【感想・ネタバレ】日本のものづくり哲学(増補版)のレビュー

あらすじ

■ 本書は、ものづくり経営のロングセラー『日本のものづくり哲学』の増補改訂版です。 「ものづくり現場」から発想する戦略論とは何か、なぜ今の日本に必要なのか、どうしたら展開できるか、をまとめました。
■ 著者は、約40年にわたって日本の自動車産業を分析してきた現場主義の経営学者です。
■ 中国企業との競争の考え方、ゴーン改革の評価、提言の検証など、刊行後の動向を踏まえた解題を各章に掲載。
■ ものづくり企業のビジネスパーソンのみならず、政策立案に携わる官僚、成長戦略をアドバイスするコンサルタントにとっても必読の書です。

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Posted by ブクログ

製造業者が持つ「競争力」の正体を分解し、各要素に対して日本のメーカーはどのような優位/劣位を持つのかを紐解いた本

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2025年09月06日

Posted by ブクログ

現場の能力を、どんなアーキテクチャとして
売ることで稼ぐのか、という能力×ポジションを
現場から見上げる戦略として提唱した面白い本。

企業が勝つためには、
能力とポジションが大事である。

能力は現場の底力。
ポジションは本社の知恵(戦略=金を稼ぐ力)。
この二つが揃うことが理想であり、
日本は強い現場、弱い本社できている。

能力には、
 顧客には見えない裏の競争力 
 顧客に見える面の競争力があり、
結果としての収益がついてくる。
日本は、裏の競争力が強く製造業では、
ものづくりの力に優れている。

製造業における能力は、設計情報の転写で語ることができる。
優れた設計を開発する
設計情報を形にする生産
設計情報を伝え販売。

日本企業は、開発、生産といったものづくりに必要な能力=裏の競争力を鍛え続けてきたある意味体育会系的組織である。

ポジションを考えるにあたっては、
アーキテクチャを意識すべきである。

すり合わせ型と、モジュラー型の二つが基本となるアーキテクチャである。
すり合わせは製品全体として狙うべき機能があり、
部品間の調整が必要となるもの。
モジュラーは、インターフェースが明確に定義されており、部品同士を繋ぎ合わせれば作れるもの。

自社がすり合わせなのか、モジュラーなのか。
顧客が、すり合わせなのかモジュラーなのか、で4章限ができる。

自社の能力が生きるポジションをとるべきである。

日本企業は、すり合わせ×すり合わせでやってきた経緯がある。
戦後なにもないところからはじまったため、あるリソースを活用するところからはじまったという経緯依存がある。

一方で、すり合わせ×すり合わせは、数もでないし、調整コストがかかるためにも受けづらい。
しかし、力はつくため、ここを捨ててはならない。

儲かるポジションは、
すり合わせ×モジュラー、
モジュラー×すり合わせ
である。

自社の強い製品を汎用品として売るのが前者。
顧客向けにフルカスタマイズしたようでいて
そうでない後者。
後者は、したたかな戦略が必要となる。

アメリカは、モジュラー。
ヨーロッパはすり合わせだが、裏の競争力ではなく、表、すわなちブランドやマーケティング戦略に対するすり合わせが得意な会社が多い。
中国は、擬似モジュラー。
すり合わせ型の製品が外国からはいってくると良いところをパクリ、組み合わせる。
他にもマネする会社がどんどんでてくるため、研究開発に金をかけられない。

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2025年05月20日

Posted by ブクログ

本書はタイトルの「ものづくり哲学」のとおり、製造業の生産管理に関する書籍である。製造業とIT開発は似通っている部分が多く、得られることも多いと思い手に取ったが、思った以上に勉強になる視点が多く書かれており、得られることが多かった。
本書の一貫した主張は「産業を『アーキテクチャ』の観点で分析すると、より効果的な戦略が立てられるのではないか」ということであり、2004年に初版が執筆されている。それを増補版として再出版されており、各章で2004~2024年の間の主張内容の評価や、言及できなかった観点を振り返りとして記載しており、その内容についても満足のいく記載となっている。
一番知ることが出来て良かったと感じたのが、各企業の評価項目を、「ものづくりの組織能力」「裏の競争力」「表の競争力」「収益力」の4段階で定義して評価しており、単純に目に見える収益力や表の競争力だけでは、企業を評価出来ないことを知れたことである。また、日本の製造業を考えるうえで、各国の製造業や産業についても言及しており、産業地政学として、各国の特長が歴史や地政学的影響を受けている説を展開しており、個人的な感覚もあるが、非常に納得のいく解説だった。
企業の戦略論を考える際には、再度読み直しをしたい書籍である。

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2025年02月08日

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