先達が多数おられた経済倶楽部という場で話された内容に加筆を加えたもの。
産業現象は経済現象でもあるから、経済学抜きには産業を語れないが、かと言って経済学だけで産業が語れるわけでもないと筆者は考えている。
経済・産業の土台にある「現場」は、経済学・経営学・法学・工学・社会学などの論理が錯綜する一つの小宇宙なのであるとしている。
第1講「現場」は死なず―金融危機と優良現場
第2講 本社よ覚醒せよ―自滅の道を回避できるのか
第3講 ぶれない枠組みを持つ―製造業悲観論を超えて
製造業、非製造業という枠組みではなく -
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本社よ、覚醒せよ。
長らく日本の製造業に携わってきた著者が語る、日本の競争戦略、経営戦略論。
公演を基にしているので、論拠としての詳細なデータには乏しいが、現場を熟知した著者が語る主張には説得力がある。
日本には、日本に合った競争戦略、成長戦略がある。
欧米の真似事でしかない、金融を機軸とした成長戦略は、日本では限界がある。
「ものづくりに拘泥していてはダメになる」「先進国としてものづくりを捨てて米英に追随しサービス産業特化せよ」といった過剰な悲観論や、「日本人には擦り合わせ型DNAがある」「日本人は生来ものづくりが得意だ」といった過剰な楽観論を排し、「沈黙の臓器」である「現場」を生かし -
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上司から推薦された 藤本隆宏さんを初めて読んだ。現場力を発揮する組織能力の構築が重要であることがわかり、自分自信の考え方でもあり同感した。そのためには、地域連携そして本社の覚醒が重要であり、現場力が向上される良い流れを戦略的に進めることがポイントと読めた。
・気になるセンテンス
35 きりがない 厳しい機能要求
37 組織能力
42 比較的優位の部分と劣位の部分があると考え、現場現物できちんと潜在能力を見極めること
43 何をやりたいか だけでなく 何なら勝てるかという戦略的なものの見方が必要
47 能力構築競争
49 複雑化対応能力 単純化
83 経営者の役割
99 三つの労働時間区分
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日本のものづくり哲学をとある研修の資料として読んだのがもう4年前。
インテグラル(すりあわせ)とモジュラー(組み合わせ)を社内、社外の組み合わせで説明してあったのは納得がいきよく覚えている。
またものづくりとは設計情報の媒体への転写という説明も割とすっとはいってきた。この本は円高・震災に対してものづくり現場目線から見た藤本氏の反論である。
先ずものづくりの現場は工場の現場を思い浮かべるかもしれないが、広義で扱っており適用範囲が広い。
現場は仕事をする場所であり、農業者の田畑や放送局、小売店などすべての働く場所を指していると受け取った。
ものづくりも同様に広義であり、設計情報の転写というとわか -
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製造業のプロセスは、設計情報の流れで考えられる。設計情報の創造、転写、伝達、利用。
設計のアーキテクチャには、比較優位がある。
その企業なり、国が培ってきた歴史からもつ組織能力にあうアーキテクチャで勝負すべき。
日本は、戦後発展した会社が多く、
焼け野原において少ないリソース、少ない取引先との関係を大事にすることが重要であった。
そのために、すり合わせ型アーキテクチャが得意である。
日本は情報転写においてすり合わせの力が必要な現場力を磨き続けてきている。
従って、現場ありきの戦略を立てるべきである。
上空、低空、地上の戦いがある中、
日本は地上、低空で戦うべき。
上空のIT盟主は目指すべ -
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ある会社の「人だけ」総入れ替えしたとする。昨日までの会社と、入れ替えてからの会社は、同じように操業できるだろうか。設備やマニュアル、制度はあっても、そこに対する熟練、人が保有するノウハウがない。作業標準があれば、手探りでもある程度現場は動くだろうが、外殻だけあってもやはり会社が今まで通り、機能するとは言えない。これは若干、ドラゴンボールのギニュー隊長がその技により悟空の身体と「チェンジ」したが、肉体と精神が一致せず、力を発揮できなかったという現象に似ている。
企業の業績を左右するのは景気や外部環境もあるから、一時の経営不振で、即その企業が弱い、とはならない。業績の波を超えながら、企業は経験を -
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日本の製造業を考える。日本の製造業の現場力における国際的な比較、特に、東日本大震災からの復興における製造業の役割について。将来的に、日本の製造業が直面する課題や解決策の議論。3名の有識者による共著であり、色んな視点に触れられる。
- 「産業政策と社会(福祉)政策は違う」という名言です。産業政策というのは、強いところをより強くするためにお金を使うことであり、かたや弱い人を助けるためにお金を使うのが社会(福祉)政策で、このふたつは分けて考え、産業政策が社会(福祉)政策になってはいけない。福祉政策的なことが、企業にも必要だということは、わかるのだけれど、それが産業政策のメインになってしまってはいけ -
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DTC開発:Design to cost
上記の重要性を筆者の経験を基に解説してくれている本。
この本の内容を一言でまとめると、「教育は、経験に勝る」ことだと思う。正しい教育、正しいプロセスを踏めば、日本の技術者は良いものを持っているので、必ず成長できる。開発部門にDTCを意識した教育体制を取り入れる必要があるとの内容。
時代の流れが早いこともあり、目の前の業務に一杯一杯になりつつある現状でも、社内でしっかりと教育を行うことの重要性を説いている本。
私も技術系出身でもあるので、このような部門に最初から出会いたかったと感じるばかりである。
ただ少し開発自慢が多い気が…。